明けましておめでとうございます
更新率のきわめて低い、更新したと思ったら読むのが面倒くさいくらい長いブログに遊びに来てくださって、ありがとうございます。
今年も代わり映えはしないと思いますが、よろしければまたお付き合いくださいませ
と言いつつ、この記事は本当は年末にアップするはずだったのに、案の定、計画通りには行かず、書いている今もまだ2022年の気分……それなのに今日からもうお仕事。
今年も頑張りましょう!
(この記事、何回も放置していたので、時系列がおかしいかも……ご容赦ください)
2022年12月のコンサート
12月は忙しい最中に滑り込みで、2022年のうちに聴きたかったピアニストの最後のおひとり、阪田知樹さんのリサイタル(ようやく)行くことができました。
でもまずは2022年最後の遠征、「チョ・ソンジンさんのため以外には遠征しない」と言っていた舌の根も乾かないうちに行ってしまったサントリーホールから。
亀井聖矢さん
早々にチケットを取っておきながら、さすがにちょっと迷ったのですけれど(師走だし忙しいし遠いし=サントリーホール)、亀井くん初の大ホールのソロリサイタル、1stアルバム発売後、しかもロン・ティボー・クレスパン国際コンクール第1位後の記念すべきタイミング。
これこそ二度と無い、一期一会な演奏会、となれば行くしかないよね!
これまたすさまじいプログラムでした。要するに彼が2022年に輝かしい成績を残した3つのコンクールで弾いた曲のオンパレード。
プログラムは……
マルコス・フェルナンデス・バレーロ『フーガシティ』
誰?と思ったらマリア・カナルス・バルセロナ国際コンクールのための委嘱作品。ちなみにこのコンクールには角野隼斗さんも応援に駆けつけていて、先日は二人のデュオでスペインの旅から得たインスピレーションで作曲したという曲を聴かせていただきました。かてぃんくん、天才やな~
イサーク・アルベニス 《イベリア》組曲より『トゥリアーナ』
スティーブン・ハフ『ファンファーレ・トッカータ』
これまた誰?と思ったら、ヴァン・クライバーン国際コンクールのための委嘱作品だと。う~む。
ジョージ・ガーシュイン『3つの前奏曲』
ジャン=フィリップ・ラモー 《クラヴサン曲集》より『鳥のさえずり』
モーリス・ラヴェル『ラ・ヴァルス』
モーリス・ラヴェル『夜のガスパール』オンディーヌ・絞首台・スカルボ
細川俊夫 ピアノのための《ピエール・ブーレーズのための俳句ー75歳の誕生日にー》
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ=フランツ・リスト「ノルマ」の回想S.394
(アンコール)
フランツ・リスト 超絶技巧練習曲第4番『マゼッパ』
ミリイ・バラキレフ 東洋風幻想曲『イスラメイ』
フランツ・リスト『ラ・カンパネラ』
演奏曲を並べてみるだけでも伝わったのでは、と思うのですけれど、はい、ぽかーんとしている間に終わりました……いえもう、何も言うことありません。密度の濃い特大の鉛玉を食らったような気分で、ここまでがっつり力業で来られたら、ノックアウトされた方も清々しいではありませんか。
ほんとに、これだけの曲を集中力マックスのテンションで弾き続けるって……しかも、聴いている方も、難曲オンパレードに疲れるのかと思ったら、なんだかもう圧倒されて、同じ波に乗るしかないという感じで、自分も一緒にハイテンション
いつもブログを楽しませていただいているPさんが「こんな難曲を当たり前のように得意げに演奏してしまう亀井君が、なんだか遠くに行ってしまったような……」と書いておられましたが、まさに同じことを感じました。数年前、ピティナ特級グランプリを獲った頃の初々しい亀井君はもういないのね……。
そりゃそうですよね。20歳。同じところにとどまっている訳がありません。
プログラムにも彼の遊び心があって、ほんとに今の若者ってスマートだなぁ。
もちろん、まだまだ音は直線的だと感じましたが、若い人にしか出せない、そう、今の亀井くんにしか出せない気持ちのいいくらいまっすぐで清々しい音。
「超絶技巧のその先へ」彼が行き着くところをみたい!と思わせてくれました。
またもやその先を見ることができるか分からないのが悔しい……いえ、頑張って長生きしましょう。
ちなみにちょっとだけ双眼鏡で手元を観てみましたが、すぐにやめました。
だってものすごいスピードで指が動いてるんですもの。酔いそうで……
お友達にも久しぶりに会えて、またもや日本橋の麒麟を見て喜んで(って、何回見に行っている?)、中井貴一さんが…のシーンを友人に説明して、沢山おしゃべりしてから、一人てくてくサントリーホールへ。
帰りは帰りで大満足でハイテンションの私、東京駅で奮発して明太子のお重を食べました。
でもやっぱり20歳の若者。亀井くんのツイッターが可愛すぎて……
数十分の断食を終え、再びお肉…
— 亀井聖矢 Masaya Kamei (@masayakamei_pf) January 2, 2023
実家というのはそう甘くなかった。
食べた分は弾いて消費してきます🎹 pic.twitter.com/dXfVcqy9QT
数十分の断食!
