今年の一番のニュースってなんだろう。マーケット的には欧州ソブリン危機じゃないだろうか?
アイルランドがEU/IMFから救済されることになった。ギリシアについで二カ国目。ポルトガルも早晩救済される可能性は高い。市場のさまざまな指標はそういった可能性を警戒した位置に依然ある。
アイルランドといえばあまりイメージがないかもしれないが、90年代半ば以降急速に発展してきた国だ。
従来は農業しか産業がなかったが大胆な規制緩和や12.5%という低い法人税をテコにして輸出力も強化され、また金融業がその発展に大きく寄与してきた。
(↑世界経済のネタ帳より)
それはそうと、日本の財政に対する不安は大きい。一部のトンデモな理論を唱える人を除いては現在の財政は持続不可能というのを認識しているだろう。
特に構造改革派と呼ばれる人たちは財政再建にやかましい。
なにせ政府の収入にしめる借金の割合は50%を超えているのだ。景気が巡航速度にもどって税収が多少は回復していくとしても、どう考えても異常だとしかいえない。
財政赤字のGDP対比の割合だって名目成長率を超えた状態だし。
仮にいくら国内貯蓄があるから大丈夫と言っても、収入の4割、5割が借金というのは異常な姿だと思わない人の感覚が僕にはわからない。(個人の家計ならすぐわかるだろう。いくら資産があってもキャッシュフローがそんな赤字だったら不安でしょうがない。)
その頼りの国内貯蓄も高齢化に伴って減っていくだろう。日本の貯蓄率は大きく低下しているのが現実だ。
(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4520.html
より)
とはいえ、市場の今の10年国債の金利は1.1%、20年で1.9%程度。とても日本の破綻を意識しているような金利のレベルではない。ムダに危機を煽るのも市場を見る限りはおかしいといえる。
しかし、こういうと、「そうだ。だからこそもっと財政出動すべきなんだ!」とうトンデモな人たちが出てくる。それはそれで違うだろうと思う。いつもいろいろ理由をあげて書いているが、残念ながら財政出動ではその国の本当の意味での成長力を向上させることはできない。所詮痛み止めにすぎないからだ。(たとえばこの記事を参照→オバマの財政拡大 、財政政策の問題点
それにしても、日本の金利がこような低いレベルなのかというのは諸説あるが、ひとつひとつを論じるのは今日は本題でないし長くなるのでやめておこう。
ただ、今回のギリシア・アイルランドの救済であらためて明らかになったのは先進国を容易に破綻させることはできないということだ。先進国を簡単に破綻させれば、その国やその国の企業に投資している自国の金融機関をも破綻の危機にさらしかねない。景気がいいときならばまだしもまだ景気の回復も脆弱な中ではそういった選択肢は自国の財政に跳ね返ってくるからできないというわけだ。
そう考えると、日本が財政危機に陥ったら何が起こるだろうか?おそらく国債の金利は急騰し円は大きく売られるだろう。
そのとき起こる事は?世界中の企業が日本企業と取引をしている。また日本は外貨準備で大量の米国債も保有している。そのことを考えるとおそらく日本を破綻させることは影響が大きすぎて不可能だろう。世界中で大パニックが起こることは想像に難くない。
最終的にはIMFとアメリカや中国などの主要な貿易相手国が共同で日本に融資して日本は破綻を免れるというのがひとつのやシナリオではないだろうか?
だから、市場は日本は破綻しないという金利のレベルを織り込んでいるのかもしれない。
しかし、そうなった場合には国内は痛みを無視した外国の介入による改革が断行されるだろう。それだけならむしろ一からでなおせるからまだいいかもしれないが、そういった外国の介入は円の今後の信用を大きく棄損するだろう。日本企業の信用も失墜するかもしれない。今まで日本や日本人が築いてきた国際的信用もなくなってしまう可能性が高い。それは当然、将来世代にツケを回すことに他ならない。
ま、消費税5%なんてのは安すぎるからこれを20%くらいに上げること余地があるから日本は破綻しないという説も市場では有力だ。(これも当然将来にツケをまわすことに他ならない)
だからこそ、できるだけ早いうちに財政を立て直す道筋をつけなければならない。いつまでも埋蔵金・埋蔵金言ってる場合じゃない。埋蔵金があるぞーーって言ったのは正しかったけど、持続可能なものでないのにそんなものに頼ってここ数年予算が編成されたのは大問題だ。とにかく、今、オレたち若者が不幸なんだ!と叫んでいる人たちは将来の若者と日本国のためにほんの少し今の痛みにたえるべきなのかもしれない。僕もほんの少し耐えたいと思います。毎年ほんの少し耐えていけば明るい未来が待っていると思う。
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