面接六番勝負を終え、ぐったりしつつも、最終投票の時間である。
“投票”という言葉の選び方に疑問を抱きつつ、思案する。
筆者は東大2人を記入することにした。
同い年の③氏は、おそらく筆者に投票する。
その確率は1。
一方、若い①氏が筆者に投票する確率は。
筆者同様、第2希望まで、2名記載したとして2/5。
年齢を勘案すればその半分、1/5くらいだろうか。
そこで、③氏を滑り止めの第2希望に、①氏を第1希望に記載した。
もちろん確率だけに基づく判断ではない。
①氏の方が好印象だったのも一つの理由である。
年齢という決定的な難点を除けば。
2名を記入した最終投票用紙を提出し、しばし待つ。
開始前と終了後、ブース内の光景がどうにも滑稽に思えてならない。
素知らぬ顔で並ぶ2人。
開始の合図があれば笑顔で挨拶し、終了の合図とともに無言になる。
不思議なシステム。
そんなことを考えながら待っていると、司会からアナウンスが。
司会「集計が終わりましたので、カップルを発表いたします。今回成立したカップルは1組です!」
そして、司会が読み上げたのは、①氏と筆者の番号であった。
なんと。
マッチングしてしまった。
6歳も年下の、うら若き青年と。
同じブースにいた⑥氏は、パチパチと小さく拍手して去っていった。
さて、ここで前編の冒頭に示した学びに至る。
●百聞は一見に如かず
アプリのように書類選考を経る場合、筆者は①氏を選択しなかった。
年齢という条件によって足切りし、俎上に載せることすらなかったはず。
書類選考であれば、おそらく年齢が近い③氏を選択しただろう。
⑤氏も候補に入ったかもしれない。
面接では、書類からはわからない情報を得ることができる。
表情、声、会話のリズム、所作。
これらの情報は、書類選考の結果を覆すことにもなり得るのだ。
●婚活女性は妥協しない
参加者は女性5名、男性6名である。
そして、今回成立したカップルは1組。
これが何を意味するのか。
男性は女性よりも高い会費を払って参加している上、数を打つ習性をもつ。
そんな男性は、おそらく複数名の女性に入札している。
男性が3名の女性に入札すると仮定すれば、女性が1名に入札した時点で、その男性とマッチングする確率は3/5。
女性がもう1名に入札すれば、その男性とマッチングする確率も3/5。
もちろん記載順という要素も加味せねばならないが、参加者が少ない分、複数名に入札した時点でかなり高い確率でマッチングするはずなのだ。
すなわち、今回それぞれの女性が最終投票に記入したのは、1名または0。
驚いた。
筆者は、会費も払っているし、せっかく来たのだから、という貧乏根性で、参加者の中で優劣をつけ、入札した。
しかし、他の参加女性は、妥協などしない。
自身の掲げる条件を満たす人間がいなければ、手ぶらで帰る覚悟なのだ。
筆者と世の婚活女性の温度差を感じる。
逆に、妥協できる筆者がなぜこんなにこじらせているのか、という矛盾も感じる。
そんなこと考えている場合じゃなかった。
どうしたものか、6歳下。
筆者が中学1年のとき、①氏は小学1年生。
「アメあげるからお姉さんと遊ぼう♪」
もはや犯罪のにおいしか感じない。
変な汗が出てきた。
会場を出たら、食事に誘われるのだろうか。
駅までいちもくさんに走ろうか。。。