Obamacareとも呼ばれる、オバマ政権において成立までやっとこぎつけた国民皆保険制度。
先進国では皆保険制度がない唯一の国でしたので、導入を喜ぶべきと思いきや、最近のアンケート結果ではこんな結果がでていました。
35 percent of respondent said they oppose the law and major changes to healthcare.
なんと、3人に1人は反対しているようです。
「なんで健康に気を遣わないやつらのために、いつも健康を心がけている俺の保険料が使われなければならないんだ」
と言われれば、確かにそういう考えもあるような気もします。さすが自己防衛の意識が強いアメリカらしいですね。
この健康保険制度に対する反対運動は、いまや最高裁へあがる問題にもなっています。
The individual mandate violates the principles of freedom and liberty enshrined in the US constitution
健康保険への加入を強制するということは、アメリカ憲法の自由の原則に反するということのようです。
要するに「保険に入らない自由」ということですね。なんともアメリカ的といったところでしょうか。
日本において、国民年金を皆払わないといけないだの、テレビがあるとNHK受信料を払わないといけないというような話のは、米国人にとってみるとてんで話にならない問題かもしれませんね。
さて、医療保険に入らない人は、みんな自腹を切っているかというとそうではありません。公的な保険制度がなく、個人の自由に任されているので、逆に民間の保険は松竹梅とあって、かなり充実しているようです。
日本では見かけられない珍しいものとしては、concierge medicineというような仕組みも。luxury primary careとも言いますが、お金持ち専用の仕組み。いわゆるプライベートなドクター。診察するのにも待ち時間は一切なし。何かあったら、電話一本でドクターが駆けつけてくれるというもの。
concierge medicineのドクターは、3分医療と揶揄されることも、処方に制約されることなく、時間とお金を十分につかってお金持ちの患者に万全をつくす医療ができるというわけで、毎日患者をサバくのに忙殺される開業医とっては夢のような仕事だったりもします。
そんなconcierge medicine のドクターに降りかかった医療過誤の問題を題材にしたミステリーが、私の好きなRobin Cookが出していますので、アメリカの医療制度に興味があったらぜひ読んでみてください。
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北欧なんかでは、医療費が無料というばっかりに、病院に行列ができていて気軽にいけない実態もあるようです。日本でも整形外科なんかへ行くと、事実上お年寄りの社交場と化していたりするという実態もありますね。
社会保険の制度も、資本主義と社会主義のよう。制度がないと格差が激しくなるが、格差のない公平な制度を作ると、その制度に甘えるフリーライダーのような新たな問題も発生するということで、なかなか難しいですね。