2023. 5. 21 (日) 16 : 00 ~ J.COM ホルトホール大分 大ホールにて
<第23回 別府アルゲリッチ音楽祭 2023>
~室内楽コンサート~
ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ (弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 Op.11より第2楽章)
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 Op.163 D956
(アンコール)
シューベルト」「君はわが憩い」(Du Bist die Ruh) Op.59 No.3 D776
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
チェロ:ミッシャ・マイスキー
エール弦楽四重奏団(Vn: 山根一仁、毛利文香 Vla:田原綾子 Vc:上野通明)
だいぶ経ってしまいましたが 5月21日に行ったコンサートの話です。
今年もこの季節がやってきた
昨年は3年ぶりに開催された別府アルゲリッチ音楽祭。その後アルゲリッチが心臓を悪くして入院、コンサートをキャンセルなどしていたので今年は来日されるのかとても心配していた。
無事に来日してくださったのはとても嬉しいのだが、彼女の年齢を考えるとほんとに無理しないでほしい。
去年は2公演を聴いたが今年は日程の都合で聴けたのは1公園のみ。しかもアルゲリッチの出演は前半のみ、という公演だったがもう彼女のお姿が拝見できるだけで私は満足でした
当初発表されたプログラムにチャイコフスキーが一曲追加になり、前半と後半の曲が逆に演奏されることになった。
というわけで、前半はショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 ト短調。(曲解説はコチラを参考にしました) 実演を聴くのは初めて。
今回アルゲリッチと共演したのが「エール弦楽四重奏団」。
彼らは2011年に桐朋学園の仲間により結成。”エール”はフランス語で翼を表し、「大きく羽ばたいていけるように」という願いから名付けられたのだそう。
私の今回の楽しみはアルゲリッチを聴ける以外に、上野通明さんのチェロが聴ける~!ということだった。今、旬ともいえる上野さん、私は7月にソロ・リサイタルも行く予定なのだが、今までも映像などを観ていてすごくいいな~と思っていたのです
ショスタコーヴィチ自身がピアノを弾いた演奏のCDを持っていたのでそれで予習して臨みました。
開演前のアナウンスも終わり、さぁあとは出演者の登場を待つのみ、となってからなかなか出てこない!会場はシーンと静まり返ったまま、随分長く感じられました 舞台裏からの楽器の音も何一つ聴こえてきません
またアルゲリッチがいやだいやだと駄々こねてるのかな~wとか、もしかしてアルゲリッチの体調になにか!?と心配したり・・・ おとなりのおばあちゃんも「何かあったのかしら?」とつぶやいていました。
そうしてやっと登場した5人。前半は第1ヴァイオリンを山根一仁さんが務めた。私は山根さんも初聴き。
で、実際の演奏だが、ひとことで言うなら(いつものように(?)) アルゲリッチがカルテットをぐいぐいと引っ張るような演奏っだった。
若手の4人はうまい!それにアルゲリッチのピアノがバーン!バーン!と被って来る。
あくまで主観ですけど、たぶんアルゲリッチかなりお疲れではなかったかな~と思った。
ショスタコというのもあるけど、所々音がややぶしつけで荒い気がした。とはいえ、やっぱり彼女の音色はキラキラしていて魅了される。
当たり前だけどアルゲリッチも毎年年齢を重ねていてもうかなりのご高齢。音楽祭側ももう少しそれを考慮してあげたらどうだろうか。毎回東京公演から大分に来て複数回立て続けに公演して・・そりゃあ疲労もたまるだろう。しかも昨年心臓病でしばらく入院、療養していていたのに。
今回だって来日してすぐにチョン・キョンファとの室内楽コンサートの公演が入っていたのを、来日してしばらくは十分に休んでからじゃないと心臓に負担がかかるからダメ、というドクターストップがかかって公演日を直前で変更した経緯がある。
