山之介です。
ツアー登山が中止になってからのこの晴れで8月31日の気温は30℃まで上がるそうですが、お盆のような蒸し暑さはなくなりすっかり秋の気配です。
朝のうちにタイヤのローテーションも終えて完全に予定が無くなって、「いつかは歩こう」と思っていた「道宗道」を調べに行く事にしました。
まったく超マイナーで「富山県」に在住の方でもその存在を知っている方はほとんどいないと思います。
少し紹介させていただくと、
「道宗道」は「南砺市上平村 西赤尾」の「行徳寺」から「木彫りの郷 井波町」の「瑞泉寺」まで山の中を30kmにも渡って造られた旧道です。
この道が出来たのは500年前で、当時道が無い中「行徳寺」の僧侶「道宗」様が毎月1回「瑞泉寺」にお参りに行く為に、山の中を歩いてかよった結果に出来上がったものなのです。
その延線上には「行徳寺」側から「高坪山」、「高落場山」、「高清水山」、「赤祖父山」、「扇山」、「大寺山」、「八乙女山」といくつもの尾根と山頂を経ています。
500年を経た現在、この「道宗道」は語り継がれているだけでどこにあるのか不明でしたが、それを蘇らせたのが「道宗道の会」の方々です。
「道宗道」の草や木は手で刈り取られ、案内の標柱は全て歩荷で担ぎ上げられました。
そして数年前から毎年10月のトレランの大会も行われるまでになりました。
この話を知ったのは今年になってからですが、昨年春から「八乙女山」から「赤祖父山」と「高落場山」だけは登っていたのでその話の片鱗はなんとなく知識としてありました。
今年も10月6日にトレランが行われるのでその大会の後が1番道が整備されており、その時に実調を行うか全コース縦走を行おうと思っています。
ただ、トレランは9時間ほどで走破されるようですが、30kmを山の道具を持って歩くとなると2日がかりとなってしまいます。
そこでちょうど中間地点の「高清水山」近辺で野営を行おうと思っていましたが、「高清水山」の下にある「ミズバショウ」で有名な「縄ヶ池」には2年前クマが連日出没して立ち入り禁止になった事がありました。
「道宗道」で1番クマが出没しやすいのは「高落場山」近辺と言われています。
「そんな場所で野営をしても大丈夫なのだろうか?」という思いもあり今回実調をする事にしたのです。
また幸い「八乙女山」や「赤祖父山」までは何回も歩いていたのでそのあたりのコースは把握しています。
だけど肝心の「行徳寺」から山へ入るポイント、「高落場山」~「高清水山」辺りの事はほとんど資料が無く分かっていない状態だったのです。
ただ、「五箇山」辺りは春先や晩秋に何回か通常人が来ない場所に遊びに行っていたので、ブツ切り状態ではありますがところどころのポイントの知識は知っているのでこの点と点を何とか線に繋げたい思いです。
ネットでトレランのコース全体地図は拾えるのですが、知りたいポイントなどを拡大して見る事が出来ないので地図としてはイマイチなのです。
さあ、それではどこまで調べる事が出来るのかスタートです。
「国道304号線」を目指して進むと、黄色く色づいた田んぼの向こうに「医王山」。また晩秋の涼しい頃には登りましょう。
「国道304号線」を「五箇山」に向かって進むと「五箇山トンネル」に着きます。
この真上の辺りが「高落場山」になり「道宗道」はトンネルの上を横断して通っています。
トンネルを抜けるとすぐに右へ曲がる道があり、その先は「平スキー場」となっています。
このスキー場近くに「高坪山」から下りて来るポイントが有るはずなので確認しておきます。
ここは以前に何回か来ているので思い当たる場所が1ヶ所あります。そこがそうならとても助かるのですが。
スキー場からさらに進んで行くと左手に案内板が立っています。
「ここがそうかな?」と期待していた場所ですが、案内板には「中部自然遊歩道」とだけ書かれていました。
現在地は黄色の丸ですが、1番知りたかった「高坪山」からの下山口と「高落場山」への取り付き点が表示されていません。
「ここじゃなかったのか。」ともっと奥に進んで行きます。
と、かなり狭いトンネルがありそこを抜けると見覚えのある場所でした。
トンネルの向こうで左折すれば「袴腰山」の登山口へ。
右折すれば先ほどの「五箇山トンネル」の入口に戻ってしまいます。(ここの右手から出て来る事になります。)
ここは違うようなので引き返してスキー場あたりを丹念に調べる事に。
スキー場入り口です。ここを右に行けばスキー場で行き止まり。
車から降りてあたりを見回すと崖下へ抜ける林道らしきものを発見です。
