(2020/10/10 記・2020/10/28 記)

 

台風12号の影響は大して無かったものの、火星最接近日の夜以来、ずっと晴れ間が

ありません。

 

 

後処理が見たことのないエラーで異常終了するので、今度はついに後処理ソフト

にまで、不具合が出たかと思いましたが、外付けSSDの空き容量が全く無くなって

いたのでした。ある程度を残して撮影を終了したつもりでしたが。

 

 

同じSSDを発注してそれが到着した後、その火星最接近日の動画データを整理

する前に、残すべき優良なものを選別するうちに、最後に撮った2本が4分間隔

でのものだったことに気付きました。

 

それぞれが2分から3分の撮像があり、間隔を含めると、トータルの時間経過は

8分程度になるために、火星の自転で模様が流れる結果になる懸念はあった

ものの、その2本をPIPPで連結してみました。

 

  

なんと83334コマもあります。AS!3のスタック処理でパーセント選別を試行錯誤する

ことで、うまく自転の影響を排除できるとよいなあ、と思いつつ後処理のやり直しを

進めました。

 

ベストはこれです。先日のように75%縮小をかける必要もありません。

AS!3での輪郭強調付TIFF出力にRegistax6のwavelet処理でノイズがかなり出るほど

の強めにかけた後、そのノイズをDeNoiseAIのDeNoiseAI処理(Low-Light処理なし)

で潰した、やや無理目の処理でしたが、不自然なスケッチ調になる手前でどうにか

留まり、識別できる詳細は可能な限り叩き出せた感じがします。

(勿論、口径クラス的観点で。大口径オーナー諸氏では上には上があるでしょう。)

 

 

80%選別での処理でした。火星の自転での模様の流れはさほど感じられません。

むしろ気流荒れによる拡散のほうが大きかったようです。

最下部、北極地方のブルーヘイズも明らかに確認できます。満足しました。

 

先日と同じく75%縮小も添えます。改善度は明白です。

  

 

PIPPでの連結は今の架台寿命が迫っている追尾精度に難がある状態では、超強力な

支援ツールである、と改めて痛感しました。

(KENさん、ご紹介ありがとうございます。)

 

自転での流れの影響も気にはなったので、40%選別で同じ処理をしてみました。

 

  

コマ数が減ったことで強調処理のアヤが見えるのと、自転での流れの減少が相殺

していて、僅差でベストを超える仕上がりにはならなかったですかね。

 

75%縮小です。

 

  

最初のベスト仕上がりと同じ処理で、最後にDeNoiseAIはLow-light処理を選択した

ものです。上掲の2画像で眼が慣れてしまうと、詳細感に物足りなさがあります。

 

  

75%縮小です。このサイズだと差異はあまり感じませんが、ベストを上回る逆転は

無さそうです。....が、悪くないですね...。

 

  

模様の美しさは充分堪能でき、満足したものの、火星像の右が輝度過剰になっていて、

如何にも8インチ機で無理してるなー(^^;)という感じは否めませんので、その輝度過剰

が出ないことを最優先に、模様の検出をあえて二の次に仕上げたものも掲載します。

 

Wavelet処理をマイルドにして、DeNoiseAI処理でその分を硬調に寄せ過ぎないよう

留めたものです。コマ選別は80%です。やはり自転での模様流れは感じません。

 

 

模様の濃淡は薄くなったものの、詳細度はさほど変わらず、火星全球の輝度も

自然に平滑な感じが美しいです。

輪郭の輝度反転が減り、最下部、北極周辺のブルーヘイズも明快です。

存外、これがベストかもしれません。

 

仕上がるまで結果が分からないので、Wavelet処理をどこまでマイルドにするのか

DeNoiseAIをどの程度マイルドにするとバランスするのか、最初から狙って仕上げる

のが過剰処理より難しいのでした。

 

75%縮小です。

 

 

ああなかなか良いですね...(^^;)。これだって、自己最高水準レベルではあります。

 

PIPPを使って、取得コマ数の不足を補いつつ、口径クラスベストの幾分絵画調の

惑星像をこれからも狙う道しか私には残されていません。

GOTO DOB12に遭遇する未来を発作的なEQ5発注で失った、という顛末は、

まさにそういうことなのでした。

 

 

 

ご覧いただきありがとうございます。