阪田知樹さん
阪田知樹さんのピアノリサイタルシリーズと称して『ショパンを巡って』という副タイトルがつけられた演奏会の第2回。
そのテーマは「踊りから花開くピアノ音楽の世界」でした。
実はこの第1回が同じ兵庫芸文で開催されたとき、同日同時刻に隣の大ホールでツィメルマンの演奏会が……そりゃないよ~と思いましたが、大御所には勝てません。ツィメルマンに行きました
この日、たまたま隣にあわせになった方も、「初めて聴きましたけれど、すごく良かったですね。第1回も聴かれたのですか?」と話しかけてくださいました。
「いえ、前回は隣の大ホールにツィメルマンが来ていて……」とお答えすると、「あ、私もそっちに行っちゃったんですよ」
このシリーズ、面白いことに、「ショパンを巡って」と言うのに、ショパンはちょっとだけという、そこに阪田さんのプログラムへのこだわりというのか、想いがあるようでして……すべての答えが繋がる第3回を待ちましょう!
プログラム
J.S.バッハ:パルティータ第4番 ニ長調 BWV828
R.シューマン:蝶々 作品2
F.シュミット:ワルツ・ノクターン第1番 作品31-1
M.ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
F.ショパン:マズルカより
F.ショパン:バラード第4番 ヘ長調 作品52
(アンコール)
F.リスト:『リゴレット』による演奏会用パラフレーズ
済みません……前日3時間しか寝てませんでして……頑張ったんですけれど、バッハでは半分夢の世界でした……が、ちょっと面白い夢うつつで。
ちゃんと耳がパルティータを聴いていて、聴いている自分を脳が見ている、というような。半分夢うつつだったことの言い訳ではありませんが 一音一音に説得力があるというのか、何かちゃんと意味づけされいるようなそんな音。
フランツ・リスト国際ピアノコンクールでは「天使が弾いているようだ」と称されたのでしたね。私の中では天使の音と言えば、藤田真央さん。想いを込めるとか技術をつぎ込むとか、そういう意図を感じさせない、非日常の世界、鍵盤のちょっと上で音が出ているような、そんなイメージ。一方で、阪田さんの音はどこかにしっかり根ざしているといいますか、根拠がある音のように思えました。
もちろん、シューマンからはばっちり目が覚めました!
阪田さんは、このプログラムはショパンのバラード4番を弾くために、そこに至るにはどういう組み立てをすればいいのかと考えた、と仰っておられました。それだけに、バラード4番の説得力はすごかった。
なんと言いますか、これまで聴いてきたいろいろなピアニストさんのバラ4もみんな素敵でしたが、それ以上に、ものすごく立体的だったのです。フレーズ(大きな塊でも小さな塊でも)がみんな音色が違って聞こえる。ある場面を生み出すフレーズが終わったら、またそこに次に別の色彩のフレーズの場面が重なって、どんどん物語が立体的になっていく、そんな演奏。
それはアンコールの『リゴレット・パラフレーズ』でもっと明らかになりました。音楽の中に音色で物語が描かれている。沢山の場面が(色彩のみの場面)次々に目の前に現れるような。素敵な時間でした。
第3回も楽しみです。今度も大御所が隣に来ませんように。
角野隼斗x亀井聖矢2台ピアノコンサートツアー
7月に予定されていたコンサートが延期になって年末に。
まずはなんと言っても、会場の雰囲気にちょっとドキドキ。いえ、予想はしておりましたが、なんとなくアイドルのコンサートのようなムードが……この翌日の第九の会場のムードと比較すると、その違いがあまりにも興味深くて クラシック音楽もこうしていろんなタイプの演奏会があって裾野も広がっていくと良いですね~
私は素直に申しますと、亀井くんの顔を見に行きました
いえ、この間のリサイタルは手もとを見たくて(結局速すぎて見えなかった)左手に座っていたのですが、2台ピアノの時は多分、角野さんが奥側に座るだろうから、向かって右が亀井くんかな、と思っていたわけです。
もちろん、彼らはばっちりファンサービスして、前半と後半で入れ替わっておられましたが。
一言でいうと、清々しい若さあふれる楽しくてエネルギーをわけてもらえる、そんな演奏会でした。
私のお目当ては亀井くんでしたが、今回もまたまた角野さんには感心させられてしまいました。ショパコンの時も回数を重ねるごとに良くなっていった演奏、そして、ラフマニノフ3連投の時は背後に大御所が控える中、パガニーニ狂詩曲を初々しくも聴衆を惹きつける演奏で見事に弾ききり、今回も、ラヴェルの演奏を聴いて、すごく音が柔らかくて綺麗~と思いましたし(とても繊細な音)、何よりも、作曲・編曲ではキャッチーなフレーズをいくつも織り込んでいて聴きやすい、才能はもちろんだけれど頭の良さを感じさせる曲作りでした。
帰りに買ったショパンコンチェルト第1番のCDにはボーナストラックとして彼のアレンジした曲が入っていたのですけれど、エチュードのOp.10-1のアレンジ曲は、はじめからこんな曲だったかしらと思わせるような、自然でいてスケールの大きな曲。
彼の目指す「ディズニーランド」(角野さんの子どもの頃の夢は人でも職業でもなくTDLになること! やっぱりスケールが違うな~)がこれからどんなふうに展開していくのか、楽しみですね。
またぜひぜひ、二人でやってね!
