『武士道』の一節 | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は『武士道 (講談社バイリンガル・ブックス)』(←アマゾンへ飛びます)の一節を見てみたいと思います。

この本は新渡戸稲造が英語で日本の武士のことを紹介した名著で、日本のことや日本人の精神を知るのにはとても興味深い本です。

新渡戸稲造の英語は格式高いもので、かなり難しいと言われています。自分も少し英語で読んでみましたが、なかなか手ごわいです。

英語話者に向けて書かれたもので、難しい単語もよく出てきますし、日本語の説明しにくい概念まで英語で書かれているので、とにかく楽に読めるものではありません。

でもこれだけのことを英語で世界に知らせた新渡戸の功績はたたえるべきものです。

そんな本に日本人とアメリカ人の違いを表した一節がありました。これはある青年が言ったことを新渡戸が紹介しているものです。

American husbands kiss their wives in public and beat them in private; Japanese husbands beat theirs in public and kiss them in private.

対比されているのでわかりやすいと思いますが、一応対訳の日本語もあげておきます。

「アメリカ人は人前で妻にキスをし、私室では妻を殴る。日本人はこれと反対に、人前では妻を殴り、私室では妻にキスをする」

今から百年以上も前に書かれたもので、ある青年が言ったのはそれよりも前であることを考えると、だいぶ前のことですが、日米の違いを表していると思います。

恐らく半分冗談的な部分も含まれていますが、昔の日本人ならこうしていたのでしょう。

今では欧米化が進んでいるので、アメリカ式になって人前でキスをして、家の中でDVというパターンもあるかもしれません...。

『武士道』以外にも日米の比較した本には面白い比較があってとても興味深いです。特に外国人が著者の場合、日本人が普段意識しない点をついてくるので、比較文化的に勉強になります。

興味ある方はまずは『武士道 (講談社バイリンガル・ブックス)』(←アマゾンへ飛びます)を読んでみては?