会員様からの相談が多い遺言書について「えにしの会」に協力して頂いている宮地慎二先生(西日本綜合法律事務所)がわかりやすく説明します。
<遺言書作成のすすめ>
あなたのお持ちの財産を、親族や知人にどういう形で残してあげるのかを決めておくのが、遺言書です。
遺産の分配については、配偶者に1/2、残りを子供が平等に分けるというような「法定相続分」が決められていますが、遺産には土地建物のように等分に分けにくいものもあり、また生前のお付き合いの程度により遺産の分配を考えたり、様々な工夫ができるのが遺言書の良いところです。また、遺言には「遺言執行者」という、遺産分配手続きの担当者を指定することができますので、遺言内容の間違いのない実現を図ることが出来ます。本来遺産からは出せない葬儀費用を分けてあげたり、銀行口座ごとに承継者を決めておくなど、様々な工夫をすることで、満足のいく遺言を作ることが出来ます。
残された遺産は、受け継ぐ人たちにとって大切な財産です。いざとなったときに受け継ぐべき者に綺麗に行きわたるように、予め手配をしておくことが、遺産を残す者の大事な務めともいえるでしょう。
遺言書の書き方としては、
大きくは
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
というものがあります。
①自筆証書遺言は、遺言内容をすべて手書きで残すもので、どのような紙に書かれてもよいですが、日付けと署名押印を忘れないようにしましょう。
②公正証書遺言は、公証人役場で公証人に作ってもらうもので、自筆遺言と違い手書きをする必要はありませんし、役場で保管してもらえるので、失くてしまう危険もありませんので、自筆証書よりも確実な方法です。費用は遺産の額により決まりますが、公証人に支払う金額は数万円程度です。また、希望されれば公証人に来てもらい、自宅や施設で作成することができますので、便利です。また、遺言書は何度でも書き換えることができますし、分配内容を示すだけではなく、「付言」として、分配された理由や思いを、メッセージとして残すこともできます。
なお、一定の相続人には「遺留分」という、必ず残してあげないといけない割合があり、これは遺言でも侵害できません。このように、法律的に気をつけておくべき部分もありますので、作成の際には弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。公証人との打ち合わせや文章作成などを、専門家に任せることもできます。あなたの意思を最優先にして、対応してもらえるものと思います。