49人目I氏との出会いはこちら。
いまいちなLINEの対応に、次はないだろうと思っていた。
しかし、やはり“友達の紹介”という義理は最強。
二次面接のお誘いをいただいた。
しかも、一次面接で友人が出してくれたパスによって、行き先も決まっている。
I氏と仲人のお友達が、学生時代にニュージーランドを旅した話を聞き、筆者の友人が、ラムチョップの美味しいお店を紹介してくれた。
友人「あられ、ラム好き?是非いってみて!」
筆者「行ってみたい―」
ナイスアシスト。
しかしふと不安がよぎり、食べログ、インスタを調査。
やはり、ラムチョップは手づかみだ。
一次面接では、お上品にいただけないピザのお店を避けるなど、いろいろと気を遣った。
しかし、二次面接ですでに手づかみラムチョップ。
もはや“はじめ人間ゴン”。
やってしまった。
しかし、動揺したとて仕方がない。
女性らしさはどこかに置いてきたはず。
何を恥らうことがあろうか。
手づかみでお肉を食らう仲になれば、もう怖いものなどない。
そして、迎えた二次面接は、終始和やかだった。
一次面接のような、ついていけぬ話題もなく、とりとめのないおしゃべり。
半分以上がどうでもいい話だったかもしれない。
アプリ経由の面接は、往々にして恋愛・婚活の話題に偏る。
あるいは、男性の自慢話を聞かされる。
どうでもいい日常会話は気が楽でよい。
おまけに手づかみでラムチョップを食べている。
I氏とは、友達になれそうだ。
表現は比較的淡々としたクールな印象だが、言葉のところどころに温かい人間味を感じる。
3人兄妹の真ん中っこ。共学出身。
家族の話題からも、良好な家庭環境で育ったことを想像させる。
これまでも何度か、家庭環境や家族構成について触れてきたが、筆者はお相手の家庭環境に重きを置いている。
育った家庭は、これから築く家庭に大きな影響を与えると思うからだ。
筆者は、いたって普通のサラリーマン家庭に育った。
経済的には豊かな方だったかもしれない。
大手企業勤務の父と専業主婦の母、3人兄妹と2匹の犬。
郊外の一軒家に、輸入車2台。
父は海外出張で家を空けがちだったが、家族仲は良好。
夏は避暑、冬はスキー旅行し、春と秋は川原や庭でバーベキューをする。
生活態度と言葉遣いには厳しい母だが、勉強は強要しない。
子供たちには、ピアノ、英会話、水泳、テニス、といった最低限の習い事を与え、一人ひとりの興味にあった、教育と機会も与えてくれた。
兄はテニスに没頭していたし、妹は歌手を目指し音楽活動をしていた。
筆者もピアノばかり弾いていたが、手の大きさという身体的な壁にぶつかり挫折。
3人ともそれなりの大学に進学し、それなりの人生を歩んでいる。
皆、家族を大切にする。
これが、筆者にとっての“普通”の家庭。
この“普通”を共有できるか否かが、結婚生活の難易度を左右するのではないだろうか。
同水準の家庭の男性と結婚した友人は、「金銭感覚や物事の捉え方が同じだから心地よい」と話す。
一方、田舎育ちの素朴な男性と結婚した、世田谷お嬢様育ちの友人は、「住まい選び一つとっても、価値観の違いを感じる」とこぼした。
なんとなく、I氏とはこの“普通”を共有できそうな気がした。
友達になれそうだ、と思ったのは、それが所以かもしれない。
I氏「またご飯行きましょう!」
別れ際にI氏はこう言った。
帰宅後のLINEでも同様に。
しかし、“また”はしばらく先になりそう。
“また”があるかもわからない。
来週末からI氏は1ヶ月ほど海外研修。
二次面接自体も「その前に」というオファーで実現したもの。
「その後」までお会いできないことは確定している。
しかも、現在I氏にとって、筆者の優先度は著しく低い。
LINEも平気で数日間未読スルー。
決して読んでいないわけではない。
食事中も社用と私用、2台のiPhoneを手元に置き、通知は絶えず確認していた。
つまり、メッセージの受信を認識しつつ、あえて未読スルーにしているのだ。
比較検討する女性の中での優先度が低いのか。
あるいは、色恋、結婚自体の優先度が低いのか。
仲人からは、職に就いたばかりで、結婚など当面興味がないと聞いている。
後者に賭けつつ、静観しよう。
その間に結婚相談所だな。