バーンスタイン(角野隼斗編曲):キャンディード序曲
亀井聖矢:2台のピアのための共奏曲
ラヴェル:水の戯れ(角野隼斗ソロ)
ラフマニノフ:組曲第2番 作品17
マルケス(亀井聖矢編曲):ダンソン第2番
バラキレフ:東洋風幻想曲「イスラメイ」(亀井聖矢ソロ)
角野隼斗:エル・フエゴ
亀井聖矢(角野隼斗編曲):パガニーニの主題による変奏曲
これがすごく良かった~。二人の合作感が半端なくて
(アンコール)
アイルランド民謡:ダニーボーイ
リスト:パガニーニ大練習曲集 第3曲 「ラ・カンパネラ」
亀井くんが一人で弾き始め、途中から角野さん乱入
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より トレパーク
コンサートの後は、ピアノ友達と焼き肉! そこそこ妙齢な女二人の年末焼き肉会、もう霜降りは食べれないよね~と言いながら楽しく食べて、楽しくお話ししました。「若いっていいよね~」とか言いながら。
ありがとう~。あ、写真撮るの忘れてたわ。
2022年聴きに行ったリサイタルを並べてみました。
コロナのせいで行けなかった数年間を取り戻すみたいな1年になりましたが……ちょっと頑張りすぎたかな。週末の予定を詰め込みすぎたので、今年はもう少しおとなしくしよう、と思ってはいますが、全てはチョ・ソンジンさん次第?
1月
藤田真央ピアノリサイタル(いずみホール) 記憶にないけれど最前列だった…
坂本彩ピアノリサイタル(神戸新聞松方ホール)
2月
熱狂コンチェルト2022 哀愁のラフマニノフ3大名曲選!(シンフォニーホール)
(角野隼斗/関本昌平/上原彩子&三ツ橋敬子/日本センチュリー交響楽団)
3月
牛田智大ピアノリサイタル(シンフォニーホール)
4月
IL DIVO(2日連続)(フェスティバルホール)
大阪フィルハーモニー交響楽団第557回定期演奏会(尾高忠明&藤田真央)
横山幸雄ピアノリサイタル 入魂のショパン(シンフォニーホール)
卒寿 外山雄三&レジェンド(前橋汀子/堤剛/清水和音&外山雄三/太田弦・大阪交響楽団)(シンフォニーホール)
5月
ピティナ特級グランドコンチェルト(森本隼太/尾城杏奈/亀井聖矢&藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団)(シンフォニーホール)
坂本彩ピアノリサイタル(KOBELKO大ホール)
6月
琉球交響楽団 大阪特別講演(大友直人&清水和音)(シンフォニーホール)
横山幸雄とN響メンバーが奏でるショパンピアノ協奏曲第1番&第2番(神戸女学院小ホール)
8月
上原彩子プレミアムリサイタル(シンフォニーホール)
チョ・ソンジン ピアノリサイタル(愛知県芸術劇場コンサートホール)
チョ・ソンジン ピアノリサイタル(よこすか芸術劇場)
10月
サイモン・ラトル ロンドン交響楽団/チョ・ソンジン(北九州ソレイユホール)
11月
マルティン・ガルシア・ガルシア ピアノリサイタル(シンフォニーホール)
仲道郁代 ショパンを弾く(シンフォニーホール)
生熊茜 ピアノリサイタル(すばるホール)
ゲルハルト・オピッツ プレミアムピアノリサイタル(シンフォニーホール)
12月
亀井聖矢 ピアノリサイタル(サントリーホール)
阪田知樹 ピアノリサイタル ショパンを巡って(神戸女学院小ホール)
角野隼斗x亀井聖矢2台ピアノコンサートツアー(シンフォニーホール)
大阪フィルハーモニー交響楽団 第9シンフォニーの夕べ(フェスティバルホール)
こうして並べてみると、ピアノが多くなってしまっていますね。もともとオーケストラとオペラばっかり聴きに・観に行っていたのに……
ピアノリサイタルは比較的チケット代金が安いのが有り難いですけれど、今年はもっとオーケストラを聴きに行こう!と思います。
