今年も間もなく一年を終えようとしています。皆さんにとって、どのような一年でしたか。良かった人、悪かった人、様々におられると思います。私はどのような一年であったとしても、気持ちよく一年を終え、新しい年を迎えたいと思っております。しかし、そんな私の思いを踏みにじるような言葉を耳にし、残念でなりません。

その言葉とは、いわゆるヘイトスピーチです。発言されたご本人は、おそらくご自身の考えの中で「私が正しい」との思いがあるのでしょう。そして、その方が正しいのか正しくないのかを私が決めることではないことも承知していますが、その言葉を聞いて、私は気持ちよくはなれませんでした。
また、ヘイトスピーチに限らず、たとえば、何らかの人や物事(相手)に対して思い込みを持ち、自分勝手に決めつけた結果「いらぬ争いになった」なんてことはないですか。しかも、一回や二回じゃなく何度となく繰り返しです。
そのような私の生き方を仏説無量寿経下巻(真宗聖典p.61)で、仏が弥勒菩薩に向かって「吉凶禍福、競いておのおのこれを作す、一も怪しむものなきなり」とお説きになります。
「吉凶禍福~これを作す」とは、「人は何が善で悪かを判断することができず、また、そのことを教えてくれる人もいない。そのような盲目の中で自分の都合ばかりに囚われている」。そして、「一も怪しむものなきなり」とは、「自分の考えや言動が正しいと信じ込んで疑うことをしない」と、言い当てておられます。
私たちは日頃「私が正しい」と信じ込んで、自身を疑うことをしません。このお経の言葉との出遇いによって、これまでの自分の生き方を見つめなおすきっかけになればと思います。
南無阿弥陀仏
今年も一年お世話になり有難うございました。
来年もよろしくお願いいたします。