中学の終わり頃だったと思う。

 

私には深刻な悩みがあった。

 

小学校時代から一番の得意科目は

体育だったというのはこのブログ

で何度も述べている。

 

どんなスポーツも上の上。

 

特に短距離走は自信があった。

 

それが中学入学後

徐々にその自信が「?」に

なってきたのである。

 

自分では速いと思っていたのに、

何であんな奴に負けるんだ

というような事例が頻発した。

 

今、客観的俯瞰的に考えると、

私の体は小学生のままで

相手は中学生の体に変化

していたのだから

負けても仕方ない。

 

しかし、

当時の私にそんな分析が

できるわけがない。

 

「俺は、どうしたんかのう…?」

 

私は悩みの海の底に沈んだ。

 

一人悶々としている頃、

さらに悩ます事が起きてきた。

 

「おっぱい」である。

 

エロい話ではない。

自分の事である。

 

その頃

自分の体の変化が気になってきた。

 

何と…、

おっぱいがふくらんできたのである。

 

それは毎日毎日大きくなる。

 

「ああ、俺は男子寮にいながら

女になっていくのか…。」

 

私の悩みは海の底を

突き破りそうな勢いであった。

 

足が相対的に遅くなったのも

きっとこの所為だと思った。

 

女になっていくから

負けるのかと…。

 

今から思えば馬鹿な話だが、

私は真剣にそう思った。

 

 

風呂に入る時も

背を丸めコソコソ入った。

 

今では笑い話でしかないが、

私にはとてもつらい時期

だったのだ。

 

誰かに相談すればよかった

かもしれない。

 

けれど、

「女になる」と誤解している

私はこの異様な事態をさらりと

打ち明ける気にはなれなかった。

 

しかし、

賢明な読者はもう既に

お分かりだろう。

 

それは「おっぱい」ではなく、

立派な大胸筋がついてきた

ということだったことが。

 

暫くして、

ゴリラのような大胸筋を手に入れた

私の運動能力は飛躍的に上昇した。

 

 

50m   5.8秒。

100m 11.8秒。

 

この記録は土のグランドを

ズックで走った記録。

 

スパイク履いて、スターターがあり、

アンツーカーで走れば10秒台も

夢ではなかったはずだ。

 

さらに、

垂直跳びが90cmを超えた。

 

一夜にして

スーパーマンになっていた。

 

にもかかわらず、

何かに打ち込むわけでもなく、

毎日寝るだけ寝、

ダラダラ過ごしていた。

 

私はその時に

タイムスリップしたい!

 

「なんかせーよ!」

発破をかけたい!!!

 

かくして、

エロでもなく、

柔らかくもない

「おっぱい」話は

なーんもなく

終わるのであります。

 

ただの「だからどうした話」

でありました!