サッカー選手に適切な税率は? 高い税率は正当化されるのか | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

stumbling and mumblingというブログから。

http://stumblingandmumbling.typepad.com/stumbling_and_mumbling/2010/11/laffer-curves-for-footballers.html

Laffer curves for footballers

まずは要約。


高額所得者は税金が高い国から安い国へと簡単に移住するというのが、行き過ぎた累進課税に対する反論のひとつだ。

そこで、ヨーロッパのサッカー選手が実際に低い税率の国へと移住するかというのを調べた研究がある。


それによると10%税金が上がると各リーグの外国人選手が4%減るという結果。


そのことを考慮に入れて試算を出すと、国家の税収を最高にする所得税はなんと80%という結果になった。


なぜだろうか?

クリスチャーノ・ロナウドが高い税率を嫌って海外に移籍したとしても代わりにプレーする別の選手がいるから、政府の税収はあまり減らないからだ。


一般的な納税者に当てはめて考えてみるとどうだろうか?


①高額所得の一般の労働者はサッカー選手よりも働ける機関は長い。高額の税金は彼らを海外に追いやるのではなくて彼らにより(人生の)長い期間を働くという選択をとらせるだろう。

②小国出身のサッカー選手にとっては海外を渡り歩くことは当たり前だ。一般的な高額所得の労働者はサッカー選手ほどは移住に慣れていないからサッカー選手以上に高額の税率を嫌って出て行くことはない。


よってサッカー選手以上に一般の労働者は高額の税金を嫌って海外に出て行くことはない。


ただし、同時により高額の税金はその国のリーグのレベルを低下させるということも導き出されている。


という内容。


ラッファーカーブ というのがある。税金がゼロであれば誰も納めない。一方で税金が100%であれば誰も働かない。よって、どこかにみんなが一番一生懸命働いてかつ政府の税収も最大になる点がある。という理論だ。


そのラッファーカーブの均衡点(人々の勤労意欲を削がずに税収最大を達成する点)はどこかという議論。サッカー選手の場合は所得税80%という結果らしい。本当だろうか?


仮に80%が一時的な税収を最大にする均衡点だったとしてもまだ問題は残る。


その疑問は

①一般企業はサッカーチームよりも移転しやすい。それ以上に新しく拠点を作ろうというときに税率の高い国は避けられる。

②高額の税金がその国のリーグのレベルを低下させるよう、に高額の税金はその国の産業の競争力を衰退させる。

③今住んでいる国に未来がないと思えば比較的自由に人生を選択できる若者がどんどん海外に出て行く。(中年や高齢者は出て行かない可能性は高いけど)


などなどいくらでもありそうだが、要は短い期間の問題しか考えていない点ではないだろうか。物事はもっと長期的な視野で考えられるべきだ。


それ以上に、大きな問題は高額の税金は個人の財産権の侵害であると同時に政府の規模を膨張させ過剰な公共投資や福祉政策を生みだすという点だ。

前者はさまざまな利権を生み、政府の手による非効率な資源配分が行われる結果として国の成長力を減退させる。

後者は悪平等を生み、クレクレ精神を持った国民をたくさん生み出すことで勤労意欲を削ぎ国家の成長力を減退させる。


入り口の議論だけでなく出口の面からも物事を見ていかないと判断を見誤るといういい例でもある。


しかし、80%も税金ね。どうせ選手は手取りベースで給料を提示されるんだろうからクラブ側が大変だわ。


↓ブログランキング参加しています。クリックしてもらえると励みになります。


人気ブログランキングへ


にほんブログ村 経済ブログへ