"and"で「しかし」 | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は基本単語"and"を取り上げたいと思います。


"and"と言えば、「そして」や「~と」という意味を覚えているでしょう。"A and B"のように、左から右にどんどん流れていく感じがあります。

でも「そして」と訳してはうまくいかない時があります。

以下の文はホームズのretold版(Duke's son)に出てきたものです。retold版とは、使用する単語を制限して簡単な英語に書き換えたものです。中学生でも読めるレベルの物からあります。ちなみにDuke's sonは一番やさしいレベルです。

One of them never sleeps very well, and he heard and saw nothing that night.

場面としては、行方不明になった少年のベットルームへの途中に上級生が二人寝るベットルームがあって、彼らのうちひとりは、その晩にほとんど寝ていませんでした。でも少年が行方不明になったその晩、何かを聞いたり見たりはしなかったという場面です。

この文で、"and"を「そして」と訳しても通じるとは思いますが、それよりも「しかし」と訳した方が流れがいいでしょう。つまり、「彼らのうちの一人は、よく寝ていなかったが、その晩何も聞いたり、見たりはしませんでした」のようにした方がいいと思います。

このように"and"をはさんで内容が対照的になる時に「しかし」や「それなのに」という意味になります。

もう一つ典型的な例文をあげておきます。

She is rich, and lives like a beggar.

ここでは彼女がリッチであれば、贅沢な暮らしをしているのがすぐに想像でき、それが普通の流れですが、そうではなく"beggar"のように生活しているという対照的なことを言っています。


今回は基本単語"and"を見てみましたが、"and"は全て「そして」ではないということを抑えておきましょう。