1年以上前、東カレデート(当時マッチラウンジ)を介してお会いした31人目K氏。
以降、2ヶ月ほどLINE文通を続けたが、二次面接はなかった。
数ヶ月前、筆者が誤ってOmiaiで足跡をつけてしまったことがきっかけで、一度連絡を取ったことがある。
そんなK氏から、久々に連絡が来た。
K氏「都合いいときにご飯行こう!」
筆者「びっくりした笑」
K氏「突然だよね・・・今お付き合いしてる人いるの?」
筆者「いませんよ笑」
K氏「立候補します!笑」
1年間誰にも相手にされなかったのか、あるいは、比較検討がやっと一周終わったのか。
真意はわからない。
しかし、いまは、来るもの拒まず、去るもの逃がさず。
二次面接に応じることにした。
当初、K氏のお休みの日に食事をする予定だったが、季節がよいこともあり、筆者からお花見デートを提案した。
車にしか興味のないはずのK氏が珍しく乗り気。
筆者は午後休を選択した。
もはや仕事と婚活の優先順位が逆転し始めている。
しかし、カップル然として堂々と桜を愛でられる機会などまたとない。
しかも、人出のすくない平日に。
衣装を考えあぐねる前夜、K氏から連絡がきた。
K氏「明日なんだけど、急きょミーティングが入っちゃって、18:00に職場に行かなきゃならないんだ。楽しみにしてたのに、ごめんね。あられちゃんの職場近くでお茶にしない?」
なんと。
お花見中止の連絡。
筆者の午後休パーでんねん。
とはいえ、休日に仕事をねじ込まれ、気の毒なのはK氏の方だ。
つかの間の休日にわざわざ会いたいと言ってくださるのは、光栄なことかもしれない。
就業時間中に職場付近をうろつくのは気が引けたため、K氏の通勤経路の駅で待ち合わせた。
1年ぶり2回目のK氏は、前回とは異なり、ジャケットをお召しになって現れた。
ダミエのサックプラ(紙袋のような四角い手提げバッグ。もう廃盤なんですね。)を提げ、人差し指には同じくLVのリング。
時計は眩しいほどにきらびやかだが、時計に疎い筆者はにわかに判別できない。
ちょうど1年前の春、総合病院から自由診療科目のクリニックに転職したK氏は、すっかり“それらしい”身なりになっていた。
予想以上のギラつき具合に一瞬ひるんだが、挨拶を済ませ、気を取り直す。
駅近くのカフェに向かった。
まずは、転職から1年のK氏の近況をうかがう。
筆者「もうそろそろ1年だよね。どう?もう慣れた?」
K氏「うん。〇〇(地名)に異動してからも、もう半年経ったかな。」
筆者「そっか。順調そうでよかった。」
K氏「それにしても、意外と〇〇ってXXXいないねー。」
筆者はK氏の言ったXXXが聞き取れなかった。
K氏「もっと金持ちいると思ったんだけどね。金持ちはごく一部。」
聞き取れなかったXXXは“金持ち”であった。
近況報告は、異動先の土地に“金持ち”がいないという事実。
筆者は、どう受け止めればよいのかわからない。
適当に聞き流し、次の話題へ。
K氏は念願のスーパーカーを購入し、まもなく納車されるらしい。
目下の悩みは車庫。
K氏「実家の敷地に車庫建てようかと思ったら、それもなかなか大変でさ。ほんとどうしようか悩んでるんだよー。」
K氏「ディーラーに訊いたら、みんなグランドハイアットとかホテルに預けてるらしいんだよね。やっぱりセキュリティ万全じゃないと。」
そりゃそうでしょう。
不動産のごときお値段の動産ですからね。
そして、K氏はスマホで、車庫について熱心に調べ始めた。
初めは筆者に解説したりしていたが、やがて。
無言。
筆者は窓の外に目をやる。
以前にも増して金の亡者と化した轟さんが、必死に車庫を探している。
筆者は自身がここに居る理由がわからない。
かつてこんなにも無駄な有給休暇があっただろうか。
その2につづきます。