受動態の"by" | 英語の世界観

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今日は「受動態の"by"」についてまとめたいと思います。

 

受動態について基本的なところを確認しておきます。

 

受動態と言えば、be+過去分詞 (by~)という形を学校で習ったと思います。学生の頃はある意味丸暗記で、こういう形で主語が~されると覚えたものです。

 

でもじっくり見てみると別に公式的に覚えなくても大丈夫です。

 

まずbe動詞はある状態にあることを示していて特に大きな意味はありませんが、重要なこととしてはこのbe動詞で時制を示す点ですね。現在のことなのか過去のことなのかがbe動詞で示されます。

 

次に過去分詞はどういうことをされた状態なのかを表していますね。例えば"broken"は「壊された」ということを意味していて、動詞的でもあり形容詞的でもある感じです。

 

したがって"broken"だけでは文は成り立たないのでbe動詞とつながって受動態の文ができると考えられます。

 

具体的に次の例文で考えてみましょう。

 

The window was broken by John.

 

人工的な例文ですが、言語学などではわりとよく見かけるような文です。この文では主語の"the window"が~されるという形で、be動詞は"was"で過去を示しています。そして具体的にどのようなことがされたのかは"broken"とつながっています。

 

では最後の"by"はなぜ使われるのでしょうか?

 

最近では近接の"by"のイメージにより、そばにいる人によって行為が行われると説明されることがありますね。

 

上の例文で考えてみると、"The window was broken."だけなら行為者が示されていなく窓が壊れていた状態が表現されていることになります。そこに近接の"by John"がつながると動きが出てきて「窓はジョンによって壊された」と理解できます。

 

ここで一つ問題です。この行為者を表す受動態の"by"はどのくらいの割合で使われるでしょうか?

 

言語学の論文などによると、受動態の"by"は10~30%くらいしか使われないというデータがあります。言い換えると受動態では70~90%は"by"を使わないということです。これは学校で習う受動態の形のイメージからすると意外な数字かもしれません。

 

実際英文を読んでいると行為者の"by"が示されない受動態が多いことがわかると思います。

 

そもそもなぜ受動態を使うのかを考えると、~される主語からの視点で何かを表現したいので、行為者を示さない形が多くなるのも理解できると思います。逆に行為者がメインで表現したいなら能動態になります。

 

英語の文は基本的に能動態が主に使われるので、受動態は割合的に少ないと考えられます。その少ない受動態の中で行為者を表す"by"の使用率が低いことを考えると、受動態の"by"は割りとレアと言えるかもしれません。

 

もし英文を書くときに受動態の"by"を多く使っているなら英語らしくない文章になってしまうので要注意です。