正面から堂々と歩んできたつもりだった。
曲がったことが嫌いだ。
なるべく、清く。
なるべく、素直に。
なるべく、正しく。
大きく叩けば、それが大きな連鎖となり、いつかは届いて欲しい人に届く。
必要としている人に届く。
そう考えてきた、いや、そう努めてきた。
しかし、今になって不意に心の隙間を縫って深淵まで侵食してくる問がある。
自分が正面だと思っていた方角は、本当に正面だったのか?
自分が清いと思っていたことは、本当に清かったのか?
あくまでも一個人の考えであり、一個人の力でしかない。
届けたいと思っていたのはただの自己保身で、
本当に届いてほしいと思っている人はいるのか?
傲慢で、どうしもうもない。
不毛な考えなのはわかる。
だがもうすでに侵入されてしまっている。