廃墟のようなビルを2階まで駆け上がる。
なんだか今日は階段を全力で上り下りしているきがする。
階段をのぼってすぐのところにあるドアを開ける。
「遅れました鮮華さ――」
「20分遅刻」
声の調子からして機嫌が悪そうだ。
社長イスに身をあずけて窓の外を眺めながら紫煙を揺らしている。
赤色の髪の毛を、真白みたいに腰までたらしていて、座っていると、背中がすっぽりと覆われてしまっている。
しかし髪の長さは大体同じでも二人のイメージはまったく違う。真白は身長145cmという小柄なため、長い髪は幼いイメージを。鮮華さんは身長170cmととても高いため、美人なイメージを。それに鮮華さんは目が小さいため、いっそう大人なイメージをしている。真白は逆に目が大きい。
「お前が遅れた20分、大きいぞ」
真剣な顔で俺を見据えてくる。
何かあったらしい。
「何が・・・あったんですか?」
「“色”(シキ)が出現した」
色(シキ)、それは魔術使用時に残った色の残りカスが集結してできた化け物。
「遅れた罰だ、お前らで始末してこい」
「お前らって・・・真白もですか!?」
「怪我人の手当てはできるだろ。依頼内容に怪我人の手当ても入ってるんだ」
そう、彼女の経営するこのビル、何でも屋「LostColor」は、本当に合法なことから非合法なことまでなんでも請け負っている。
今回の場合は合法である。
「何、『色』は20匹ばかしだ。キミなら余裕だろ」
口がニイと笑う。仕事の話になるとこの人は容赦がなくなる。
俺が駆りだされるのは別にかまわない。そういう契約なのだから。でもだからって真白まで。
「でも真白は―――」
「白亜どっかいくの?」
後ろからゆっくりと階段(途中で疲れてしまった)を上ってきて、やっと俺においついた真白。タイミングが良すぎる。
「真白か、丁度いい。依頼がはいった。人助けで黒桐は出て行くが、お前もついていくか?」
「ちょっ・・・!鮮華さんなにをいって」
「白亜がいくなら私も行きます!」
力いっぱい行くと宣言しやがった・・・危険だということをわかっているのか心配だ。
『なに・・・お前が守ってやればいいだけだろう』
ぼそぼそと鮮華さんが俺に耳打ちしてくる。
「いわれなくても・・・」
溜息をつき、あきらめる。やるしかない。
「黒桐、忘れ物だ」
「ありがとうございます」
そういい俺は鮮華さんから2つの包帯を受け取り、腕に巻く。
「真白、俺の後ろから離れるなよ」
「わかった」
そういい、LostColorを飛び出した。