竹中平蔵氏が年末の朝まで生テレビ番組中、正規社員と非正規社員の処遇問題で、「正社員をなくせばいい」と発言があったとしてネットを賑わしています。
竹中氏の正社員は保護されすぎているという主旨の発言とともに、労働者窮乏化の主張として受け取った人もいたようです。一方では、同一労働同一賃金の立場から、処遇の格差是正が必要であり、正社員の年功賃金制度を批判する意見もありました。 まさに、労働現場の問題が顕在化したような印象を受けます。
私は、少子高齢化の進展により育児や介護など家族問題を担う女性雇用の問題がクローズアップされ、既に多様な働き方の必要性が認識されてきていますが、さらに男性自身も介護等で働き続けるうえで、厳しい状況に直面しつつあると考えています。フルタイム長時間長期雇用を前提とした正社員という働き方を主体とすること自体が困難な時代となってきているのです。
働き方の多様化を非正規雇用でまかなうとすれば、当然非正規雇用は増加し、正規非正規の処遇に差があるとすれば、非正規社員の雇用流動性が高いがゆえに、優秀な人材の流出が生じることとなります。これを防ぐには、同一労働同一賃金、もっと言えば同一価値労働同一賃金へ移行せざるを得なくなります。つまり、正規非正規という雇用形態の差がなくなり、正社員という分類自体、意味がなくなってくることになります。
これは自然な流れになりますが、これを促進し、処遇の格差解消を政策的に押し進めることで、社会問題をいち早く解消できることになります。竹中氏の発言をこのようにとらえることができると思います。
しかし、同一労働同一賃金や同一価値労働同一賃金といっても、賃金面の処遇についてだけてあり、労働契約としては、労働時間や雇用期間、さらには年金などの社会保険について、転職などで不利とならないようポータビリティを確保しつつも、企業年金や健康保険などは選択制となる可能性はあります。
いずれにしても、多様な働き方に相応しい雇用形態が創出されることを期待します。