相手:33歳 大手メーカー勤務 京都大学大学院
方法:婚活サイトOmiai
場所:湘南のクラフトビアバー
衣装:ブルーカットソー(Umaca)、白タイトスカート(aquagirl)、オープントウパンプス(Johnny moke)、トートバッグ(COACH)
 
 
本業の執筆に手をとられ、ずいぶん溜めてしまった。
今回紹介するのは16人目。
これまでで最も悪しき、すなわち最悪の候補者であった。
あまりに不愉快だったため、忘れぬうちに他3名に先行して記しておきたい。
 
 
珍しく居住地の近い方だった。
K氏の勤務地周辺には、大手企業の研究所などが多く、職業も期待できる。
兄弟構成などの共通項から、メッセージもまずまずの盛り上がりであった。
 
面接は筆者が贔屓にする地元のクラフトビール店で行うことにした。
改札でK氏を待つ。
わらわらと改札をくぐる群衆の1人と目が合ったような気がした。
 
あの人か?
いや、そんなことはないはず。
もっと品位のある出で立ちのはずだ。
そんな筆者の仮説は覆された。
 
ライトオン等で購入したと思しき、垢抜けない大学3年生のような衣装。
腰にはチョークバッグ。通勤経路に崖でもあるのですか?
そして、到底品位の感じられない、くどい顔。
K氏であった。
 
 
気持ちを切り替え、お店へと歩きだす。
研究職だから服装はラフなのだと言う。
高学歴男性、とりわけ理系は服装に頓着しない者が多い。
まぁ許容範囲内かと言い聞かせる。
 
店に到着し、各々好きなビールをオーダーする。
筆者は可愛らしくスモールグラスを選択。
一方、K氏はテイスティンググラス。
なるほど、テイスティングして気に入ったものを召し上がりたいのか。
ちなみにテイスティンググラスはシャンパングラス程度の大きさだ。
 
きくと、K氏はアルコール耐性が低いそうだ。
このサイズであれば3杯飲めると嬉々としていた。
せっかくのクラフトビールなのに残念だ。
 
再度気持ちを切り替え、会話をする。
すると、序盤で衝撃のどんでん返しを食らうことになった。
 
なにやら特殊な学生生活だったという。
京大で何が特殊なことがあろうか…?
 
 
K氏は、5年制の高専を卒業したのち、九州の大学(詳細不明)に学士入学、京都大学の大学院に進学したそうだ。
 

大幅な学歴ロンダリング。

確かに京大大学院卒は嘘ではない。
しかし、それをあえてプロフィールに記載する背景には、何らかの意図が見える。
 
 
虚無感に襲われる筆者をよそに料理も運ばれてくる。
 
そしてK氏は…
サラダ すする
ソーセージ すする
メイン料理 すする。
 
あらゆる食物を吸引する人間であった。
筆者が最も苦手とする下品な食べ方。
歯が浮く。
 
耐え切れず、視線を遠くにやり、意識をK氏からそむける。
上の空状態を自ら作り出すのだ。
 
K氏「どうしたの?向こうに気になるものでもあるの??」
筆者「あ、いえ。すみません。わたし人間観察が好きで笑」
 
筆者は心の中で叫んだ。
気になるのはその食べ方だ。気になって不快だから遠く見てるんだよ。
 
そして、筆者は開き直った。
そうだ、今日は大好きなクラフトビールを飲みに来たのだ!
テイスティンググラスを大事に飲むK氏をよそに、筆者はホールスタッフを呼んだ。
 
筆者「IPA ロンググラスで」
 
筆者のグラスが空いているのに、気づかないK氏にも、スタッフにも腹が立つ。
美味しいビールだけがせめてもの救いだ。
早く時が過ぎることだけを祈りつつビールに専念する。
 
K氏の話には適当に相槌を打ちつつ、筆者のプライベートな話はするまい。
このビアバーと酒造のおすすめだけしていた。
 
K氏「説明はいいよ。連れて行ってくれれば。一緒に行こう。」
 
勘弁してください。
 
 
筆者の嫌いなものは、“嘘つき”と“卑しい者”である。