「俺は結婚している。」
 裸の百合子を

 腕枕に抱いて、

 じっと見つめる百合子に

 自分が結婚していると

 告げた。
「………。」
 泰三を見つめる

 百合子の目から涙が

 溢れて流れていく。
 そうだろうと思っていた。

 分かっていた

 はずなのに

 涙が落ちていく…。
 声も出さず静かに

 涙を零す百合子に

 堪らない気持ちになって

 泰三が胸に抱き寄せる。
「俺はずるい。

 ずるい男だ。

 許してくれ百合子。」
「泰三さん…。」
 百合子はそのまま

 泰三の胸で泣いた。
 文句も、怒りも

 何も言わない百合子。

 少し百合子が

 落ち着いてから

 泰三は再び話した。
「俺の妻には若い頃

 会社を立ち上げてから

 ずっと苦労を掛けている。

 子供もいる。
 息子にも苦労を掛けた。

 だからそんなに

 簡単には

 離婚の話はできない。
 だけど百合子は

 俺が守るから。

 お父さんの面倒も

 俺がちゃんとみる。
 百合子は大船に乗った

 気でいればいい。」
 そう言われて百合子は

 悲しかったが、

 頷いて愛人の立場を守った。
 仕方ないわ…。
 今の百合子は泰三以外

 頼る者がなく、

 むしろ飽きて

 捨てられる方が怖かった。
 

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