山之介です。
9月7日(土)の朝4時、アラームで起床です。
夜中の12時頃から少し寒くなっておしっこもしたくなったのですが、外に出るのが寒くてガマンをしていたらほとんど眠れませんでした。
朝の気温はテントの中で9.4℃。
朝食は「レーズンパン」とコーヒー。
テントから出ると後ろのソロお2人さんはすでに支度中です。
トイレに行って戻ると手前のテントの方は既に出発済でした。
身支度をしてもう1度トイレに行って戻ると奥の方もすでに出発されていました。
結局、「時間が合えば一緒に出発しましょう」と言っていたのは別行動となりました。
自分は予定通り4:30出発です。
受付から見た「剱岳」。すでに「前剱」あたりに登っている方が居るようです。
15分ほど進むと「剣山荘」からヘッデンのライトが繋がっているのが見えます。
ヘッデンの明かりで照らした感じはこうですね。この暗い中を歩くのはあまり得意ではありません。
4:55 昨日の朝に調べていた時間通りに明るくなって来ました。
本当はもう少し暗いのですが、だいだいこんな感じで陽が出るのを待ちます。
5:05 「剣山荘」に到着。
「剣山荘」までのログ。
予定通り「剣山荘」でヘッデンを取り外して出発です。
ちょっと登って振り返るとこんな感じです。左の山頂の真下の谷がキャンプ場の場所です。
勾配こそあるものの、どこの山にでもあるガレ場です。
さっそく鎖場が始まりました。
山頂までは1~10までの鎖場があるそうですが、この辺りは無くても全然平気です。
だからお花を写す余裕もありありです。
「イワツメクサ」
「ハクサンボウフウ」
単なる岩場です。
これくらいならどこの山でもありますからね。
でも、今日は例の難所を通る為、一応ハーネスを装着して登っていますよ。
2番目の鎖。足場がしっかりしているので使う事はありません。
「一服剱」が見えて来ました。
「一服剱」からの「富山平野」と「富山湾」。
ちょうど「鹿島槍ヶ岳」の肩あたりから陽が昇って来る瞬間でした。
そしてこれから向かう「前剱」。「前剱」と書いて「ぜんけん」と呼ぶのが正しいです。
「前剱」で奥のテントの方に追いついたので「おはようございます」と声を掛けましたが、自分の事を思い出せない様子でした。
「一服剱」までのログ。
ここから一旦下ると「トリカブト」や
「キイチゴ」天国。
まだまだ写真を撮る余裕があります。
日の出と谷底。高度感はまだありません。
そして進路は「前剱」へ。上の方はどう登るんでしょうね?
振り返って「一服剱」。
「イワベンケイ」・・・終わっていました。
鎖場は事故が起きやすい場所ですが、実はこの「前剱」への登りの方が事故が起きやすいそうです。
ガレ場の為落石を起こし易いのだそうです。気を引き締めて進みましょう。
後ろは左が「別山」、右が「剱御前」、そして手前のこんもりさんが「一服剱」となります。
この辺りからだんだん角度がおかしくなって来ます。
「あの大岩が落っこちて来たら今ここに居る全員は終わるね」と思わざるを得ない。
「グフ」の角です。
4番目の鎖です。あれれ?3番目はどこだったっけ?そして見えているのが「前剱」です。
この辺りで追いついて来た人が胸から高そうなカメラを提げていたので
「高そうなカメラ、ガーンと岩にぶつけたりしません?」って声を掛けると
明るい声で「そりゃショックですよ。だからぶつけませんよ」と返事を返してくれたソロの男性とこの先ずっと一緒になり、楽しくおしゃべりしながら登る事になります。
チラッと見えてしまいましたよ、山頂が。
またまた鎖場です。
って、あんな所を渡るんですか。
そこへ行く前にこの滑りやすそうな橋を渡ります。
橋の真ん中で。落っこちたら終わりですね。
さっき見えたのは5番目の鎖でした。足場が広く見た目ほどではありませんが鎖を握らないと通れません。
先を行かれるこの方が鎖場では、次の支点(アンカー)に移られたら「OK」と声を掛けて下さるので、安して鎖を握る事が出来ました。
