古いPCの書籍を読む意味を見出す | 55歳過ぎてもアメリカでIT企業のエンジニア・PMとして挑戦します

55歳過ぎてもアメリカでIT企業のエンジニア・PMとして挑戦します

一昔前なら定年を意識する年齢ですが、家族で夢をかなえるために2019年4月に渡米、現地のIT企業のソフトウェア開発部門のエンジニア・PM(プログラムマネージャー)として挑戦しています。

日本からアメリカに引っ越してくる際に、古い書籍もすべて持ってきました。
もう何十年も開いていなかった本、特に高校時代に活用したPC関係の書籍が多々あります。

ただ、そういう本は、昔を懐かしむ以外の意味はないと思っていました。

何と言っても今のPC性能とあの頃のPC性能差は、何十倍とか何百倍というレベルではなく、例えて言うなら三輪車と宇宙ロケットくらい性能差があるかと思います。

宇宙ロケットの設計をするのに、三輪車の設計図を見てもほとんど役に立たないように、今の時代のソフトウェア開発をするのに、当時のPCテクノロジーの本を見てもしょうがないと思っていました。

しかし。

このMZ-2500という35年前のPCの本、これが今見ても超面白いです。

というか、ワクワクします。
詳細なシステムコールの使用方法がすべて記載されているので、「(アセンブラ言語で)こういうコードを書けばこういう動きをするはずだ」というイメージが簡単に湧いて、夢が広がります。


今では、例えば新世代のCPUが発表されて、それが物凄い素晴らしくて斬新なCPUだったとしても、少なくとも高校のころのようにはワクワクしません


高校の頃は、それはもう、新しいPCが各メーカーから発表されるたびに、本当にワクワクしていました。

上記のMZ-2500というPCは、当時は夢の夢のまた夢のようなPCでした。
超高性能な8ビットPCだったものの、値段が高くてとても手が届かない存在だったからです。

高校生になったばかりのころ、私はMZ-700という8ビットマシンを持っていました。



MZ-700は私の人生に大きな影響を与えたマシンであった半面、当時のPC技術からすると、物足りないと感じてしまうPCでもありました。
何といってもグラフィック機能がなかったからです。

当時の8ビットPCは、だいたい640ドット×200ドットの8色カラー表示可能、というレベルのグラフィック機能が一般的でしたが、MZ-700にはそういったグラフィック機能が全くなかったため、やるとすればキャラクタ文字をあたかも絵のように表示させる、いわゆる「キャラクタグラフィック」を使うしかありませんでした。

それで、高校2年になってやっとの思いで中古で購入できたのが、MZ-2200という、ちょっとだけ上位の8ビットPCでした。



MZ-2000/2200は、当時の8ビットPCとしては標準的な、上記のような640ドット×200ドットの8色カラー表示可能というマシンでした。

これでやっと、グラフィック機能を駆使したプログラムが作れる!」ということで嬉しかったのですが、すでに同じクラスの中でも所有者の現れたPC9801のような16ビットPCや、超高性能8ビットPCであるX1ターボのようなPCと比べるとさすがに見劣りしてしまいました。

それでも、そのMZ-2200にフロッピーディスクドライブを増設しようと(当時は5インチ2ドライブの装置が15万8千円という、本体以上の値段でした)、バイトをしてお金を貯めていました。

フロッピーディスクドライブが欲しかった一番の理由は、8ビットのオペレーティングシステムである「CP/M」を自分のPC上で動かしたかったからでした。

なぜCP/Mを動かす必要があったかといえば、当時高校の実習で使われていたFORTRANという言語のコンパイラを走らせるためには、CP/Mが必要だったからでした。

正直その頃は、CP/Mというものの実体もよく分かっておらず、もっと言えばOSというものも概念としてよくわかっていませんでした。(当時のPCはOSなしでBASICインタプリタを起動させるのが普通だったからです)

ただ、ひたすら、学校の実習室でしか動かすことのできなかったFORTRAN言語を自分の家で動かしてみたい!という情熱で、フロッピーディスクドライブと、CP/M(確か3万円くらいで購入できたと思います)を購入するために、バイトをしていたのでした。

ところが、そのようにひたむきに一つのこと(ここではPCプログラミング)に打ち込む姿を見たうちの親が、少しお金を援助してくれると言ってくれて、フロッピーディスクドライブを買う代わりに、当時は夢の夢のまた夢だった、MZ-2500を購入することができたのでした。

MZ-2500は、8ビットPCながら当時の16ビットPCと同等以上の性能を持っており、グラフィック機能一つとっても、640×400の8色、しかも4096色パレットから8色を選択可能で超高速という、当時の8ビットPCでは考えられない高性能でした。

その時の、高校2年生だった私の喜びようといったら・・(笑)
人生の中であんなに喜んだことは、そうたくさんはなかったのではないかと思います。
相当物欲の激しい高校生でした(笑)


・・そうですね、MZ-2500の本を見ると、あの頃の情熱を思い出します

あの頃のPCは、確かに今と比べたら3輪車レベルの性能だったかも知れませんが、やっぱり今よりもずっとワクワクさせられました

なぜワクワクしたかといえば、それは、「まだ世の中に定着していなかった」からではないかと思います。

世界を確実に変えられるだけのポテンシャルのある技術が詰まっているのに、まだPCを本格的に業務で採用している企業は多くはない時代でしたから、自分たちが、このPCの技術を駆使して、世の中に違いを作るんだ!という夢を本当に持てたのだと思います。


いま仕事でやっていることは、言ってみればあの頃の夢の続き、日本にいたらまずできなかったようなスケールでのプロセスの自動化・・そう考えると、少々大変でも頑張れるかも知れないですね。