今居る場所から対岸の「高落場山」へは谷と川を渡る必要があるのですが、どう見てもこの林道の下には橋がありそうに思えません。(見えている橋とは別に。)
少し林道を歩いてみましたがそれらしい標識も見つかりませんでした。
「仕方ない、スタート地点の「行徳寺」~「高坪山」登山口を先に調べて来るか。」
「平村」に向かいます。
この先少し行けば「人形山」の展望台。
晴れているとは言え、昨日までの大雨で大気中の水分は多く、かなり霞んで山頂までは見えません。
さらに少し下ると「相倉合掌集落」への分岐。
直進して「国道156号線」に合流し「上梨村」へ。
「上梨村」にある観光案内所です。こう言う場所には案外情報が転がっていたりするものです。
「すみません、『道宗道』の資料ってありませんか?」
『お渡し出来ませんがこういった地図があります』と見せてくれたのはトレランの地図。
『他にはこのような「道宗道の本」とかも。』
「それゆずってもらえませんか。」
『ここでは売っていないので発行者に問い合わせてください。』
「(会の事は知ってはいたけど)発行者って誰ですか?」
『ネットで検索すれば分かります。』
う~ん、親切なのか不親切なのか。
とにかく「道宗道の本」と言うのがあるのが分かったのは大きな情報。発行しているのは多分「道宗道の会」でしょうね。
ここでお昼になったので観光所向かいの「庄九郎」さんでお昼。
五箇山そばのざるそば(650円)。”ざる”ではなく”手箕(てみ)”に盛られています。
ちなみにこのお蕎麦屋さんの向かいの「庄川」を渡ると「人形山」の登山口のある「下梨村」に行けます。
食事後は「菅沼合掌集落」を通り過ぎて、
「五箇山インター」から「岐阜県」よりにある「西赤尾」へ。
ここが「行徳寺」のようです。
この先1~2分進めば「道の駅 上平村」に着きます。
せっかくだからお参りしていきます。山門も「萱ぶき屋根」。
本堂
「角淵心?」読めない。
立派な仏様です。ちょうどお昼時とあってお寺の方は見えず。
山門のそばの小川には小魚が泳いでいたりして、のんびり心が和らぎました。
「あの奥が『人形山』か。」
通りは閑散として人も車も通らず、「ミ~ン、ミンミン」と鳴くセミの声がやけに大きく聞こえて来ました。
お寺のそばにバス停があるのも確認。
ここからは北の「高岡駅」、南の「白川郷」行きのバスが発着しているようです。(本数は5~6本ほどでしたが。)
「国道156号線」を戻り「高坪山」への取り付き点を確認です。
すぐ近くのこのスタンド前を左折すれば「大門山」のある「ブナオ峠」に行く事が出来ます。ここも晩秋に登ろうね。
そのすぐ先の橋を渡らずに左へ。
ここは「袴腰山」登山口へ向かった時と同じ道です。
しばらく行くと右に渡る鉄橋がありますがここを渡ると「菅沼合掌集落内」に入るので怒られます。
(逆にここに車を止めて歩いて行けば無料で観光も出来ると言う事ですね。)
ほんの10秒足らずで右への分岐。
車から降りて確認すると角に「道宗道」の標柱がありました。
すぐに分岐があったのですがこのまま直進してみました。
崖から落ちて来た尖った小石がゴロゴロ。いつパンクしないか心配です。
が、10分ほど進んだところで木が垂れ下がって行き止まり。
道幅5mもない林道でUターンしようとしてバンパーを縁石にヒット。(´;ω;`)ウッ…
もちっと広い所までバックしてUターンしました。
そのままバックでも戻れたのですが、バックだと尖った小石を避けるのが無理でした。こんな所でタイヤバーストしたら帰れなくなる。
さっきオレンジ矢印から来たのですが、この分岐を右に行っていれば良かったのか。
すぐそこに登山口らしき階段が見えました。
「高坪山」の1つ手前の「小倉山」の取り付き点です。
ここから「道宗道」の山岳路が始まるようです。これでスタート地点は分かった。
帰り際もう1度「平スキー場」に寄って確認する事にします。
「国道304号線」から入ってすぐの所に崖下へと行けそうな別の林道がありました。(本線は赤矢印。)
車のまま降りてみましたがどうも崖下には続かない。ここも違うようです。
やっぱりスキー場近辺があやしい。
最初に見つけたスキー場から下に続く林道に戻って来ました。
車から降りて調査していると、さっきは道路工事の材木だと思っていた杭に文字が見える。
なんと「道宗道」と書かれていました。
はぁー、ここで合っていたのか。
ネットで検索するとここから700m奥に行ったところに「高坪山」からの下山口があると書かれていました。
車のメーターで測りながら進むとちょうど700mでこのお地蔵さん。