基本、鎖は支点(アンカー)と支点(アンカー)間には1人が鉄則です。
ここで後ろを見たら後続の年配の男性が、自分とおなじ鎖に繋がっていてビックリしました。
こう言う方とは距離をおきたいものです。
ここを裏へ廻ると山頂がど~ん。
その前に登った分だけ下る損なルートで赤丸の人がかなり小さく見えますよね。ここが6番目の鎖だったようです。
下りたらまた登り返して
着いた所が「平蔵の頭」。渋滞して来ました。岩の中央に下がっている鎖は下り専用です。
7番目の鎖は長さこそ短いものの打ち込まれたボルトを足がかりにしてよじ登り裏側へ周ると、
恐怖の下りです。下りた先が「平蔵のコル」です。赤丸の人ちっちゃー。
下り斜面ではここが1番怖かったです。鎖と足がかりはしっかりあるものの、見えている岩壁は擦れてツルツルで滑ったらもう終わりです。
この鎖場は登りと下りが別になっていますが、山頂を踏んだ下山者とのすれ違いが次々と始まります。
皆さんこの先の「カニノタテバイ」が1番の難所と深く刻み込まれているようで、「これよりもひどい場所なのか」と意識を先延ばししてここの恐怖感が吹っ飛んでいるようです。
だからこそ、ここは恐怖感を抱かず下りる事が出来るようです。
そして渋滞しているからいいようなものの、こんな場所ですれ違い。お互い声を掛けて譲り合います。
8番目の鎖は「平蔵のコル」からの登りで、今登っている黒い服の人は急に見えなくなるほど向う側に回り込みます。
そして行きついた先は「行き止まり」。ではなく「カニノタテバイ」でした。
振り返れば「前剱」から「平蔵の頭」、そして「平蔵のコル」へと赤線のように伝って来ました。
左上を見上げれば「カニノヨコバイ」を通過して来た下山者が、この岩の裏側にある下山専用ルートへと進んで行くのが見えました。
ここで10~15分ほどの待ち時間ですが、その間も前を歩いてくれる「神奈川県」からお越しの高いカメラの方とのおしゃべりでかなり気を紛らわす事が出来ています。
多分、ソロで無言で登っていたらここまで平静で来る事は出来なかったかも知れません。
9番目の鎖は「カニノタテバイ」。矢印が上を指しているのは正にその通りです。
渋滞中は途中のあんな場所で待機したくないですね。
「神奈川県」の方が先に登ってくれるので間近で手足の動きを見ておく事が出来ます。ここはボルトを足掛かりにして登り、
向こう側へ移動するのでほんの数秒で見えなくなりますが。
いよいよ自分の順番が来た時さすがに後続の年配の方が、「少し距離をおくか」と言っているのが聞えたので安心しました。
長さは30mほどですが腕の力だけで登ると疲れますので足の押し上げる力を利用します。
下を見る余裕なんて全く無いし、有っても絶対に見ません。
「カニノタテバイ」に取り付いてからはここに来るまでさすがにカメラを使う余裕はありませんでした。
赤丸の方がいるあたりの足がかりの出っ張りは非常に小さく、足が滑りそうでかなり迷いましたし、左足をかなり持ち上げないとしっかりした足がかりが無く、「こりゃ慎重にやらないと落ちるぞ」と本当に思ってしまうほどでした。
手前の方が居る場所まで上がってしまえば足場はしっかりでほぼ安心です。
ですが、この先はどこをどう登って行くのやら。→真ん中の隙間をよじ登るようです。
10番目、最後の鎖場です。
先に行った「神奈川県」の方は足場が分からず今居る岩の右から登られました。
自分も赤丸のあたりの足場が全然分からなくて腕の力で登ってしまいました。
ここまでずっと前の人のお尻を見上げて登って来たので首が疲れました。
赤丸の辺りに案内板があって左からは「早月尾根」から登って来る人達が合流し始めます。
角度は急で見た目こそ大変そうですが、さっきまでの鎖場に比べれば全然平気ですし、下山者が『もう少しですよ』と声を掛けてくれるので疲れも吹っ飛びます。
