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というタイトルにしてみたが・・・。アメリカにというよりは先進国経済が低迷し苦しい状況におかれている理由が非常によく分かる本だと僕は思う。この本を単にアメリカだけの話を読んでしまってはだめだろう。
アメリカ経済は住宅バブル崩壊からは少しずつ回復の足取りが見えるもののまだ非常に脆弱である。いや、いつも言うようにそもそも成長の時代は終了し低成長の時代へ入っているのではという論調すら見える。そんな中で住宅バブルの崩壊を予見した本書の筆者ピーターシフはこれから何が起こるかを予見している。今日紹介する本はこれだ。
アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ
本当のタイトルはThe Real Crashなのだがなぜかこんな変な日本語のタイトルがつけられている・・・。怪しげな陰謀論とかの本と間違えられる可能性がありそうで正直ちょっと嫌だ。もう少しまともなタイトルがほしかった・・・。
実際には本書はアメリカ経済の問題点を非常に簡潔に論理的に書いた素晴らしい一冊である。所詮将来予測なんて当てにはならない。ただ、彼の現状分析は非常に素晴らしいと思うしその部分をぜひみなさんに読んで知ってほしい。アメリカってなんで成長が停滞しているのだろう?あんな市場原理主義の国なのに?ということをだ。
まずみなさんは驚かれるかもしれないが、筆者が主張するように実際にはアメリカはドンドン規制が強化されている。ビジネスが非常にやりづらい国になっているし法人税も今や世界でトップクラスに高い。(参考→規制が経済成長を阻害する In アメリカ
)実際にビジネスを行う人間として規制の多さを具体例を挙げて彼は説く。多くの読者がアメリカでも・・・。と驚くかもしれない。
また、税制の面でも日本同様にアメリカは複雑だ。また所得税と法人税に税収の大部分を頼っているなど実は問題が多い。そして各種の税控除がアメリカ経済のあり方をゆがめているというのが事実だ。より経済成長を促し財政を再建するために消費税を導入しその他の全ての税を廃止。ベーシックインカムを導入すればよいと筆者はアメリカの建国以来の税制の歴史にも触れながら理論的に説く。
秀逸はなんといっても冒頭から始まるリーマンショックへ至たる道とその理由。そしてアメリカのショックに対する対応がメチャクチャだったことを論理的に解説している点だ。この中でよくある「フーバー大統領が何もせずに自由放任主義を貫いたから1930年代の恐慌が悪化した」という教科書に出てく説明が事実に基づいてないことも歴史的事実に基づいて解説している。
今、世界中で政府の市場への介入はますます強化されている。多くの人はマスコミの「規制緩和で問題が大きくなった」、「適切な規制が必要だ」の声に誤った事実認識をさせられているのかもしれない。結果として規制はどんどん強化されビジネスがやりづらくなっている。その結果経済は大停滞への道を歩んでいる。本当は自由な市場・より少ない政府の介入こそが経済の発展には必要なのにだ。
本書を読めばアメリカで起こっている意外な事実が数多く発見できるだろう。そしてそれがそっくりそのまま世界の先進国に当てはまるということにも勘のいい読者は気付かれるだろう。ぜひいろいろと思考をめぐらしながら新しい発見をしてほしい。そういう一冊である。
ただ本書はちょっと訳がイマイチである。そういうのが気になる方は避けたほうがいいだろう。
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