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タイトルをちょっとだけキャッチーにしてみた。市場を通して適切な資源配分を実現し経済成長を促すことの重要性を否定する人はあまりいないだろう。一方で最近は市場経済は格差を拡大させるとの批判も強い。多くの経済学者は多かれ少なかれ、市場経済の重要性を強調しつつ再分配政策によって格差を抑えることを主張している。
市場を重視しつつ、再分配により格差を抑えるという政策は今や、リベラルといわれる政党でも実施している政策だ。
ところが日本では・・・。
自由市場を肯定する人がロシアやフランスよりも少なく、一方で政府による再分配を否定する意見はアメリカよりも少ないという、ある意味で現在の世界のスタンダードの考え方とはまったく逆を行く調査結果が出ているという。
上記は本日紹介する一冊からの紹介である。
競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
大阪大学の大竹教授の著書である。
本書は効率性と成長を高める市場。しかし、格差を拡大させる市場。それを是正するためになるべく市場を重視しながら、再分配によって公平性を高めるという経済学の基本的なトピックを取り上げている。
その上で当ブログで紹介するような格差の原因がどこから来ているかなどに関してもわかりやすく解説してくれている。
たとえば、女性はなぜ出世しないか?今や20代では女性の平均所得が男性を上回る時代である。これに対して筆者は様々な研究結果を取り上げながら解説する。女性は男性に比べて競争が好きではないからというのが有力な理由だ。それに対してその傾向は遺伝的なものか文化から来るものかという研究も紹介する。たとえば、女子校出身の女性のほうが共学校出身の女性よりも競争を嫌わない傾向があるらしい。
非正規雇用の問題をいかに解決するか?働きすぎは経済・社会に悪影響を与えるか?などなど様々なトピックを多様な研究例を引き合いに出しながら軽快に説いていく。そして、明確な答えを出すのではなく考える材料を提供しようという姿勢が本書に貫かれており非常に好感が持てる。
競争と公平という難しい課題を考える上で基礎となる知識をつけられる一冊である。また、雑学としても非常に面白い内容がちりばめられている。気軽に手にとってほしいと思う。
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