もちろん私もアルゲリッチ見たさ、聴きたさに毎回大分まだ足を運んでいる一人だが、音楽祭の今後のことも考えると”アルゲリッチだのみ”から脱却した方がいいのでは、と思う。なんでもかんでも出演させて客寄せパンダにすべきじゃない。彼女の体調を第一に考えてほしい。総合プロデューサーの伊藤京子さんはそこらへんどう考えておられるのだろうか。
・・・などと考えているうちに演奏が終わってしまった
©脇屋 伸光
(画像はいずれも音楽祭HP内のコンサートレポートよりお借りしました)
後半はアルゲリッチはお休みでミッシャ・マイスキーを加えての弦楽五重奏。
最初はチャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ。 これは弦楽四重奏曲第1番の第2楽章なのだが、これのみで演奏されることが多いので皆さん聴きなじみがあると思う。
マイスキーが入っただけで、音の厚みが増す~~
マイスキーが真ん中で独奏の形だったが4人のサポートも素晴らしく、マイスキーの力強くも哀愁のある音色が胸にじ~んときた ぶらぼ~
最後はシューベルトの弦楽五重奏曲 D956。
私の愛聴盤は以前ブロ友さまからおススメしていただいたパヴェル・ハースSQ (+石坂団十郎)のものです。
パヴェル・ハースSQ +石坂団十郎:シューベルト弦楽五重奏曲 他
この作品はシューベルト最晩年に書かれたもので1828年の夏に作曲。亡くなる2か月前に書かれた遺作なのだが、1850年になってようやく初演された。彼の作品の中では唯一の”弦楽五重奏”曲。4楽章構成だが各楽章規模が大きく全曲で50数分かかる。
弦楽五重奏といえば、通常は弦楽四重奏に第2ヴィオラを加えた形が多いが、この作品ではチェロが2人という独特な楽器編成をとっている。
これまさに熱演!でした。この作品は全曲で1時間近くかかるほど長~くて(特に第1楽章が長い。ド素人目線でいうとややしつこい気もするw)、とてもシューベルトが死去する2か月前に書いたとは思えないくらい彼の情熱を注ぎこんだ作品だと思うが、5人の演奏はとても素晴らしかった
後半は前半と変わって第1ヴァイオリンは山根さんから毛利さんに代わっていたが、おふたりとも端整な音色で派手さはないもののきっちりとキメてくる。あとすごくいいな!と思ったのがヴィオラの田原綾子さん。彼女うまいですねー!! 音色がすごくよかった。
私はこの曲が最も感動した。ほんとに熱演!
アンコールはマイスキーが自ら曲名を紹介。
またこれが最高に素晴らしかった。泣けました
©脇屋 伸光
(画像はいずれも音楽祭HP内のコンサートレポートよりお借りしました)
終演後はなんとアルゲリッチ総裁が再び登場して5人と一緒にカーテンコールに応じてくれた。
5人を先導して、舞台の右へ、左へ移動して笑顔で拍手に応えてくださった。
アルゲリッチはこの日が音楽祭の最後の登場だったそう。
こちらは前半のショスタコーヴィチの実際の演奏の様子がちょこっとと終演後のカーテンコールの様子が動画でご覧いただけます。
今後も多忙なスケジュールが詰まっているのだろうが、どうかくれぐれもお身体を大切に、休養をとって身体を労わってほしいです。
私自身、彼女の生演奏を聴けることは大きな喜びではありますが、健康のために活動を減らすとしても大賛成です。彼女が幸せに日々を過ごせるならそれでいい。
明後日(5日)には82歳のお誕生日を迎えるアルゲリッチ。一ファンとして、彼女のご健康とご多幸をひたすらお祈りしています
親愛なるマルタ・アルゲリッチ総裁へ
— 別府アルゲリッチ音楽祭 (@argerich_beppu) June 5, 2023
お誕生日おめでとうございます
いつまでもお元気でいてください
あなたとご家族の幸せを心から願っています
大分から愛をこめて
公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団#アルゲリッチ#HappyBirthday#6月5日はアルゲリッチの日#別府アルゲリッチ音楽祭 pic.twitter.com/vGPersZehu
この写真はこの日の終演後の拍手に応えるおふたりのものですね~