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 昔「阿羅漢」を劇場で観た時、春夏秋冬の季節が移ろう中、演武の姿にスタジオ撮影ながら感動しました。
 SPIRITの劇中、失意の放浪の最中辿り着いたのは辺境の村なのですが、稲作地帯でその農村の風景が日本を彷彿させ何故かとても懐かしい気持ちになりました。その緑なす大地で演武するジェット・リーの姿を見て阿羅漢を思い出したわけです。
 中国は大雑把に言って北の小麦文化圏と南の稲作文化圏に分かれるそうですね。当然日本の源を辿れば大陸の稲作にルーツが求められるわけですし、近代化をする以前の日本文化において、遊牧民が馬や羊と云った食料であり衣類であり燃料にもなる動物の中に入って文化を築いたように、日本人は稲に寄生するがごとく秋津島において文化を育みました。
 日本の生活様式と稲作の関係をここで説明するにはちょっと字数が足りないので割愛します。学校の授業程度しか格闘技を正式に習っていませんが、足の運びや体の使い方がヤマでしの竹を刈る足の位置や運びとか鍬鋤の腕の動かし方が柔道や剣道と同じであることに二十歳過ぎてから体得しました。
 劇中日本の市場を意識してか中村獅童がとってもかっこいい役をもらっています。まるで北斗の拳におけるラオウのような存在だと思います。その稲作文化と切っても切り離せない日本武術(劇中の動きは中国武術でしたが)との壮絶な対決に、主人公が開眼し心を残した場所が稲作農村地帯であったことがとても運命的なものを感じるとともに、脚本家が意識していたのかどうかとても気になりました。ちなみに上記に書いているアキツ島ですがアキツとは蜻蛉(トンボ)のことです。古名として日本列島の本州や九州をアキツシマと書かれている場合があります。現在のような灌漑技術を持たなかった時代、稲作は山の斜面に棚田を作り雨水を溜めて行われました。稲作文化圏の祭は山から田へ神が一年を通して往来する場合が多いですが、蜻蛉と関係があるような論も目にします。当然劇中にも刈入時期に蜻蛉のシーンが入ります。
 これはどう考えても文化と武術を踏まえた上で脚本が練られたと考えるしかありませんな。まあ、本編にはまったく関係が無い話ではありますが。
 単純な「力」を求めた男が遍歴の末、生死の賭けの先にある「スピリット」ををつかむまでの生き様を描ききった良い映画です。その割には観客動員数が伸びていないような気がします。

以下yahooより引用
解説: 『HERO』『LOVERS』を手がけたプロデューサーのビル・コンが、『HERO』に続きジェット・リーとのコラボレーションで放つアクション巨編。実在したマーシャル・アーツの伝説的人物をモデルに、格闘技の師匠だった父の跡を歩もうとする男の生きざまを描く。孤独な主人公をリーが全身全霊の力で大熱演するほか、相手役には日本から人気俳優の中村獅童が参戦。マーシャル・アーツの精神を、闘いで表現する彼らの挌闘シーンの迫力に圧倒される。
ストーリー: 武道に憧れて天津一の挌闘家になったフォ(ジェット・リー)は、その高慢な人格が災いして、悲劇のどん底へと突き落とされてしまう。すべてを捨て流れ着いた辺境の村で農夫として働き始めた彼は、本当の強さとは何かを悟るのだが、そんな彼に史上初の異種挌闘技戦が待ち受けていた……。
(FLiX)
製作年度 2006年
製作国・地域 香港/アメリカ
上映時間 103分
監督 ロニー・ユー
製作総指揮 -
原作 -
脚本 クリスティン・トー 、クリス・チョウ
音楽 -
出演もしくは声の出演 ジェット・リー 、中村獅童 、スン・リー 、原田眞人 、ドン・ヨン