「あなたは何を考えているの?」
不意な質問に一瞬、誰に聞いているのか戸惑った。
もちろん、僕に聞いたのだろう。
この部屋には彼女と僕しかいない。
さっきまでお気入りの定位置から窓の外を眺めていたが、今はこっちを向いて微笑んでいる。
僕は質問を繰り返した。
「あなたは何を考えているの?僕がですか?」
「そうあなたが」
彼女は優しく微笑んだ。
「興味ありますか?」
「なかったらわざわざ言葉に出してないわ」
「あなたは普段何を考えているのですか?」
「私が先よ」
「レディーファーストです」
「よろしい。でしたら先に私の質問へのアンサーをお願いしてもよろしくて」
彼女にしては口数が多い。どうやら楽しんでいるようだ。
「わかりました。僕は普段・・・」
あなたのことを考えていますと言いそうになってとどまった。
彼女が一体、何を見据えて、何を考えているのかさっぱりわからない、否、理解できない僕の容量不足か。