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維新の会の橋下市長は相変わらず精力的である。維新の会の政策には首を傾げるべきものもある。しかし、全体としてはかなりプラスに評価できる内容だと僕は思っている。(参考記事→それでも橋下徹に期待する -維新八策-
)
一方で橋下氏を独裁者だと言って批判する人たちが居る。また、彼の真意・政策をあまり知らずに疑いの目を向ける人たちも多い。
しかし、そういう人たちが本当に彼の信念を理解し、大阪という都市の問題点も理解しているかは疑問である。また、組織を本当に代えようと思ったら敵を作ってでもやりぬかないといけないことはたくさんある。中央政府の首相がそのようなことをするのは・・・と思う面もあるが、地方自治体の経営者たる首長であるならば強引な手法も許されると僕は考えている。
かく言う自分も新聞・雑誌の特集や彼のインタビューはよく読んだが、なぜ大阪都構想なのか?なぜ彼が地方分権にこだわるのか?という彼の主張を体系的に読んだ事はなかった。先日関西に行くことがあり、ふと本屋によると彼のこの本が平積みにされていた。いまだにである。いかに関西で彼が注目されているかがよくわかった。
今日紹介するのは言うまでもないこれである。
体制維新――大阪都 (文春新書)
本書を読んで、はっきりって彼は100%正しいと僕は思ってしまった。何がだろうか?
維新の会の主張はマクロ的に見れば、ありえへんやろという政策も数多く含んでいるしナンセンスなものも多い。
しかし、彼は大阪という都市の問題点。大阪府や大阪市という自治体の組織としての問題点を非常によく理解している。そして、経営者としての感覚・生まれながらにしてのリーダーシップがそうさせるのだろうが、地方自治体の経営者としてきわめて優れた感覚を持った人物であることが本書を読めばよくわかるのである。
もちろん、正直にえらそうに言えばマクロ的な経済政策どうあるべきというのは僕のほうが分かっているとすら思う。彼はおそらく一国の首相には向かないだろう。しかし、彼の現場感覚に立った構想・組織をいかに動かせばよいかというノウハウとその覚悟は日本のほとんどの政治家よりも優れていることは明白だ。
その彼が目指しているものは何か?これはもうシンプルに地方分権であることは言うまでもない。しかし、道州制がどうとかいう現実離れした発想でも、地方に権限だけよこせ、金は国が面倒をみよというような乞食のような発想ではない。ま今、世界で盛んに都市間の競争が行われている。そして、都市国家のような国が発展している。その事実を捉えて、大阪という都市が成長し世界の都市間の競争に勝ち抜き日本を支えるためには大阪都が広域行政を担い、府下に再編された基礎自治体がフェイストゥーフェイスのサービスを住民に提供すべきとの主張を彼は行っているのだ。国が制定する成長戦略の無意味さを考えれば地方こそが自ら成長戦略を考えるべきなのは明白である。また、全国一律の道州制よりも地域に根ざした都市制度・地方自治制度の大切さを主張していることも非常に好感が持てる。
また、大阪でやってきた教育改革・公務員改革などに対してなぜ彼がそれを行ってきたかを述べている。ここで重要なのは彼は自分の政治信条を押し付けることを優先しているのではないということだ。行政組織というものはかくあるべきであるという全うな信念にのっとってそれらの改革を行ってきているのが手に取るようにわかるのである。
本書の命題はふたつである。地方主権の大切さ。そして、いかに組織をマネジメントするか。その中で行政組織はかくあるべきとの信念を持って政治家と役人の役割を明確にわけそれぞれが力を発揮できるようにする組織を作ることの大切さ。これを彼は手を変え品を変え理論的に実践的に我々に訴えてくるのだ。
そして、大阪都構想に関しては意味不明の批判や不安に対して随所になぜこれが必要かを極めて理論的に回答してくれている。僕は政府を信用しない。そしていかなる権力も腐敗するとの考えにも同意する。だから、政府の規模は小さいほうがいいと考え、地方政府がより権限を持つほうが正しいと考えている。彼にもその信念はある。しかし、それ以上に日本を大阪をよくするためにもっと現場の肌感覚で彼はそれらの考えの正当性を訴えてくるのである。
そして、堺屋太一のこの一言が印象的である。彼の独特の穏やかな大阪弁で頭の中でこの言葉を思い浮かべてほしい。
「よいことも悪いことも大阪からはじまります。都構想は日本の体制改革実現への試金石なのです。」と。
大阪から日本を変える。そのためには多少のリスクがあっても大阪都構想を実現し、地方政府が中央政府から権限を奪うべきである。ぜひそうあってほしいものである。平安末期・室町末期・江戸時代末期、多くの変革は地方から起こってきた。もう一回大阪が日本をリードすべき時かもしれない。大阪から地方から日本を変えていきたいしそうあってほしいと願うばかりである。少なくとも腐敗しきり国家主義に走っている今の東京にある中央政府にはそれは期待できない。
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