幻に包まれて | MK from ASOVOYAGE

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その時その瞬間に感じたことをありのままにそのままに。素直に表現。
遊び場 Viva 楽しむ Vida 
"いざ参ろう あそVibaへ"

活発なあそ坊の日記


肉体に意識が宿る。



いや、この場合は戻るというべきか。



細胞の大部分がまだ機能していない。きっと寝坊すけなのだろう。




目はまだ開けることができない。思考だけが行動可能。まだ生きているのか。これはなんだ。




砂漠の真ん中で竜巻に飲み込まれたはず。



また生き残ってしまったのだろうか。いや、死んでいるのかもしれない。




どちらかわからない。

分からないことがわからない。




ここに痛みはなく。ただあるのは心の安らぎ、純粋な安心感。




また体が眠くなる。




きっと死んでいるのだろう。



死後の世界でも眠いという感情、肉体に意識が宿るという感覚が存在するのかもしれない。


人間の想像力では描けない神秘の空間に体を許したのかもしれない。


私はあなたのものです。すべてに従いましょう。圧倒的な従属意識。私は幸せだったのだ。





温かい眠気がまたこの肉体から意識を心地よく遠ざけていく・・・

 








 

真っ暗な闇、私は今仰向けで寝っ転がっている。と思う。実際は分からないがそう感じる。





顔になにか液体がかかる。





冷たい。




目を開けることができず、体を動かすこともできない。なにか騒がしい。




圧倒的な安心感は今はもう薄れている。




ふと強く思う。



私はこれを聞かなければならない。



気になる。

騒がしい正体が気になる。

好奇心が芽生える。





生きる希望






生きる希望?





何を言っているのだろう。



私はまだ生きているのか?また好奇心。



なぜ今生きる希望と考えたのだろう。



生きることに対して執着していなかったはずなのに、ここにきて希望が芽生える。



私は生きようとしているのか?

これはおもしろい。






「まだ死にたくない。」心の中で呟く。





まるで別人になったかのようだ。





もう一度ゆっくり心の中で呟く




「まだ死にたくない、生きる希望」




不思議だ。



生きることを望んでいる。



おもしろい。



冷たい。また冷たいという感覚が顔に広がる。




目を開けたい。見たい、知りたい、騒がしい。



何かを伝えようとしているのか?聞きたい。





聞いてみたい。好奇心。





純粋

おもしろい



体の中の起きている細胞をすべて耳に向かうさまをなるべく細かく思い浮かべてみる。


すべてを左耳だけに集中する。さぁ教えてくれ。



深く深呼吸



騒がしい。さっきよりも騒がしい。




「・・・ろ」



だんだんと聞こえてきる。また深く深呼吸






もう一度集中する。





「起きろ」





次ははっきりと聞こえた。



起きろ。そう言っている。



私は起きなければならない。なるべく早く。




強くそう感じる。




「起きろ」




聞こえている。今から起きる。

いや、意識的には起きている。


それをうまく今は伝えることができない。



次は意識をゆっくりと左耳から首を通り、左肩へ、そして左腕を通り、肘、手首、左手の薬指の第二関節、第一関節へと移動させるさまを思い浮かべてみる。




少しずつ肉体を起こしていこう




小指を意識すると無意識に薬指も動こうとする



とにかく誰ともわからぬ人に、意識があることを伝えることだけを考える。



できる範囲でまた大きく精一杯息を吸う



そしてゆっくり口から吐くことをイメージして、左手の小指に集中する。



小指からひんやりとした感覚を感じるようになる。



もう少し、もう少し



壊せない繊細な作品を作るときのようにゆっくりかつ正確に動かしていく。小指が内側に曲がる。気づいただろうか。





気づけ





「起きろ」




尚も、声は続く




もう一度小指をもう一度伸ばし、曲げようとする。


さっきよりも早く出来た



声がやむ







しばらくの沈黙







また同じ作業を繰り返す。真剣にだ。



少しも気が抜けない。気を抜いてはいけない。



なぜかそう感じる。

そして疑うことなくこの感覚を信じる。



私は自分を信じるのだ。



どれだけ裏切られても、それだけ騙されても、たえまなく自分を信じる。



狂ったように信じる。



信じて信じて信じて、そして信じる。

そこに真理があるかのように信じる。




そこに理由は存在しない。




思うに、ようにではなく狂っているのだろう。



そこにこの考えは落ち着く



これ以上の出口を探そうともしない。

今のところここの思考空間がゴールであり、行き止まりなのだ。




小指に温かさ感じる。




どうやら気づいたようだ。




「・・・・のか」



また騒がしい。



意識を左耳に戻す。



肉体も少しずつ目覚めてきているらしい。

スムーズに意識の移行ができた。





左耳に意識を集中させる




次は何と言っているんだ。




「僕の声が聞こえるのか。言葉が理解できるのか」




どうやら彼は私を起こしてくれようとしているらしい。



言葉は理解できる



私はそれを彼に伝えなければならない。だが、疲労感を感じ始めてきた。



また、眠気が私を包もうとする。



ああなんて気持ちいいんだ

ずっと包み込まれていたいとも思う


抗えない。

その必要もない。

意識中に伝達される気持ちよさ。



身を委ねよう



でもその前に何か彼に伝えなければ、

その気持ちにも抗えない。



ああなんて忙しいくて、めんどくさいんだ。



ちなみに彼が彼なのか、彼女なのか判断が付かない。

なんとなく声が男性に感じたから彼と表現しただけだ。


私は自分を信じる。


その結果いっぱい裏切られてきた。いまはいい。



情報が少ない



視力が戻ったらまた改めて判断しよう。



ばらばらになった眠気の従属の意識を、むりやり次は口元に集める。



なんて無駄な作業なのだ



はやくこのあたたかさに連れて行かれたい。




本気でそう感じる。




プツンプツンと意識が遠のく


はやく何か伝えなきゃ。何かを言わなきゃ



本気でそう感じる。


だめだ、意識が遠のく。


口元から意識がはじけ飛びそうになる。



包み込まれている。


優しい

オレンジ

温かい


あなたは誰だ。女神だ。

なんて、なんて神々しくて、絶大で、美しいんだ。



自分の存在があなたの前ではおこがましくなってくる。



渇望的な絶望感



それでも私には使命がある



彼に伝えなければならない。もう考えられない。



集中力の限界だ



意識から言語がはじけ飛ぶ、思考の概念が消えうせる。


ここがギリギリの狭間だ


最後の意識が明け放された扉から喜んで光の中に飛び込んでいく。


「・・・聖徳太子」


口からかすかな吐息が漏れたのをはるかはるか遠くで感じて、ただただ圧倒的な気持ちよさの中に飲み込まれてい・・・

 

「聖徳太子?名前か?」