クラウドについて思うこと | 永遠のビギナーのブログ

クラウドについて思うこと

クラウドというのは"Cloud Conputing"の事です。


ま、技術的には流行の言葉で、単純に言うと

「面倒だから基本全部インターネットに置けばいいじゃん。」

って事です。面倒だからOSの設定もアプリのインストールもセキュリティ対策もインターネット側で全部やってくれます。こっちは使った分だけお金を払います。モノのレベルで言うとこっちには液晶とキーボードとマウスだけがあってそれが通信回線でインターネットとつながっています。ハードディスクも何もないのでもちろんデータはインターネットの側にあります。これ以上の詳しい説明はどっかで見てください。


閑話休題、クラウドがどこまで普及するかはまだ分からないですが、ある程度は使われると思います。個人向けサービスでセキュリティの要らないモノは原則、こういう形に変更されるでしょう。前のグリッドの時と違うのは通信速度とコストです。だからグーグルを日本人は便利に使えています。どういう意味かと言えばグーグルのデータセンターは日本国内にはありません。理由としては日本国内の土地取得費用の高さと維持費の高さ、そして電気代が高いようです。特に電気代の高さは致命的です。サーバは電気で動いて、おまけに動いた後は熱になってそれがサーバを不安定にさせるので冷房してやる必要があります。とにかく大量の電気を消費します。だからそれを少しでも抑えるためにグーグルは自前でサーバを構築し、それどころかコンテナの中にサーバを配置して、コンテナごと冷却するような独自規格のミニデータセンターを開発してそれを必要に応じて拡張、接続するだけで動作するようにしているそうです。ちなみにグーグルがどれだけサーバを持っているかというと、アホみたいに膨大です。(少し古いデータだが詳しくはここ を参照のこと)だから、サーバに関して言えば残念ながら日本が逆立ちしてもグーグル1社にかなわない。当然だがアメリカにはアマゾンもあれば、マイクロソフトもある。(どちらも膨大なサーバを持っている。)つまり今日本でグーグルを使っている人は国境を越えて、世界のどこかにあるグーグルのデータセンタに検索要求を送り(通信ですね)、グーグルはその結果を送ってくるわけです。(これも通信ですね)だからグーグルのサーバがいかに早くてもダメで、速い速度と安いコストの通信が必要なわけです。(検索結果の表示に通信で5秒もかかっていたら国内の他の検索業者に乗り換えますよね。)


話はまた横にずれますが、これの意味するところは日本に関する情報のかなりの部分は日本にはない、と言うことです。別に国粋主義者というわけでもないのですが、地理的位置が競争の勝ち負けを左右する場合はあります。現在、北米から日本までデータを持ってくるのに0.1秒ぐらいはかかるそうです。(この辺記憶でうろ覚え。)往復で0.2秒です。ある公平な市場があったとしてもそこからの応答に他の市場参加者より0.2秒も遅かったら、今ではかなり不利です。具体的にはリーマンショックの時に判明したことですが、アメリカの株式市場が特定の参加者に百分の数秒早く情報を流していたそうです。(市場側としては別に不公平を意図してやったわけではないそうですが)それでもある参加者はそれを利用して自動プログラムでさや取りをして稼いでいたそうです。今のコンピュータにはそれぐらいの性能があります。つまり、今クラウドに市場が載ったら日本の参加者はかなり不利になります。


話を元に戻します。現在、クラウド事業者の主なプレイヤーは米系企業です。だから私たちの知っているNECとか富士通とかは少なくともこの分野に関してはもう全然お呼びじゃない。で、別の切り口が必要になっているのですがそれがPrivate Cloudです。要するに今のプレイヤーは公共空間で誰でもアクセスできるインターネット上に全てを置きます。セキュリティやら何やらの関係でそれでは都合の悪い主体がいます。そう、企業です。既存のクラウドはインターネットにつながってさえいればいつでもどこでもアクセスできます。逆に言えば誰でも、どんな悪意の存在でもどこからでもアクセスを試みることはできます。また、データの物理的な存在箇所は指定できないので(ヨーロッパ、とかそういうくくりでならできるサービスもあるようです。)物理的なセキュリティを担保できません。だから現状のクラウドは日本の企業にはいまいち使いづらいようです。


そこでPrivate Cloudです。既存のクラウドをPublic Cloudと呼んで、企業、または企業グループ内でクラウドを作って(物理的位置もその使用する企業が担保して)そこでシェアして使用しようというわけです。そういうことをクラウドに乗り遅れたプレイヤー(主にサーバサプライヤーだと考えています。日本だとIBMとか日立とか富士通とかNECとか。)が宣伝しています。以下は日本の企業に限りますが、この発想でPrivate Cloudを使うとダメダメでしょう。クラウドの使用見本はこんな事 です。このニューヨークタイムズのように「それなりのCPUリソースを使用する処理を、少人数、短時間で、処理する」のがクラウドのもっとも効率的な使い方です。つまり処理のピークがずれることを利用して、時間を非常に安く買うわけです。ところが日本企業はだいたいどこも同じ時期に決算がきて同じようにリソースを使用します。同一企業グループ内でも一月とずれていないでしょう。(多分子会社が幾分(2週間?)早い程度だと思います。)結局ピークは同じ時にくるので作業の平準化ができません。自前で持つのであれば結局ピークに応じたサーバが必要になります。それではクラウドにしても用語が変わるだけで何の意味もありません。


ではピークの異なる別の、ある程度信頼できる企業とシェアするのはどうでしょうか。(株主総会すら集中するこの日本でそんな企業があるかどうかは不問にします。)端的に言えば何社かの共同出資で小さなクラウド運営会社を作ってそこでピーク時の作業を行うわけです。ピークが終わればデータは全て消し、(データが全てオンメモリなら再起動するだけです。)また別の企業が使用するまで待機します。これなら何とかなりそうです。ただしコスト的なメリットはあまりないでしょう。(規模の効果がないし、少ない参加者では平準化があまり期待できない。言ってみれば市場取引高の少ない株式売買みたいなもんです。)コスト的に不利だと他でがんばる必要が出てくるので厳しくなります。


結論としてはクラウドのプレイヤーとして日本で期待の持てる事業体は今のところ見あたらないようです。何か別の切り口か、全く別のレイヤでの事業を考えないと難しいと思います。クラウド上でのプレイヤーとして何かあればいいのですが。


おまけ:

昨日発表されたグーグルの日本語入力は凄いようですね。これでグーグルは被リンク数で情報の重要度を測ると言う発想を元に検索を制し、OS(アンドロイドとクローム)、Office系のアプリ(GMail, etc.)、開発言語(Go)、英語以外の入力手段(今回の日本語入力)へと手を出しています。これでグーグルは情報の入力方法、入力対象、入力された情報のデータベース、出力対象、出力方法と入り口から出口まで全て(ソフトウエア的には)カバーできたように思います。これが恐ろしいことなのか、すばらしいことなのか、今のところ判断がつきません。