こんなニュースがあった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101204-00000038-mai-bus_all
<住宅エコポイント>断熱材不足 省エネ住宅建設が大幅遅れ
住宅エコポイントの人気の高まりを受け、代表的な住宅断熱材のグラスウールが不足し、省エネ住宅の建設が大幅に遅れている。従来のほぼ2倍の国産断熱材の使用が義務付けられており、生産が追いつかないためだ。今年10月までの消費量は昨年1年分の生産量に相当し、約2万戸分のグラスウールが来春まで不足するとみられる。このまま建設の遅れが続けば、建築代金の支払いが延び、資金繰りに行き詰る工務店が増える恐れがあるとして、経済産業省と国土交通省も実態調査を始めた。
財政政策の問題点を象徴的に表す事例の一つといえそうだ。
このように期限内に需要が集中するために原材料などの供給が追いつかなくなる。そして原材料が値上がりし、多くの人々は割高な値段で省エネ住宅を建てることになる。
しかも記事を読んでもらえればわかるが、恩恵を受けているはずの工務店の経営もかえって圧迫されているという。
グラスウール の不足は約2万戸分の1万トンに及んでいるという。通常の好景気ならば生産設備の増強などで対応するかもしれないが、このような政府の政策による期限がある需要増加に対しては各メーカーとも大胆な設備増強などで対応することは難しいだろうからグラスウールの品薄状態は終わらないだろう。
通常であればもっと安い値段で省エネ住宅が建てられるのに政府の補助金による一時的な需要拡大のせいで明らかに高い値段でしか省エネ住宅が建てられないというわけであり、明らかに非効率だ。
それから、このグラスウールという素材は他の設備には使われないのだろうか?
もし、使われているとしたら省エネ住宅の需要増→グラスウールの価格高騰→他の省エネ設備(オフィスなど?)などへの投資手控えなどが起こっている可能性は高いだろう。
もしくはグラスウールの価格高騰→ガラスメーカーの他の製品の生産ラインをグラスウールに切り替え→その他のガラス製品の供給が減少し価格上昇→他のガラス製品の需要減退/それにまつわる投資や消費の減退
などという事態も起こっているかもしれない。そうなったら省エネ住宅への投資で押し上げられた部分が他の分野の需要減退を通して押し下げられトータルでは景気に与える好影響は限られる可能性は高い。(広義のクラウディングアウト効果)
以上のようにこの事例は財政政策のひとつの問題点を非常に明確にあらわしているいい例といえるだろう。
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