今日は"shed"を取り上げたいと思います。
今回注目するのは動詞の"shed"です。
最近辞書を引いていて思うことは、自分が知っている意味が辞書の使用頻度的に必ずしも上位ではないということです。これは自分の知識と現在の英語のデータにはズレがあるとも言えそうです。「この意味はよく使われるだろう」と思っているものでも、実際に辞書を見てみるとそうでもないということがあります。今回の"shed"もこのズレがあるのでその点も見ていきます。
ではいつも通り『ロングマンExams英英辞典』で"shed"の意味を見てみましょう。
"shed"
1 to get rid of something that you no longer need or want
ex) The magazine is desperately trying to shed its old-fashioned image.
a diet to help you shed pounds
2 to make something easier to understand, by providing new or better information
ex) Recent research has shed light on the causes of the disease.
"shed"の意味を知っている方は、その意味とロングマンの意味が一致していたでしょうか?もしかしたらズレがあるのかもしれません。
では意味の方を見ていくと、1の方は"get rid of"の意味ですね。何を取り除くかというともう必要ないものや不要なものとなります。例文では"old-fashioned image"や"pounds"が取り除く対象になっています。
次に2の方を見てみると、何かを理解しやすいようにするとあります。どうやってかというと新しい情報などを提供することによってと続いています。例文では"shed light on"という形が使われていて、これはコロケーションとして覚えておきたいものです。基本的なことを確認しておくと"shed"は過去形も過去分詞も同じ
"shed"となります。
この2つ目の意味はメタファー的な意味と言えるでしょう。つまりライト(光)を当てることによってそれまで暗くて分からなかったことが明らかになり理解しやすくなるというものです。例文では最近の研究によってライトが当たり、その病気の原因がわかってきているという感じです。
個人的には"shed"は「光を発する」や"shed tear"「涙を流す」という意味のイメージが強かったです。でも「光を発する」はロングマンでは2の意味に近いですが、文字通り「光を発する」という意味ではなくメタファー的な意味になっています。この点がズレとなりますね。
実は"shed"の使用頻度は少し厄介なものと考えられます。ロングマンでは上で見たような意味が上位に来ていましたが、英和辞典では結構ばらつきがあります。コーパスデータを活かしていると思われる英和辞典でもそれぞれ違いがあるので、元となっているコーパスデータが違うのか?編纂の方針で違いが出ているのか?わかりません。
ある英和辞典ではロングマンで見た"get rid of"の意味がないものもあります。また別の英和辞典では"shed"の5番目に来ていた意味が、次の版では1番目に来ているものがあります。これはかなりの変化ですね。大幅な見直しや新たなコーパスデータを活用していると思われます。
英和辞典でのばらつきや英英辞典との違いを考えると、もしかしたら"shed"の使われ方が近年代わりつつあるということなのかもしれません。あと10年、20年経って"shed"の使われ方が安定するなら、その時の英和辞典での"shed"の意味の順番も落ち着いてくるかもしれません。