2021. 11. 13 (土) 18 : 00 ~ サントリーホールにて
<東京交響楽団 第695回 定期演奏会>
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 Op.35
オルフ:カルミナ・ブラーナ
ヴァイオリン:弓 新
ソプラノ:盛田麻央
テノール:彌勒忠史
バリトン:町英和
新国立劇場合唱団、東京少年少女合唱団
合唱指揮:冨平恭平、児童合唱指揮:長谷川久恵
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団
(コンサートマスター:水谷晃)
すでに3週間くらい経っちゃいましたが (野球ばっか観ててコンサートの記録がおろそかに)
上京シリーズ最後のコンサートの話です。
前日、前々日と2日に渡ってウィーン・フィルを聴き、この日は東響の定演。
東響を聴くのは2年前にミューザ川崎で「グレの歌」を聴いて以来2度目。
ウィーン・フィルももちろん楽しみだったのだけと、実は演目的には「カルミナ・ブラーナ」を聴くのが最も楽しみだった。しかもウルバンスキ!
ただ、なにせこのご時世なので、チケットは買っていたもののきっと指揮者も演目も変更になるに違いないと思っていた。 それがなんとほんとに実現 ヴァイオリンのソリストやソプラノ、バリトンは変更になったものの、ウルバンスキが来てくれて「カルミナ・ブラーナ」も聴けたことに感激
前半はカロル・シマノフスキ (1882-1937)のヴァイオリン協奏曲第1番。
シマノフスキについては彼の生誕日の10月6日に書いたことがあります。
当日もらった無料パンフ内の重川真紀氏による曲解説を一部引用すると・・・
1916年の夏から秋にかけてザルージェ(現ウクライナ)でヴァイオリニストのパヴェウ・コハンスキ (1887-1934) の助言を受けながら作曲された。9月9日付の手紙には、『パヴェウの助けを借りてヴァイオリン協奏曲を書きあげた(これは草稿で総譜がまだ残っている)~すべてにおいてとても満足していると言わねばなるまい~またもやこれまでになく新しいが、同時に古い方へも少し戻る音楽だ。全体は非常に突飛で予測できないものだ。』 と綴られている。 (コハンスキとのことは上の記事内にも書いています)
単一楽章だが、5つの部分(wikiには3つと書いてある)からなる。第5部(wikiでは第3部)のカデンツァはコハンスキの作曲。
私はこの曲を聴くのは初めてだった。曲自体を聴いたことがなかったので、you tubeで予習していったが数回聴いただけだったので、曲があまり頭に入っていない状態で聴いたのが反省点。 もうちょっとちゃんと曲の流れをわかっていればもっと楽しめただろうな。
でも、素晴らしい曲だというのはわかった。 ヴァイオリンソロがなければ交響曲といっても全然いいんでは?と思った。
ソリストは来日できなかったボムソリ・キムに代わって、弓新(ゆみあらた)氏。 私は恥ずかしながらお名前も知らなかったが、北西ドイツ・フィルの第2コンサートマスターを務めているそうだ。
弓さんのヴァイオリン、すごくよかった 細身の音だけどすごく美しい~ そして細身なんだけどオケに埋もれることなくしっかりと存在感がある。 弓さんでこの曲を聴けてよかった
でもって、オケがこれまたうまい~~~
曲が始まったとたんに惹き込まれた。 前日ウィーン・フィルを聴いたばかりだったけど、全然聴き劣りしない。 オケ全体が強奏するときでもそれぞれの楽器群の音がちゃんと聴こえてきた。ほんとうまい!
この曲また聴きたい。
後半はカール・オルフ(1985-1982)の「カルミナ・ブラーナ」。
カール・オルフについては3月29日の彼の命日に書いたことがあります。
オルフはナチスとの関係も色々と言われていますが、現在も評価が様々あり、そのことも記事内に書いています。
「カルミナ・ブラーナ」の実演を聴くのは2度目。初めて聴いたのは4年前、2017年10月の小泉&九響の定演だった。
この作品の作曲の経緯や簡単な解説はこの記事内に書いています。
この公演のときは、なんといってもカウンターテナーの藤木大地さんの歌う前、そして歌い終わったあとの演技や出番は少ないのにその迫力ある歌声がインパクトが強烈でいまだに覚えている。
その後聴く機会もなかったのでCDでも聴いてなかったが、今回予習のため再度CDを聴いてみたら鮮やかな記憶が蘇ってきて全曲大体覚えていた。そのくらいこの作品はインパクト強いってことなんだろう。
小泉さんもそうだったが、ウルバンスキもすべて暗譜で振っていた。
新国立劇場合唱団はP席にSD配置で着席。 数えてみたら、女性が26名、男性が22名だったかな?
