地産地消が比較優位の観点から明らかに非経済的であるということは明白だと個人的には思っている。もちろん、愛着のある地元で採れた新鮮な野菜を食べたい。自国や自分の住む地域の農業が衰退することによって農村の風景が失われるのはいやだ。やはり、人間の健康のためにも地元で採れたものを食べるのがいいのだ。という考え方を個人的に持つのは自由だと思っている。かつ、僕自身も3番目の観点に関してはおそらく非科学的だろうが、なんとなく共感を覚えてしまう人間である。
しかし、国家や公的機関が政策を持ってそういった「地産地消」を推し進めることにはまったく納得がいかない。それは人間の自由である。また、農業により有利な地域、あるいはXという作物を作るのに適した地域はそれの生産に特化しYという作物を作るのに得意な地域はその生産に特化するのがいいことも明白である。
だから、なんでもかんでも「地産地消」と叫んでそれを押し付けるのは意味のない行為であると思っている。こんな感じで、小さな政府をかたろうに書いた記事はイマイチ、数字に基づいてない議論であった。
数字を含めて示したいなと思っていたら、先日、こんな、コラムを発見した。環境の観点からも地産地消はよくないらしい。
The locavore’s dilemma
In 2008, two Carnegie Mellon researchers analyzed the reduction in carbon emissions that might come from moving to local food. They found that American food consumption produces greenhouse gas equivalent to 8.9 tons of carbon dioxide per household per year. Food delivery represents .4 tons of that total; all agricultural transportation up and down the food chain creates one ton of carbon dioxide per household annually.
アメリカの食糧消費は8.9トンの二酸化炭素を家計あたり・年間あたりで排出している。一方で、食料の配送によって生じる二酸化炭素はわずかに0.4トンである。
よく地産地消のメリットとして言われるのは輸送に関わるコストならびに温室効果ガスなどの排出を抑えられることである。しかし、実際には食料品の輸送によって生み出される二酸化炭素は食料生産によって生み出されるものよりもはるかに小さく、これを削ったところで効果には疑問が残る。
また、イギリスのトマトの生産はスペインでの生産の5倍の温室効果ガスを生み出すという。トマトの生産に不適切な地域での生産はコストのみならず、環境面からもマイナスであるようだ。
さらに、このブログの筆者は農業が都市部に入り込むことによって(家庭菜園など?)、都市部の人口密度が低下し、かえって温室効果ガスの排出量が増えることを指摘している。(参考記事環境主義者と効率性と )
このように地産地消は実は環境にもよくないようである。
いずれにしても、そうであるならば、そのような政策を政府や地方自治体が補助金などを使って奨励する必要はないだろう。地産地消はひとつのブランド価値はある。しかし、それに政府が関与したときに、間違った方向に行き税金を浪費しかえって環境をも悪化させる。そういったことを我々は認識するべきだろう。
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