「この裏かな?」と思ましたが道が見当たりません。
もちっと先へ進むとやっぱり朝の案内板。
「む?」よくよく見ると柱の所に立てかけてある朽ちた棒に
かすかに「高坪山登山口」と書かれているのが判読できました。
「やっぱりここで合っていたのか。」
よくよく読むと「上梨から城端へ続く」と書かれていました。
そして奥への道はトレランの準備なのかきれいに草が刈ってありました。
これで「行徳寺」~「高落場山」までの不明点を解明出来ました。
あとは・・・「高落場山」~「高清水山」への縦走路でいくつかある分岐等を確認したいのですが。
この「国道304号線」から「縄ヶ池」に直接行ける林道は未だに土砂崩れで通行止めでバリケードが。
大回りすして来るだけのガソリンも残っていないし。
ただ「高清水山」への林業用の林道は何度か車で行って「道宗道」の標柱が有ったのは憶えています。
本番ではその記憶を辿って歩く事にしましょう。
最後に「井波町」の「瑞泉寺」周辺のバス停を確認しに。
「行徳寺」から「瑞泉寺」まで縦走するにはどうやらバスで移動する事が出来そうなのです。
その為にスタートとゴール地点のバス停の所在を実地検分しておきます。
ここが「瑞泉寺」を観光する為の市営有料駐車場(200円)。
すぐ奥に山並みがあります。「道宗」様はあそこから降りて来られたのでしょう。
「道宗道の会」事務局はここのすぐ近くにあるので「道宗道の本」を譲ってもらおうと電話を掛けてみました。
20コールほど待ちましたがどうやらお留守のようで諦め。
「表参道」の「八日町通り」です。
昔ながらの石畳に「千本格子」と「うだつ」のある古民家が並びます。
な、なんと今日は「獅子舞」の競演があるようです。
これは完全に「道宗」様に引き寄せられているように感じました。
と、ここにバス停を発見。ここからは「高岡駅」にだけ行けるようでした。
「提灯山車」も並んでいました。
「瑞泉寺」への入り口。せっかくだからお参りしていこう。
立派な山門です。
う~ん、残念。6市町村の「獅子舞」の競演は18時半からか。今はまだ14時です。
「木彫りの郷 井波町」で造られた「獅子頭」は各地の「獅子舞」で使われています。
うちの町内の「獅子頭」もこの「井波町」で造ってもらい、今は4代目の「獅子頭」を使っています。
お値段は昔で100万と言われていましたが、今では150~200万円くらいでしょうね。
3年ほど前に造り直したうちの町内の「獅子頭」も150万円ほどいたしました。
これに胴となる”かや”が数十万円。
獅子方や天狗の衣装、笛太鼓、小道具などはまた別費用です。
広い境内の奥に本堂。
ここで拝観料の券売所(200円)があったのでダメもとで
「道宗道の資料ってないですか?」と尋ねると65歳くらいのマダムが
『道宗道の本なら売店で売っていますよ。』
「えっ?売店ってどこです?」
『本堂の中です。』
「その本だけ購入したいのですが、それでも拝観料必要ですか?」
『それならどうそお通り下さい。』
ヤッター。
立派な本堂の中に入ってすぐ左手に売店があり、まだ一言も喋っていないのに
70歳くらいのマダムが『はい500円。』と本を出されました。
「えっ?なぜ分かったんですか?」
『内線で連絡が来ていますから。』
何とも嬉しい対応ではありませんか。
とうとう「道宗道の本」を手に入れました。
帰りに券売所で「何も言わなくても買えましたよ。」って言うと
マダムはお菓子を頬張りながら『うふふっ』って。
こう言ったさりげないお心遣いは嬉しい限りです。
帰りの「表参道」にはさらに「提灯山車」が増えていました。
今日はツアー登山が中止になり予定外の「道宗道」調査でしたが、とても充実した日となりました。
「道宗道の本」にはその歴史と各ポイントの説明、挟んであったパンフには大きな地図に詳細が書かれていました。
帰り道、ニヤついた顔で運転していましたがふと我に返って、
「この本を知った時点で先に買っていれば、わざわざ1日かけて実地調査しなくても良かったんじゃないの?」って。
それはそうですが、実地調査した事も収穫ですよ。
パンフでも「小倉山」登山口やスキー場前の下降点なんて詳細に記載されていませんからね。
これで10月後半あたりの涼しい時に完全縦走出来そうです。
あとは誰が連れがいてくれれば車をデポして野営しなくても良いのですが。
「道宗道」を歩きたいなんて奇特な方はなかなか居ないですからねぇ。
山之介
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今年は期間中の天候は大丈夫そうです。