二足の草鞋 -12ページ目

孤独な道標 【第十四章】~煩悶②~

【第十四章】
≪煩悶②≫

ファミレスに着き4人掛けのテーブルに案内される。私はすかさずEさんの横に座ろうとしたがEさんは「藤井さんは相場さんの横に座りなよ」と言われる。

明らかにEさんは何か誤解をしていた。淳介がストーカーなどとは思いもよらないんだろう。

仕方なく淳介の隣に座ったが、淳介はメニューを取り私にまるで恋人同士のように話しかけてくる。
「みるくは何食べる?このファミレスのおススメだと・・・。」
何付け上がってるんだと思いながらも私はその場をなんとか作り笑いでやり過ごした。
料理を注文し出てくるまでの時間、Eさんは頻りに私に「相場さんともう一回付き合っちゃえばいいじゃん」と言ってきた。何か、淳介から聞いたのだろうか。正直、ここで全てをぶちまけてやりたい。
相手方のGさんの携帯が鳴り、電話をしに外へ出たと同時にEさんは珈琲のお代りをしにドリンクバーへと席を立った。
テーブルに取り残された私と淳介。淳介はテーブルの下で私の手を握ってきて、私に寄ってきた。
「ちょっと、何この手は・・・近寄らないでよ。」
「みるく・・・俺は諦めないからな。」と言いながら、私の手を強く握った。
Eさんが帰ってくるまでのほんの数分間がとても長く感じた。
食事中、みんなとどんな話をしたのかほとんど覚えていなかった。食事もあまり喉を通らず、なんだか胸だけが苦しさでいっぱいになっていた。
食事を済ませ、店を出るとEさんはそのまま別の営業先へと向かい、私は一人で会社へ戻った。
こんな日が毎日のように続くと思うと、おかしくなりそうだ。だからと言って、いま自分が仕事を辞める訳にもいかずただ淳介になるべく会わないようにすることと仕事以外の話をしないようにすることしかできなかった。
仕事が忙しくなると営業の人が全て出てしまい、会社には私が一人で電話応対や事務作業をすることが多かった。そんな一人の時間に必ず淳介はやってきた。最初は書類をもってとか、サンプルをもってくるという短時間で終わることが多かったが、次第に何も用事がないのに立ち寄ることが多くなった。

「淳介、ちゃんと仕事してるの?毎日、毎日さぼりに来てさ・・・?」

「ああ、大丈夫。それよりこっち向いて!」パシャリッ!淳介は私の顔を携帯で撮ったり、私の背後に来て一緒に写真を撮ったりして・・・本当に何をしにきているのかわからなかった。

そしてそのたびに淳介は私に復縁を求めるようになった。拒否すると「遊びでいいさ、俺たちの相性合うだろ?」と、ワケのわからないことを言うようになっていた。
私も、この時点で公安にもう一度相談をきちんとしていれば良かったのかもしれない。でも、明らかに淳介は私に毎日会える喜びからなのか○○会社に入ったばかりの頃と比べると、ふっくらしてきて私と付き合っていた時と同じくらいの体型に戻っていて、元気を取り戻しているようだった。

元気な淳介は見ていてとてもあどけなくて、悪い気がしなかった。
そんな淳介をまた追い込むようなことが出来ないでいた・・・。そして、みるきーにもこのときから嘘をつくようになった。

毎日のように淳介がほんの数分間だけだが逢いに来ていること、仕事上の話も含め、昼御飯を近くの公園でときどき一緒に食べていたこと・・・自分の八方美人な態度に嫌気がさす一方で、それをなぜ断れないのか、なぜみるきーに嘘をついてしまったのか、悔やまずにはいられなかった。
そして、嘘をつき通さなければいけない衝撃が起きた。