【第16回 旦部遥奈】ダンスはうまく踊れない? | 早稲田大学演劇倶楽部

はじめまして。34期の旦部遥奈です。

 

確かに茜さんは食べることがお好きなイメージがあるなあ、と前回のブログを拝読して思いました。昨年12月の茜さんの主宰公演で私は制作補佐で小屋入りしていたのですが、ケーキを差し入れたら誰よりも美味しそうに食べて下さったことを思い出しました。

食は確かに、記憶に深く結びついている気がしますね。

去年の新人訓練中にずっと飲んでいた飲む鉄分ヨーグルトやら、先輩にお渡ししたマルセイバターサンドやら、同期に教えてもらった数々の沖縄料理やら、稽古後の油そばなど、そういう食べ物がトリガーになって新訓の頃の記憶が走馬灯の様に蘇ること、未だにめちゃくちゃあります。

 

 

さてエンクラブログリレーももう終盤、脈々と繋がれたバトンをどう受け渡そうか思案していますが、MJのSmooth Criminalのダンスがリバイバルマイブームな私は今回ダンスについて書こうと思います。演劇倶楽部なのに何故ダンスの話を!?と仰る方もいるかもしれませんが、私は演劇倶楽部の公演、特に新人公演とダンスは実は色々な面でめちゃくちゃdenseな関係にあると思っています。

 

というのも、演劇倶楽部の新人公演では毎年劇中にダンスシーンがあるのです。このダンスは、私の知りうる限り毎年新人が考えます。昨年度、34期の新人公演では同期の瀧口と谷口が振りを考えてくれました。

ではエンクラ員みんながみんなキレキレダンサーなのかというと、全くそんな事はありません。恋もdanceほど夢中になれない(なんてね)タイプのエンクラ員もいれば、ダンスはうまく踊れないタイプのエンクラ員もいます。只新人公演のダンスは、勿論お客様にお見せするものなので、一挙手一投足までこだわって練習します。些と私たちの代の話をすると、34期四人のうち、半分はダンス経験者でもう半分は未経験者でした。身体のクセや状態が全く違う四人が同じ振りをするのはやはりおいそれとはいかない一方楽しくもあり、そして何より新発見でもありました。例えば私はずっとバレエをしていたのですが、やはりバレエは「型」がすべての踊りなので、どうしても同じ振りでもそのニュアンスが出てしまいがちです。でもダンス未経験だった同期は同じ振りをしても全く違った動きに見えたりして、その同じ振りの上での個性が内心すごく羨ましかった記憶があります。

こういう、同じ振りを極めたからこそ見えてくる個性との邂逅が、個人的には新人公演のダンスでは凄く印象的で勉強になりました。

 

 

私が心に留めている言葉として、型があるから型破り。型が無ければそれは型無し。という趣旨の故・中村勘三郎さんの言葉があるのですが、改めて身を以てそれを実感した体験だったなと思います。今年度は、密ですからね、蓋しdenseなdanceは望むべくもないのでしょうが、何らかの形態でエンクラの新人の皆さんもこういう経験に逢着してもらえるよう我々も準備を進めています!

そしてこの型の話は、演劇倶楽部の新人訓練そのものとも係わっていると個人的には思っています。勿論それぞれ合う、合わない等はあれど、私は新人公演をする上で、同期と発声や身体の使い方などの最低限の型をエンクラの新人訓練で共有できた事は本当に得難い経験だったなと今になって顧みています。こういう面でも、新人公演とダンスは密な在り方をしているのではないでしょうか。

 

とまあダンスの話やら何やら蛇行しながら書き連ねてしまいました。一口にダンスと言っても、「ダンス」なんてものはそれはそれは広義な概念です。所謂ジャンルだって山ほどあります。マイケルも中森明菜もギエムも、新人訓練中に参考にした菅原小春さんも、全くスタイルは違えど皆ダンスをしています。友達が一緒に暮らしているインコの必死の求愛だってダンスだし、「やべえ嬉しくって小躍りしちまう❤️」みたいな事態もダンスです(結構私はテンション上がると所構わず小躍りしちゃうんですが皆さんはどうですか?)(因みにwikipediaには遊戯的でリズミカルな動きの連続によってコミュニケーションや表現を行う文化、とありました)。私はダンスにおけるエキスパートではないので、これは個人的所感に留まってしまうのですが、ダンスは本能的で、演劇と表裏一体、蜜月の関係性だなといつも思っています。もういってしまえば何だってダンスな気すらしてきます。体で表現して伝える、体で相手とコミュニケーションをとる、相手の動きの空気感を読む、合わせる、どんな些細なことでもダンスであり、演劇になり得る気がしています。新人の皆さんとも、早く身体で遊びたいです。

些か駆け足なまとめ方をしてしまいましたが。

 

リピート再生のMJはもうかれこれ一時間は踊り続けています。新人の皆さんにお会いする暁には、私は超スタイリッシュなムーンウォークが出来るようになっていることでしょう。踊りが好きな人、嫌いな人、得意な人、苦手な人、どんな人でも、一緒に「ダンス」するのを楽しみにお待ちしています。