児童合唱団は12名でLA席に配置。 合唱団以外と少ないのかな?と思っていたら、その歌声たるやすごかった さすが新国立合唱団(私は初聴き)、うまくってびっくり!
第7曲では(新国立)合唱団の皆さんが左右にスイングしながら歌っていた。あと途中ソロで歌った女性、男性の方もめちゃめちゃうまい
それから第22曲「楽しい季節」の最後の方では、オケの皆さんも一緒に歌っていた(途中マスクをつけていたからなんでかな~と思っていたらそゆことだったのか!) ⇒この曲の歌詞、ラテン語で何言ってるかはわかんないけど、ついつい勝手に歌詞をつけて(「空耳アワー」的にw)、「お、ほ、ほ~♪ 山盛りよ~、山盛りおにぎり🍙 山盛りよ~~♪」なんて歌ってしまうんですよね~
歌手陣はソプラノとバリトンは代役ということだったが、ソプラノの盛田麻央さん、なんと美しい歌声!
第21曲の独唱はとても感動した。声量、その美しさともに申し分なかった。
バリトンの町英和さんは出番が多いが、私が一番よかったと思ったのは第13曲の酔っ払いの演技をしながらの独唱。 他の場面も奮闘していたが、時々声量が今一つかな、音程が少し不安定かなと思われるところもあった。
そして、カウンターテナーの彌勒さん、第12曲の出番のころになると、舞台下手からふらふらと出てきて、手に何か白いものを持っているな~と思ったら、白鳥の人形を持っていたのだそう。 遠目に見ていた私は白いハンカチかなにかかなと思った。 そして合唱団が合いの手を入れるたびに、びくぅっっとなって合唱団の方にくるっと振り返っていた(他ブロガーさんによると合唱団をにらんでいたそうだ)。
彌勒さんの歌声もすんごく響いていて、出番はほんのちょっとなのにその存在感たるや強いインパクトを残して去っていった。
ちなみに、この白鳥の人形のアイディアは彌勒さん自身の発案らしく、誰にも言ってなかったらしいがリハのときに初めて使ったときウルバンスキもびっくりして凝視 そして第1ヴァイオリンの方が笑いをこらえきれず思わず下を向いてクククと笑ってる様子の動画があっておもろかったので載せます
🎼カルミナ裏話🎼
— 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) November 16, 2021
リハ中、舞台袖で「まだ誰にも言ってない」と白鳥のぬいぐるみを取り出した、テノール彌勒さん。
初合わせ、初🦢を収めようとカメラを回したところ、大ウケする中村(第1ヴァイオリン)と、何を持っているのかと凝視するマエストロが撮れました📸
(このあと無事採用されました🦢👏) pic.twitter.com/YD2DCZEIqo
とにかくずうっと面白くてあっという間に時間が過ぎていった。
やっぱり「カルミナブラーナ」すごく好き 聴いていてゾクゾクする
個人的に年末は第九じゃなくてカルミナ・ブラーナを演奏してはどうかなと思うくらいです
今回聴けてよかった
ウルバンスキの指揮はスマートだけど、それだけではない。 私はNDRエルプフィルの福岡公演で聴いて以来2度目のウルバンスキだったが、やっぱりこの人の才能はすごい!と思う。
「単にイケメンで流麗な指揮が魅了してるだけ」とかなんとか書いてる方をみかけたが、見かけだけ流麗な指揮者ならいっぱいいる。 そこから奏でられる音楽に惹きつけられるか否かが重要なんだと思う。
ウルバンスキは2013年から3年間東響の首席客演指揮者を務めたそうで、同楽団との関係も10年を超えたそう。パンフの中に「クシシュトフ・ウルバンスキと東京交響楽団」と題した飯尾洋一氏のコラムがあったが、その中でリハーサルから暗譜で行う理由を聞かれたウルバンスキが、
『若い指揮者がうつむいて譜面を見ていると、その間に楽団員がおしゃべりをしたり、携帯電話をいじりだしたりするでしょう?だから譜面を見なくても済むように全部記憶することにしました。というか、事前に勉強している間に自然と覚えてしまうんですけどね』 とこともなげに言っていたそうだ。
また、『スコアを勉強するときは、既存の録音を聴かないようにしている』 とも語っていたそうで、慣習にとらわれず作品を一から見つめ直す姿勢があるから、聴きなれたはずの曲でも彼が振ると常に新鮮に響くのだろうと書いておられた。
ほんとそうだなぁ。 私は今回聴くまではたった一度しか彼を聴いてなかったがその唯一の指揮で「また絶対聴きたい!」と強く思わせる印象を残した。
今回2度目で聴いてますますファンになった(決してイケメンだからといわけじゃないですw)。
この日の公演もきっとずうっと覚えていると思う。 ウルバンスキばんざい🙌
素晴らしい体験をありがとうございました