ギリシアのユーロ圏離脱が意味するものは? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


ギリシアのユーロ圏離脱が現実味を帯びてきている。先週あたりから依然はありえないと言っていたECB(欧州中央銀行)やEU・ドイツの高官からその可能性やコストを指摘する発言が出てきている。ギリシアへのプレッシャーであることは間違いないが同時に市場への地均しが始まっているように感じるのは僕だけではないだろう。

ギリシアの経済規模は非常に小さい。ユーロ圏全体のGDPに占める割合は約2.5%程度にすぎない。この程度の規模の国がユーロを離脱することがそれほど大きな問題なのであろうか?という議論は当然あるはずだし、なんとなくそう思っている人も多いだろう。ギリシア向けの融資はIMF/EUの2400億ユーロ+ECBを通した同国銀行への貸し出し1300億ユーロ+250億ユーロの欧州の銀行のギリシアへのエクスポージャーということで約4000億ユーロに上るがコントロールできないほど巨大ではない。むしろ、問題を抱えたギリシアがユーロを離脱することはユーロ圏の経済にとってプラスなのではないかと思う人もいるかもしれない。

だが、これはおそらく今の段階では間違いだ。何が間違いなのだろうか?

ギリシアのユーロ離脱は何を意味するか?

それはギリシアが他のユーロ圏の諸国やECB/IMFから支援を受けられなくなるということを意味する。可能性としてはユーロを離脱しても支援が続くこともないとは言えない。しかし、ギリシアがユーロを離脱する理由は援助の代わりに押し付けられた緊縮財政に耐えかねるということだ。つらい緊縮財政を行うくらいだったら再度のデフォルトやユーロ離脱・ドラクマ再導入によって通貨価値を大幅に切り下げることで債務の返済を楽に行いたいとの思惑があるからだ。もちろん、通貨を切り下げれば一時的には輸出を増進することもできるだろう。(その代償は国民資産の価値の大幅な低減だが。。。)だから、ギリシアのユーロ離脱はすなわち支援の停止となることはほぼ間違いない。

ギリシアがユーロを離脱して海外投資家やユーロ圏のほかの納税者に負担を背負わせながら/あるいはインフレーションによって(見た目上は)楽に財政再建を行うということは、同様のインセンティブをポルトガルやスペインなどのほかの諸国にも与えることになる。他の問題国も緊縮財政が行き詰まりを見せた場合には(すでに見せているが)ユーロ離脱を選択する可能性が高いということを市場は否がおうにも意識せざるを得ない。

また、市場の側から見れば現在保有しているユーロ建てのスペインその他の周辺国向けの貸出や国債などの資産がどの通貨で返ってくるかもわからなくなる。すなわち通貨の下落によるさらなる資産価値の低下に覆われる可能性が格段に上昇するということだ。

ギリシアのユーロ離脱は他の国に何も問題がない場合にはそれほど大きな問題とならない可能性は高かっただろう。しかし、同様に債務面で問題を抱える国、特にイタリアやスペインの存在はによって状況は大きく異なる様相を見せているのだ。

また、現在、ギリシアを初めとした南欧諸国の銀行はECBに(各国中央銀行を経由している場合もあるが)周辺国などの国債を担保として差し出すことで多額の借り入れを行っている。また民間銀行も南欧向けに多額の貸し出しがある。独仏の銀行だけでもその額は90兆円を超えるとの試算もあった。

もちろん、債権そのものの価値の減価はある程度引き当てを積んであるから大丈夫かもしれないが、もしユーロ離脱の影響が高まってくるとこれらの債権の価値はさらに下落する可能性があるだろう。(繰り返しになるが通貨分の価値の下落を先取りするため)

その結果起こるのは金融機関同士の相互不信であり、金融システムの緊張が極度に強まることである。そして、ECBすらも多額の南欧銀行の債権を担保として受け入れているということからその健全性に懸念が持たれる状況になる可能性もある。

このようにギリシアのユーロからの離脱は市場の混乱をさらに加速させるだろう。

さらに、ギリシアのユーロ離脱によって貸し出した資金が返ってこない上にECBまで損失を被ったとなるとドイツをはじめとする北部の国々の世論はますます南欧を助けるな。ユーロなんてやめちまえと先鋭化する可能性も高い。

ギリシアのユーロ離脱は平時であれば何の問題もないだろうが、現在の状況においては非常に致命的になる可能性が高い。しかもすでにギリシアをはじめとする南欧の金食い虫、いやゆすり屋に大量に貸し込んでしまっているのである。このことが事態をますます複雑にしてしまっているのは言うまでもない。最初の時点でギリシアを追い出していればこうはならなかった可能性はある。くさいものにはふたをせよ方式のやり方が問題を大きくしていることは間違いなく、これも典型的な「政府の失敗」といえるだろう。(過去に欧州はまあまあうまくこの問題に対処していると書いたがそれは間違いだったようだ)この問題が短期的にとんでもない終末を迎えるのか今後数年間続くのか。予断は許さない。ただ、一ついえることは政治の絶え間ない市場への介入が先進国の経済に大きな歪みを作ってしまっていて、その歪みの修正がリーマンショック以降続いているということなのかもしれない。だとすれば、つぎはぎだらけの今の政策はますます事態を悪化させていることは想像に難くない。そして、つぎはぎだらけの政策はアメリカでも日本でも続いている点を我々は忘れてはいけないだろう。

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