8/24~29に、岡山県奈義町にある「奈義ファミリークリニック」にて実習をしてきました。
奈義ファミリークリニックは、平成7年に奈義町民の健康で豊かな生活を支援するために奈義町、
日本原病院が協力して設立したクリニックです。
所長の松下明先生は、アメリカで家庭医療や行動科学を学ばれ、家庭医として「こころのケア」を含めた家族全員のかかりつけ医として診療に当たると同時に、医学生・(初期・後期)研修医の家庭医教育(特に行動科学領域)に力を注いでいらっしゃいます。
ここでの1週間は本当に密度の濃いものでした。
まず初日の最初のイベントは、自衛隊への往診でした。
奈義町には日本原駐屯地がありますが、この駐屯地には医官(医師である幹部自衛官、の略)が配置されていません。
そこで、周辺の医師が交代で自衛隊の医務室へ出向き、診療や健康診断を行います。
簡単に健康診断と言いますが、自衛官の方々にとっては昇級に関わる事なので真剣です。
健康診断を巡って様々なドラマが繰り広げられることもあるそうです。
午後は往診でした。
奈義ファミリークリニックは午後イチは基本的に往診で、往診から帰ったら外来が再開します。
患者さんも軽症から重症まで様々な方がいらっしゃいましたが、本当にファミリークリニックを頼りにしている人ばかりでした。
奈義は東京と違って、老人夫婦だけというお宅が少なく、子供夫婦が面倒をみている家庭が多くありました。
ただ、同じ敷地に子供夫婦が住んでいるのにも関わらず、全く親の面倒を見ない家庭もあったりもして、何とも言えない気持ちにもなりました。
2日目は、津山中央病院に於いて、松下先生のセミナーが開催されたので、同行しました。
「禁煙のススメ」というテーマで、いかに相手に禁煙させるかという松下先生お得意の行動変容のセミナーでした。
面白いのは、このセミナーの司会は必ず喫煙者が務めるところです。
なかなかエスっ気たっぷりの病院だなと思いつつ、とても盛況のうちに終了しました。
3日目は、とくにイベントは無く、通常業務の一日でした。
午前に外来を行い、午後イチは往診で、帰ってからまた外来という感じです。
この1週間、外来の時間帯は基本的には予診を取らせていただいていました。
問診の練習がしたいというわけではなくて、奈義町の人達と一対一でゆっくり話す時間が欲しかったのです。
とても話し好きな方が多く、30分話し続ける方もいらっしゃいました(笑)
1週間という短い間でしたが、この時間があったおかげで、奈義町の方々の郷土への愛情やファミリークリニックへの期待がよくわかりました。
4日目は、3日目と違いイベントの一日でした。
まず午前中は、訪問介護を行っているNPOや、グループホームの見学に行きました。
現在の問題点、今後の課題などをお聞きすることができました。
一緒に行った矢野君は、同じテーマについて町役場側の見解も聞いていて、現場と役所の見解の違いもかなり感じたそうです。
ただ、NPOも役場も町をより良くしようと思っているのは同じですし、定期的に話し合う機会も設けているみたいなので、少しずつわかりあえていけるのではないでしょうか。
午後は、研修です。
ファミリークリニックでは、毎週木曜は研修を行っています。
今週は、岡山SP研究会から模擬患者の方を2人お呼びして、患者&患者家族と医師がどのようにコミュニケーションを取ったら良いのか、ワークショップ形式で学びました。
前田さん率いる岡山SP研究会からいらっしゃる模擬患者さんは想像通り素晴らしく、かつ強烈なインパクトを与えてくれました。
医師役の先生方もその強烈な勢いにやや押され気味でしたが、精一杯頑張っておられました。
フィードバックも色々と飛び交い、とても充実した時間となりました。
最終日は、半日だけでしたが、事務実習を行いました。
受付業務を行ったり、実際に行った事と請求が合致しているかを確認したりしました。
書類の確認はとても大変で、その作業の一番の妨げは医師の不手際だそうです・・・。
また、日本の保険制度についても勉強させていただきました。
病院には本当に多くの人が働いているということを実感しました。
1週間は本当にあっという間でした。
4月からポリクリが始まりましたが、患者さんとこんなにも近く接する事ができたのは初めてな気がします。
松下先生、佐古先生、吉本先生、田原先生、紺谷先生をはじめとするクリニックの全スタッフの方々、奈義町にお住まいの方々、貴重な経験をさせて頂きましてありがとうございました。
[場所] 奈義ファミリークリニック、津山中央病院、奈義町
[参加メンバー] 上杉、矢野
ひろたか