ダークナイトに続き本年度ベスト作品になるの間違いない作品。見ていてかなり覚醒する秀作。
この映画に何も感じない人間は相当現代病に毒された凡夫間違いなし。
首から値札をさげた偏屈で陰湿な田舎者だろう…
とにかくイントゥ・ザ・ワイルドで言いたいことは山程あるが、ショーン・ペンの才能に惚れ惚れする、被写体に対しての愛があり、役者を動かすということをよく知っている。親からの伝授か純粋培養された視点がある(一代で築いた視点でない気がする)
選ぶ題材がいい、かなり刺激的で現代人の多くが無意識に感じていることを体現している。
主人公は常時アルチュール・ランボーと重なって見えた。詩人の詩を引用しているのがかっこわるいが、そんな彼も詩人になれた筈の人材。遺族である妹の語りが知識とフラストレーションを爆発させてるだけの彼を支えていた。
いつの時代も多感な時期の若者は言葉に固執し、言葉に鼓舞され、言葉に苦しめられる、理想も理念も信念も言葉から生まれる。
センシティブな多読家は時に悲劇的な道を歩むことを経験で知っている。数年前、美大受験をしていた時の予備校で出会った自分の後輩が社会にでて人とうまく馴染めず、語学を勉強してモロッコへ旅に出た、そして旅先での経験や帰国後の初恋のことなどを大量に綴った知的散文をPCに残して自殺した。その後遺族が感性の華というタイトルでその知的散文を自費出版した。その本ではやはり妹さんが彼についてあとがきで綴っていたがその文で泣けた。親御さんとの確執、幼少期からの二人の闘いの話、そして兄に敬礼し私は人生の戦線にまだ立っていると終わる文章…
イントゥ・ザ・ワイルドの主人公はランボーに見え、同時に知らない間にこの世を去っていた後輩とダブった。
それがまたグッとくるものではあった。
サンボマスターのボーカルの語りが気になりサンボマスターというバンドがあることを知ったのだが、その語りで「あいつは見知らぬ街で一人死んでいったわけです、寂しかったというとそうではなかったようで…何故なら彼はぬくもりという名のけもの道を歩いていたわけですよ…云々」というものだったが、まさにこんな言葉が独りで放浪の旅に出る人間に当てはまると思う、やはり理想の生き方とはたった独りで世界と対峙する時間を持ち、己を知る為の周り道をたくさんすることだろう、それが物理的に旅であったり、どこかに引き籠もったとしても内観し、己と対峙し、己以外の存在を感じれれば、その後の人生は豊かに感じて生きていけるのではないかと思う。
なかなか現代はこれができない、何もしないでいることができず、常に鮫のように何かを狙って動いていないとダメになってしまった。こぎ始めた自転車はこぐのをやめたら倒れるしかない。
毎日損得勘定、打算的、小さな騙し合いの連続、こんな虚仮と欺瞞のうずまく世界に一生暮らしていてほんとうに幸せか?そんな風に考えたことがある人はかなりの数でいるはずだ。
これには考え方、視点の違いだけという問題点があるが、純粋さが引き起こす悲劇ー自己破滅、デカダンスは美しく見え、突詰めた者にはゴールとして死が待っている。全てセルフィッシュジーン利己的細胞がやらかすことなんて割り切りたくないが、純粋さが故に自分を追い込んで死んでいった若者にはいつも泣ける。見習いたいとは思わないが単にアドレナリンの量が多く無謀でバカだとは思えない
アルチュール・ランボージェームス・ディーン、ジム・モリソン、ジャニス・ジョブリン、シド・ビシャス、カート・コバーン、尾崎豊、リバー・フェニックス、(ヒース・レジャー)…
彼らの真摯な言葉や生き様はいつも突き刺さってくる、
また彼等のおかげである意味のうのうと生恥をさらして生きている我々の偉大さも気付かされる。