政治家や官僚によるコネをどう考えるか? 「コネの経済学③」  | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

なぜだかシリーズ化してしまった。笑

当初はシリーズ化する予定はなかったのだが・・・。
(参考記事→コネは既得権益であってはならないものか?コネ入社ほど以外と仕事ができたりしないだろうか? ~コネの経済学②~ )

コネは不完全な労働市場をより完全なものに近づけるための人々の努力の結果存在するものと考えられる。「市場は不完全だから失敗する。よって市場への政府の介入が必要である」と安易に考える人は多い。しかし、コネに関する一連の記事に対するいただいたコメントではむしろ「コネ」の有効性に同意されるものが多かった。

「市場は不完全だが、人々はその不完全性を少しでも克服しようと努力する。」よって、「市場の不完全性が必ずしも政府による安易な市場への介入を正当化するものではない。」「なぜならそのような介入は市場の不完全性を克服しようという人々のインセンティブを削ぐし、コストの高いものになる可能性が高い」「また、政府が介入しても市場の不完全性が克服されるとは限らない」との考え方の有効性を「コネ」について考えることで理解していただけるだろうと思って僕は過去2回の記事を書いてみた。

ところで、初回の記事を書いたときに政治家や官僚も職業の一種である以上はコネがある程度存在するのは仕方ないとのコメントをいただいた。僕はそのこと自体を否定はしない。

ただし、自由市場において、企業がコネに基づいて人を採用したり取引を開始する場合と官僚や政治家によるコネは明確に区別されるべきだとも同時に思っている。

なぜか?

政府は公権力を行使して市場活動に介入できるからである。

たとえば、特定企業に有利な規制を作り、その見返りに娘をその企業に入社させる。

兄弟の経営する会社に政府が何かを調達する場合に便宜を図る。(納税者の税金の公正でない使用)

などなど・・・。

政治(含・官僚)と民間が結びつくとあらゆる不正が行われるようになる。そして、誰も摘発しようとしなければ、その問題は発覚すらしないかもしれない。

はるか、大昔を考えてみよう。たとえば、戦国時代・あるいは江戸時代。

戦国時代であれば多くの戦国大名はお互いに覇権を競っていた。コネを過剰に重視した誤った統治を行った場合には家が衰退し滅亡する恐れもあった。そのような競争的な条件下においては政府といえどもそのような行動にはでないだろう。

また、江戸時代もそれに近いところがある意味であったかもしれない。封建制のもとにおいて、各藩の藩主には自藩の収入を最大化するインセンティブがあったはずだ。さすがに、滅亡などは基本的には(おとりつぶしにならない限り)ならかなかっただろうが、封建制下においてはそのようなインセンティブが働くから、コネを過剰に重視する姿勢は起こらないだろう。

しかし、現代の政府においてそれが違うのは、いい政治をして国家が発展しても、それが必ずしも自分の財産の最大化につながりにくいことである。よって、政治家や官僚はもちろん、いい政治をするインセンティブをもってはいるものの、君主制の場合以上に自己の利益を考えて行動する可能性が高い。

であるから、現代の民主政においては我々はコネに関してより厳しく監視すべきなのである。

そのことは、道徳的見地からの問題以上に、政府によるコネなどに基づいた不適切な市場への介入が市場の効率性を毀損し国家の成長を妨げるからである。また、もちろん、公平性の観点からもおかしいことは言うまでもない。

しかし、コネのようなものを完全になくするのも難しいだろうし、そのメリットがいまだにないわけではない。

適切な監視があれば、むしろ、コネ入社の人間がかえって熱心に仕事を行うのと同様にコネは民間におけるそれと同様の効果を発揮するだろう。

政治家や役人の不正を監視するのは矮小な道徳論や週刊誌的な安っぽい正義感や嫉妬心ではなく、市場の効率性を保つために必要なのであると僕は考えている。


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