この中で、最も印象深かったコンサート・リサイタルは?と考えましたが……
それはもうチョ・ソンジンさんでしょ?と言われると、その通りなのですが、彼のことはもうたくさん書いたので、今回はちょっと置いといて。あと、藤田真央さんも……やっぱり私にとっては特別なピアニストなので(鍵盤に……以下略)。
昨年聴きに行ったそれぞれのピアニストさん、いずれも素晴らしいパフォーマンスで、感動しながらめいっぱい楽しんだのですけれど、並べてみて、やっぱり思い出すのは
・特級グランドコンチェルトの亀井聖矢さんのラフマニノフ第3番:すさまじかった。終わったとたん、無意識に立ち上がっておりました。
・上原彩子さんの『展覧会の絵』:声部が全部違う音色で聞こえて感動。まさにオケを聴いているようでした。
コンチェルト3本立てのコンサートはものすごくありがたかったです。
値段もそんなに高くなく、色んなピアニストさんの演奏を一気に聴くことができて、お得感満点でした。
それにしても、一時、シンフォニーホールの屋根裏に住もうかしら(シンフォニーホールの怪人?)と思ったくらい通い詰めていたような。
今年は大人しくしよう……一応言ってみる
12月の締めくくりは、やっぱり第九
毎年、今年こそは別のオケの第九を聴きに行くぞ!と思うのに、結局毎年、フェスティバルホールに大フィルの第九を聴きにいく……そして、蛍の光を聴いて満足して帰る……もうこのルーチンは変わらないようです。
蛍の光で明かりが一つ一つ消えていって、フェスティバルホールが一瞬真っ暗になる(どうせなら非常灯も消して欲しい)、あの瞬間に行く年を思う年の瀬なのでした。
そうそう、フェスティバルホールの1階のショップで買い物をしたら……なんと朝比奈隆さんのイラストの入ったクリアファイルを頂きました!
思い起こせば、朝比奈隆さんが亡くなられた年、(もちろん朝比奈隆さん指揮予定の)第九のチケットを持っていたのですけれど、その直前に入院されてそのままお亡くなりに……朝比奈さんの指揮で聴けなかった最後の第九、今でも以前のフェスティバルホールの佇まいと一緒に鮮烈に思い出します。
ちなみにその日の指揮の代役は若杉弘さんで(当時大好きで、びわ湖ホールに通っておりました)、その若杉さんもすでに鬼籍に入られていて、第九に行くたびに時の流れをかみしめております。
そういえば、あの頃、びわ湖ホールでヴェルディの日本初公演となるオペラをいくつも聴かせていただきましたが、脂ののりきった当時の福井敬さんの素晴らしい歌声を何時も楽しみしておりまして、今も、大フィルの第九では福井さんの声を拝聴することができるので、それも楽しみのひとつです。
さて、予定通り、今年のコンサート1番は『21世紀の新世界』、大好きなドヴォルジャークの『新世界より』からスタート。ソリストは初めましてのフルートの高木綾子さん。実は高木さんのために作られたというフルート曲のピアノアレンジを去年から練習しているので、とても楽しみ。
そして……反田さんと愛美ちゃんのご結婚、おめでとうございます!
というのか、初めに記事を発見した1月1日、脳は「あ~知ってる知ってる」って、もうとっくに分かっていたことのように受け止めていました。皆さん、驚きよりも納得だったと思いますが、それくらいご一緒におられるのが当たり前に見えるカップル。
ほんとにおめでたい!
だって最近のいくつかの雑誌のお二人の距離感がね~
ここで、皆様よいお年を! で終わるはずだった記事。
年内にアップできず(書くのに時間がかかって)、明けましておめでとうございますになってしまいましたが、気持ちとしては年始の1番記事は、次回の今年の抱負記事?
また近いうちに。
ここまで読んでくださってありがとうございました