日本海側を中心に雪雪雪。
故郷の広島県庄原市高野町(たかのちょう)
は当然深い雪にすっぽり包まれているだろう。
高野の名前は最近全国区になってきた。
大雪の天気予報では必ず紹介される。
大雪のニュースを聞く時、
雪の降らない所に住んでいる人は、
このようなニュースを聞いても
ピンとこないだろうなといつも思う。
現場アナウンサーの頭に雪が積もって、
「寒い」「大変だ」とどんなに叫んでいようと
太平洋側の人々には何も通じないに違いない。
我々のような雪国育ちが聞くと、
心底同情の念が湧いてくるのだ。
特に、高野の雪は北国の雪と違って、
湿気を含んでいて重い。
長靴の底や、ワックスを塗っていない
スキーにはすぐに雪だこがついてしまう。
また、何よりも屋根に積もった雪を
下ろさねば家が潰れてしまうのだ。
高い屋根に上って重い雪をスコップで
掻き下ろすのは重労働である。
屋根の雪は道路に落とし、
その落とした雪を近くの小川に流すのだ。
しかし、そのうち川も雪で埋もれてしまうと、
道路には雪の巨大な壁ができる。
人々は一階の玄関から雪の壁の上に上がる
雪階段を作る。
壁の上が道路になるのだ。
道路の高さは屋根と同じ。
ということは、一階は光が入らないので、
真っ暗である。
そういう事を太平洋側の人々に
想像せよといっても無駄だろう。
先週末はセンター試験だったが、
雪国の学生は本当にかわいそうだ。
私も経験がある。
一晩に50センチも積もる雪だと、
交通は遮断される。
どこにも行けない。
ひどい時は電話線も雪の重さで
切れたので電話すらできない
(今は携帯があるが・・・)。
だから、試験とか何か大切なことがある時は
雪の予報があろうがなかろうが、
脱出できる時に出ておかねばならない。
私も大学受験の時はそのようにした。
かように雪国の子供も大人も
雪の降らない所に住んでいる人がやらない
重労働や心配をしなければならないのだ。
英語が苦手な人は思ったことがないだろうか?
米英人は英語を勉強する必要がないから得だと。
米英人は他国人が英語を勉強している苦労は
他国人が考えているほど感じてないに違いない。
けれど、苦労することはやはり色々なことが
身につくのだ。英語であれば勉強しながら
自国語の良さにも気づく。
雪国であれば春の良さが心の底から理解できる。
また、忍耐力もつく。
苦労は人間を作るのだ。…と信じている。
最後に三好達治の「雪」という
短い詩を味わってもらいたい。
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
静寂の中、しんしんと雪が降り積もる様子が
手に取るように分かる。
たかし君もそうでしょ?!