論理的思考のための一つの注意書き | 永遠のビギナーのブログ

論理的思考のための一つの注意書き

相関関係と因果関係は区別するのが難しいのですがその関係は別物なので、
論理的であろうとするが故に、迷宮にあっさりと入ることもあります。

相関関係と因果関係の簡単な説明はこちら。
相関関係:Aが増えるとBが増える(または減る)。
因果関係:Aが増えたことによって(原因で)Bが増える(または減る)。

両者の差は、たとえば何か別の原因CによってA、Bが増えても相関関係になります。
しかし、この場合AとBは因果関係と見なしません。(同じCの結果に過ぎない)

で、今日のネタ元はこちら 。

-----引用ここから

2007年の健診で腹囲や血圧などを測定した40歳以上の男女3025人に、うつ病の診断に使われる質問票に答えてもらい、抗うつ薬を飲んでいるかなどを尋ねた。

男性でメタボだった364人のうち、7.3%にうつ状態が見られた。
メタボでない910人では2.8%。
統計的な補正をするとメタボの男性はリスクが2.3倍だった。
おなかのサイズが大きい人、善玉コレステロールの値が低い人に、その傾向が特に強かった。女性は、うつ状態とメタボの関連性は見られなかった。
女性は、うつ状態とメタボの関連性は見られなかった。

-----ここまで

記事に拠れば、(調査を行った)九州大学ではこの結果を因果関係と推測しているようです。
とうぜん、その可能性は否定できません。
(以下はこの研究内容を否定するものではありません。筆者は医学上の知見を一般人と同程度かそれ以下しか持ち合わせていません。この文章の目的はある一つの同じ事実に対し、どう考察するか、という方法について述べたものです。)

ですが、別の推測もできます。(相関関係を想定してみましょう。)
例えば「40歳以上の男女」という所から、
就業している人の比率が男女で異なることも考えられます。
また、フルタイムの労働者とパートタイムの労働者の比率が異なることも考えられます。

ここでは就業によるストレスが原因(先ほどのC)でメタボになったり、鬱状態になったりする、と仮定します。就業形態にかかわらず、勤務時間にかかるストレスは同じと仮定して、勤務時間とメタボの割合、勤務時間と鬱状態の割合でデータを再構成し、再度プロットしたときに、綺麗な相関が見えるようでしたら、ストレス原因説(メタボ相関関係説)の妥当性を主張できます。

男女別のメタボ因果関係説に反論するには、一般に女性の方がストレスに強い(らしい)事の逆用し、男女別の勤務時間との相関を調べて、両者ともに相関関係が認められ、かつ男性の方が相関率が高い事が(もし示せれば)わかればストレス説の方が一般的(要するにストレスとの関係が既知であるが故にわざわざメタボとの関係を持ち出すまでもない。)であるが故に、「確からしい」という形になります。

また「女性は、うつ状態とメタボの関連性は見られなかった。 」ことから、女性は勤務時間と鬱状態に相関関係が認められ、勤務時間とメタボに相関関係が認められないことが予想されます。この場合は、女性の肥満傾向にストレス以外の原因が関係していることになります。(まあ、実際にはそれほどシンプルには行かないでしょうし、これら一連の考察は記事内の「統計的な補正」に入っている可能性もあります。)

さて、まとめです。
AとBが同時に増えているからと言って、因果関係にあるとは限らない。
(逆は正しいです。すなわち、因果関係にあるものは相関関係にあります。)

要するに、「風が強い日が増え」て「桶屋の営業利益が伸びる」ことが統計的にデータがとれたからと言って、有名なことわざが正しいとは限らないと言うことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%8C%E5%90%B9%E3%81%91%E3%81%B0%E6%A1%B6%E5%B1%8B%E3%81%8C%E5%84%B2%E3%81%8B%E3%82%8B

世の中をよく見てみれば、「風が強い日が増え」て「桶屋の営業利益が伸びる」データを示して、商品(または主張)を売りつける人は多数居ますので、(というか、このくらいならまだマシなほう)数字を挙げられると何となく納得しちゃう人は特に気をつけた方が良いと思います。