あの奥が山頂のようです。落石を起こさないようにここも慎重に。
稜線に上がるとついに見えました。
この先で下山して来た女性3人と男性1人のグループが『家族になりたい』とか言っていたので、「自分も家族になりたい」と両手を広げたら順番にハイタッチしてくれました。
4人さんとも登頂成功でかなり「クライマーズハイ」になっているようです。
7:55 「剱岳(2,999m)」山頂についに到着です。
山頂までのログ。
「点の記」は少し奥にありました。
記念撮影を待つ人の列が10人ほど。
一緒に登って来た「神奈川県」の方と互いに写真を撮る事にしました。
最初の1枚は真面目に撮って
そのあとはこんな事や
こんな事。
そしておもむろにポケットから何かを取り出すと
広げ始めて
「令和元年9月7日 『剱岳』登頂で『日本百名山』登頂達成」です。
何も言わずにフラッグを掲げたのですが、山頂に居合わせた方々から一斉に『おめでとう!!』や拍手で祝福をたくさんいただきました。
ソロで登って来たので祝福も無い寂しい「百名山達成」になるかと思っていたのですが、これだけたくさんの方に祝福してもらえるとわ。
調子に乗ってこんな事までも。
「『立山』から始めて『剱岳』で百名山達成する事が出来ました!!」と言うと、またまた祝福と拍手のオンパレード。
「立山」は小学生の時に「学童登山」で登っていますが、もう1度大人になって登ってから12年目、「百名山達成」を意識してからは6年目になります。
本当は「平成」中に登っておきたかったけれど「令和元年」でも節目でちょうど良かったです。
たくさんの方が待っていらっしゃるのでステージを後続の人に譲って下りようとすると、3番目くらいに待っていたカップルの方が
『私も今日で百名山達成なんです。一緒に撮って下さい。』と言われ、
まさかの2ショット!めちゃくちゃきれいな女性の方でした。
で、またまた山頂に居合わせた方々から「おめでとう」と祝福の拍手。
「あれー、そっちの方がカッコいいですね。自分のは標高も書いてない手作りだし。」って言うと
『業者に発注したんです』って、う~ん素晴らしい。
ところで彼氏は一緒に写らなくて良かったんですかね?
まだ記念撮影を待っている方が大勢いるのに2分位独占してしまってすみません。
だけどここに居るみなさんは「百名山達成」の大変さ、そして「剱岳」登頂の難しさを知っていらっしゃるので、怒るような方もいらっしゃらずお祝いしてもらえて本当にありがとうございました。
間違いなくこの日の主役は自分だったかと思います。
ステージを降りた後も「おめでとう」と声を掛けられ本当に思い出に残る瞬間となりました。
それでは遅れましたが山頂からの眺望です。
中央やや左が「立山」。いつも見る姿と全く違うので、恥ずかしながら家に帰って見直すまでは「立山」と気付きませんでした。
だから「立山」のアップの写真は撮れてません。
その真下が「別山」で右端が「剱御前」。
「剱御前」の奥に「薬師岳」、その左から「黒部五郎岳」、「笠ヶ岳」。「笠ヶ岳」の隣にちょこんと「乗鞍岳」。
さらに左へ移って「槍ヶ岳」と「穂高連峰」。
「富士山」と「北岳」を始めとする「南アルプス」。
もちろん「八ヶ岳」も見えました。
右端に双耳峰の「鹿島槍ヶ岳」、中央に「八峰キレット」を挟んで左に「五竜岳」。
その先は「白馬三山」。
そしてうっすらと「白山」。
今まで登って来た名立たる「百名山」を一望です。
ようやく落ち着いたので山頂でおにぎりを1つ食べて休憩です。
この時、「一服剱」で声を掛けた方が自分を思い出してくれて、もう一度祝福を頂きました。
そして気付けばあの「オーストラリア」人グループも見事登頂されていました。
下山開始までもう少し絶景を堪能したいと思います。
山之介
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