ある日の就業時間後。
集中力の切れた筆者は、同期の邪魔をしていた。
同期「じゃあ飲みに行くか。」
ベルギービールを飲みに行くことに。
ところが数分後、同期が筆者の元にやって来た。
筆者「ん?もう出れるの?」
同期「なんか友達夫妻がごはん食べようって言うんだよね。」
筆者「そっか。じゃ、また今度。」
同期「いや、一緒に来いよ。ベルギービールじゃなくて某チェーン店だけど笑。」
同期は京大院卒の高学歴である。
そして、筆者の到底太刀打ちできない切れ者。
表向きはガサツな関西人で、賢さをカモフラージュしている。
同期の友人は、京大・東大ばかり。
おそらくは、関西トップ男子校時代の友人たちだろう。
そんな方々であれば、親交を深めて損はない。
夫妻と仲良くなれば、また他の出会いにもつながるかもしれない。
それに、“夫妻+1”という境遇が気まずいのは、共感できる。
筆者にはよくある状況。
ふと我に返ると途方もなく悲しくなることを知っている。
そうして、筆者は、同期とその友人夫妻と食事に行くことになった。
きっと、若くてキャッキャした女子が現れるのだろう。
揚げ物チェーンに行きたいというのだから、元気な若者に違いない。
筆者は見下されないよう、気休めにメイクを直した。
先に到着していた同期の友人と、3人で奥様の待つ駅に向かう。
筆者「仲良さそうだけど、3人とも同級生なの?」
同期「ん?俺とこいつは同期やけど、全然関係ない。こいつの奥さんは38歳や。」
年上。しかも6歳も。
6歳年下の高学歴男性を落とした女性とは、どんなに美しい方なのだろう。
完敗だ。
同期「あれや!」
どれや?
わからない。
次の瞬間、同期とその友人が話しかけたのは、スレンダーで美しい大人の女性…
ではなく、ずんぐりした残念なオバさんであった。
え…?
その後の2,3時間、ともに時間を過ごした。
人生初の某チェーン店で。
しかし、筆者が彼女に抱いた印象が変わることはなかった。
知性も品性も感じない。
かといって、可愛らしさも色気も、清潔感すらない。
コミュニケーションに長けているわけでもない。
化粧っ気はなく、肌と毛髪の劣化は、年齢以上のものを感じさせる。
衣類と持ち物は、何の変哲もない安物。
ご贔屓のお店は某チェーン店。
職業は一般事務とおっしゃっていた。
おそらく、非正規雇用。
筆者の知るアラフォー女性は、皆輝いている。華がある。
しかし、独身。
負け組。
一方、目の前にいるアラフォー女性は、勝ち組である。
6歳年下のハイスペック男性に見初められた、勝者。
そんな現実を目の当たりにした筆者は、絶望の淵に立った。
筆者は負けている。
このくたびれたオバさんに。
奥様「近くに縁結びの神社あるんでしょ?行ったら?うちも京都で行ったでー。」
こんな屈辱を味わうくらいなら、今すぐ白旗を上げたい。
婚活戦線から離れ、一人ひっそりと生きていきたい。
自分には、職がある、スキルもある、資格だってある。
一人で生きていく。
そう宣言すれば、きっと楽になる。
絶望に打ちひしがれることもない。
筆者は今、何と闘っているのだろう。