いい加減しつこい感じになってきたが、これで最後の東大婚活パーティー報告。
パーティー閉幕の際、二次会の案内があった。
同じ会場で着席にて行うとのこと。
それまで進行を司っていた事務局に替わって司会を担う、男女各1名の幹事が紹介された。
それぞれ、何か挨拶をしている。
「みんなに出会えてよかった」めいたことを言っていたかもしれない。
二次会に出る気など毛頭ない筆者は、上の空で早く終わることだけを願っていた。
幹事「せっかくなので、グループLINE作ろうと思います!二次会に出ない方も出口でLINEの連絡先ください!」
え
連絡先集めるんですか
さっきの連絡先カードによる入札の意味は
婚活パーティーのコンセプトを根底から覆す荒業である。
筆者は婚活パーティーに参加したのは今回が2回目だが、全員でLINEのグループを開設するという形式はおそらく他にはないのではないだろうか。
全員の連絡先が公開され、誰でも自由に連絡できる。
マッチングなんぞ意味はない。
なんと親切な婚活パーティーだろうか。
二次会が終了した頃、グループが開設された。
幹事「わー!グループができて感無量です!皆様どうもありがとう」
二次会でどんな催しが行われたのかは筆者の知るところではないが、何やら感無量らしい。
幹事「さて早速ですが、予告した新年会のスケジュール調整をしたいと思います!」
なにゆえ新年会
LINEのやり取りを傍観してみると、何やらそこには一体感が生まれている。
幹事が感動し、参加者は幹事を労い、みんなで仲良くしよう、という流れができている。
さながら同窓会のごとき仕上がり。
もはや、男女の出会いを提供する場であったことが忘れ去られようとしている。
思わぬ展開だが、東大生であることを勘案すると、納得できる。
遅くきた青春。
筆者はかねてより、そう呼んでいる。
東大進学者の中には、18歳までの人生のほとんどを勉強に費やした者も少なくない。
部活も、行事も、友達との遊びも、すべて犠牲にして、勉強だけに打ち込む。
彼らは、大学入学と同時に解き放たれる。
そして、必死に青春を取り戻そうとする。
学園祭でも、サークルでも、たかだか一般教養のクラスでも、
“仲間で”、“一丸となって”、“結束”したがる。
遅くきた青春。
健全な高校時代を過ごした筆者は、青春を十分に満喫していた。
ミニ丈の制服を着て渋谷でプリクラを撮り、体育祭で汗と涙を流し、高3の夏は演劇の練習に費やした。
青春は高校で卒業。
大学は、自ら選択的に勉強やその他の活動をする場と考えていた。
そんな筆者は、失われた青春を取り戻そうとする東大生を冷ややかに見ていた。
テレビをはじめとするメディアで取り上げられ、揶揄されるように、やはり東大の世界はどこか世間一般からかけ離れている。
それは、“東大合格”を人生の目標に掲げ、偏った教育を受けてきた人間が作り上げた世界だと思う。
そして、彼らには強い特別意識がある。
自分たちは選ばれし者だ、東大の世界こそが正である、と思っている。
とんだおごりだ。
東大ばかりの婚活パーティーの異様な結束は、そんなことを思い出させてくれた。
まぁ、そんなことばかり言ってるから、生粋の東大生にモテないのだけれど。