やっとうちに着いたぞ…

 みんなで家に

 帰ろうなあ…。
 夢の中で振り返った

 剛健が笑顔で

 言う声が遠くなった。

 晃を抱きしめていた

 さなえも
 スーッと消えていく。
 剛健とさなえの

 姿が消えて、

 運転席に

 雄一郎の背中、

 それに晃が

 より掛かっていたのは
 加奈子の肩だと

 気が付いた晃に

 加奈子が優しく

 声をかけた。
「晃、ほら、おきて。」

 晃は加奈子の

 肩から顔を上げて、

 加奈子の顔に

 さなえの顔を

 重ねて、

 見つめる晃の

 泣き顔に加奈子は

 ドキッとした。

 車を施設の横に

 止めて振り向いた

 雄一郎も晃の

 顔を見て心配した。
「晃、園に着いたぞ?

 どうしたんだ?

 泣いてるのか?」

 自分が泣いていると

 気が付いた晃は

 自分の頬を手で

 拭った。

 それでも晃の目から

 涙が溢れて零れてくる。
 加奈子と雄一郎は

 晃の涙の意味に

 迷って二人で目を

 見かわした。
「何か怖い夢見たのか?」

 晃は寝起きだったが

 さっきまでいた

 父と母の

 リアルな感覚・

 感触がまだ

 残っていたから

 頭を左右に振って

 答えた。
「ううん。

 夢見たんじゃない。

 さっきのは本当の事だよ!
 父さんと母さんが

 今ここにいたんだ。

 父さんは

 車を運転してて、

 母さんは

 俺の横にいた。」

 雄一郎は

 それを否定できないが

 事実とも言えない。
「…そうか。」

 

 

 

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