彼は酷く奇麗に、囀る
此の世界で歌うには余りに残酷な程、奇麗な音色を
まるで呼吸するかの様に容易く、其の唇から溢す
「僕以外の前で囀ったら、潰して仕舞うからね」
独占欲に駆られてそう云ったら、矢張り、恰も給仕を頼まれたかのように何事もなく、二つ返事で了解されて仕舞った。つまらない。
蒼い、鴉
藍色の黒を湛えた其れは、七色の唄を紡ぐ
朽ち行く世界を嘲笑うかのように
或いは死に行く世界への鎮魂歌のように
「お前の唄を聴いてると、悲しくなるよ」
歌い続ける其の背にしがみ付いてそう云ったら、此れも矢張り、歌えと云ったのは陛下ですよ、と無表情で返されて仕舞った。可愛くない。
知らない、旋律
一体何処で覚えたのだらう、私は彼に歌を教えた記憶等無い
或いは、不死鳥たる彼の、咽喉から自然に発生しているのだろうか
そして、歌っているときの彼の瞳は酷く、酷く奇麗な色をしていて、
僕は其の眼球を右手にあるスプーンで掬って仕舞いたくて仕方が無かった。
嗚呼、がらんどうになった眼窩に僕の大好きな薔薇の花を活けて、食卓に飾っておきたい。
「Luu」
「はい」
名を呼んだら、彼の歌は止まった。
其の歌声を支配して良いのは、僕だけなのだ。
「子守唄が良い」
「眠られるのですか?」
「いけないかい?」
「…イイエ」
きっと私に未だやるべき仕事が残っているのだろう、従僕たる彼は少し難色を示したが、溜息と共に、背にしがみ付いた儘の僕を片腕で抱き起こし、其の膝の上へ誘った。
「少しだけですよ」
「うん」
彼の膝を枕に、其の腹に顔を埋める形で横になると、声が丁度上から降ってくるようで、心地が良かった。
そして余計に、悲しくなった。
「矢張りお前の歌は、悲しいよ」
「左様で」
「うん、悲しい」
生憎と、僕が生み出せる奇麗なモノと云ったら此の泪位しか無いけれど。
そう云うと彼は酷く柔らかい目で以て、じゃあ貴方の其れもとても、悲しいですねと答えた。
きっと彼の声は、泪と同じようなモノなんだろうと、思う。
此の世界で歌うには余りに残酷な程、奇麗な音色を
まるで呼吸するかの様に容易く、其の唇から溢す
「僕以外の前で囀ったら、潰して仕舞うからね」
独占欲に駆られてそう云ったら、矢張り、恰も給仕を頼まれたかのように何事もなく、二つ返事で了解されて仕舞った。つまらない。
蒼い、鴉
藍色の黒を湛えた其れは、七色の唄を紡ぐ
朽ち行く世界を嘲笑うかのように
或いは死に行く世界への鎮魂歌のように
「お前の唄を聴いてると、悲しくなるよ」
歌い続ける其の背にしがみ付いてそう云ったら、此れも矢張り、歌えと云ったのは陛下ですよ、と無表情で返されて仕舞った。可愛くない。
知らない、旋律
一体何処で覚えたのだらう、私は彼に歌を教えた記憶等無い
或いは、不死鳥たる彼の、咽喉から自然に発生しているのだろうか
そして、歌っているときの彼の瞳は酷く、酷く奇麗な色をしていて、
僕は其の眼球を右手にあるスプーンで掬って仕舞いたくて仕方が無かった。
嗚呼、がらんどうになった眼窩に僕の大好きな薔薇の花を活けて、食卓に飾っておきたい。
「Luu」
「はい」
名を呼んだら、彼の歌は止まった。
其の歌声を支配して良いのは、僕だけなのだ。
「子守唄が良い」
「眠られるのですか?」
「いけないかい?」
「…イイエ」
きっと私に未だやるべき仕事が残っているのだろう、従僕たる彼は少し難色を示したが、溜息と共に、背にしがみ付いた儘の僕を片腕で抱き起こし、其の膝の上へ誘った。
「少しだけですよ」
「うん」
彼の膝を枕に、其の腹に顔を埋める形で横になると、声が丁度上から降ってくるようで、心地が良かった。
そして余計に、悲しくなった。
「矢張りお前の歌は、悲しいよ」
「左様で」
「うん、悲しい」
生憎と、僕が生み出せる奇麗なモノと云ったら此の泪位しか無いけれど。
そう云うと彼は酷く柔らかい目で以て、じゃあ貴方の其れもとても、悲しいですねと答えた。
きっと彼の声は、泪と同じようなモノなんだろうと、思う。