年始の宣言通り、結婚相談所に入門した。
 
 
 
入会ではない。入門である。
 
師を仰ぎ、弟子となって学ぶのだ。
信じるしかない。
信じる者は救われる。
 
 
 
そう、覚悟を決めたはずだった。
 
しかし、筆者の強い警戒心に、過去の失敗が拍車をかける。
親切おばさまたちの言葉が一つも信じられない。
 
いちいち突っかかってしまい、早くも破門の勢いである。
 
そもそも、筆者は女性らしい女性が苦手。
おばさまとの相性が悪いのだ。
 
 
 
 
親切おばさま、もといコーディネーターとの面談のため、相談所を訪れた。
 
3つのシステムを使えるセット割的なプランで入門したため、担当者が3名つく。
順に3名と面談するそうだ。
 
 
 
1人目、ハイスペックサラリーマン担当兼元締め。
 
挨拶そこそこにプロセスの説明を始めた。
早口、否、何かに急かされるように焦って喋る。
一通り説明を終えたところで、筆者のプロフィールについて質疑。
 
続いて、求めるお相手像を聞かれるのかと思いきや。
 
 
おば1「営業担当から、30代希望と聞いてますが、実際のところ、どうですか?一回り上とか。」
 
筆者「一回り上と言うとおいくつでしたっけ…?」
 
おば1「44歳ですね。30代と限定してしまって、40代の良い方を逃してしまうのはもったいないですよ!できる限り30代、上限44歳にしておきますね。」
 
 
おば1「身長は170cm以上がご希望と承ってますが、実際のところどうでしょう?あられさんの身長は…」
 
筆者「159cmです。」
 
おば1「じゃあ、いいですよね!165cmの良い方もいますから。条件はなるべく広くしておいた方が!」

 

 

おば1「学歴は…“ご自身と同等以上”とありますが、それだと東大になっちゃいますね笑。」

 

筆者「旧帝大、都内国立すなわち一橋、東工大、早慶以上であれば、と考えています。」
 

おば1「安心しました。了解です。」

 
おば1「あら、いけない!そろそろ時間だわ。次のコーディネーターを呼びますね。」
 
 
 
2人目は、日本結婚相談所連盟のWebツール担当。
 
インターフェースは汎用の婚活アプリと大差ない。
懸命に説明しているが、適当に聞き流す。
 
おば2「年齢も身長も、1つ違うと全然違いますから。できるだけ検索範囲は広げてね。」
 
筆者「それはそうと、大学名でソートできないんですか。不便ですね。」
 
 
 
3人目は、医師・歯科医師担当。
もっとも身なりが質素で好感が持てる。
 
おば3「説明ばかりで、もう疲れちゃいましたよね。早く終わらせますから。」
 
聞いてるだけなので、全く疲れませんが。
そうして、おば3はおば1と同じようなプロセスの説明をする。
最後に少し希望を聞かれた。
 
おば3「お医者さまは低身長の傾向があるんですよ。身長の下限値はなくしていただいていいですか?」
 
筆者「はぁ…せめて自分より高ければ。」
 
 
おば3「年齢はどこまで上大丈夫ですか?」
 
筆者「お医者さまは選手生命長いと思うので、10歳上まで大丈夫です。」
 
 
疲れた(?)筆者に配慮して、面談は早々に終わった。
 
おば3「他の担当者も待ちかねております。ご挨拶に参りますので少々お待ちください」
 
 
 
筆者はこの日最後の客だった。
疲れているのも、早く終わりたいのも、早く帰りたいおばさま方ではないのか。
 
 
 
3名のコーディネーター+営業担当の計4名のおばさまが筆者の前に並んだ。
 
営業「どうぞコートをお召しになって。」
 
筆者「いえ、その前に一つおうかがいしたいことがあります。」
 
営業「どうぞぉ。なんでも聞いてください!」
 
筆者「お三方、揃いも揃ってあらゆる条件を広げよとおっしゃいました。譲歩せよと。」

筆者「ご紹介くださるのは、月2名ですよね。1年で24名。そんなに多いですか?条件を広げないと賄えないほど、該当する男性会員が少ないのですか?」
 
 
 
つづく。