今朝年に一度の健康診断に行ってきた。

 

 事前に採った尿や便を受付で渡し、番号札をもらう。

パジャマのような上下に着替え、ホールの真ん中の

長椅子に腰かけて自分の番号を呼ばれるのを待つのだ。

 

 ホールを囲むようにコの字状にたくさんの小部屋がある。

体重・身長計測、血圧測定、採血、胸部聴診、聴覚検査、

視力検査、心電図等の部屋である。

 

 小部屋はカーテンで仕切られており、一人終わる毎に、

カーテンを開いて看護師さんだか検査士さんだかが

「何番さん!」と番号で呼ぶのだ。 ほとんどの場合一回

では呼応できないので彼女たちは連呼する。 それが

各部屋の前で連呼するのだからけたたましい。

場末のキャバレーの呼び込みのようだと私は苦笑した。

 

 同じ服装の人達が長椅子に座って、じっと自分の番号

が呼ばれるを待っている。 健診はおよそ2時間くらい

なのだが、呼ばれるまでは結構時間がかかるように感じる。

だから、呼んでもらえた時はちょっと嬉しくなり、「はい!」

と大きな返事をし手まで挙げてしまった。

 

 私のような人は例外のようだ。 たいがいは返事もせず

スリッパを引きずるように小部屋の前に行く、すると小部屋

の主が「○○さんですか?」と確認するので、それにうなづく

だけだ。 コミュニケーションというものが全くない。

 

 私は自分の番号を待っている間、人生もこんなものかとも

考えた。 つまり、皆自分の番号を社会のある分野から

呼ばれるのを待っている。 一度も呼ばれることなく一生を

終えた人も数多いるに違いない。

 

 もう少し待っていれば呼ばれたかもしれないが、呼ばれる

まで我慢できずにホールを出た人や、寿命のせいで待てな

かった人もいるだろう。

 

 そういう意味で健診では待たされはするが小部屋の数

だけ必ず複数回呼ばれる。 しかも、私達は2時間くらいの

間に必ず呼ばれることを知っているからホールの長椅子に

だらんと座って待てるのである。

 

 もし、120年間に一度呼ばれるとしたら、きちんと呼応できる

人はいったいどれくらいいるのだろうか?

VOCATIONということなんだけれど・・・。

 

 とにもかくにも、健診においては「呼ばれる」という成功体験

をたった2時間の間に何度も味わえる夢のような空間だと

しきりに感心したのであった。