"exceptional"は「例外的な」か? | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

exceptionalと聞けば、「例外的な」という訳がすぐ思いつくかも知れない。では"an exceptional student"という句になると、どう訳すだろうか。もちろん「例外的な生徒」ではない。

exceptionalには、「例外的な」の他に「並外れた」「すぐれた」という良い意味がある。そのため"an exceptional student"は「すぐれた生徒」と訳されるだろう。

ここで問題にしたいことは、日本語で「例外的な」と聞くと、あまり良いイメージが浮かばないのではないかということである。英語のexceptionalが、どうして「例外的な」と「すぐれた」という意味を持つようになったかという経緯は現時点では分からないが、日本語と英語にはニュアンスのズレがあるように思われる。

日本では他人と異なることが良くないという考え方がある(最近は少し考え方が変わってきているかも知れないが...)と思う。例えば、みんなが持っているものは自分も必要性がなくても持たなければならないと考えたり、周りが就職活動をしはじめた大学生が、周りがやりはじめたから自分もしないとなどと考えたり、周りがあるドラマを見ているから私も見る。このようなことは、周りと違うと良くないという日本的な考え方であろう。そのため"an exceptional student"を仮に「例外的な生徒」と訳した場合、悪いイメージを持つのではないだろうか。それに対しアメリカなどでは、日本のような他人と異なることは良くないという考え方はないので、"an exceptional student"は「例外的な」から良いイメージ、つまり「すぐれた」という意味につながったのではないだろうか。

これはあくまでも推測なので、学問的に正確なことはわからない。
しかし日英の文化の違いから、イメージが異なることがあり、それによって相互のことばや文化を誤解することが考えられる。そのためことばの表面だけを見ていては、その言語の理解を深められないだろう。
やはり言語の背後にある文化を知ることが重要であり、そこの英語の視点、世界観が隠されているのだろう。