高関 健&九響、高井郁花:ドビュッシー、ルーセル、ブルジョワ、ラヴェル(定期演奏会) | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2021. 5. 13 (木)  19 : 00 ~    福岡シンフォニーホールにて

 

<第393回 定期演奏会>

~フランス音楽のエスプリ~

 

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

 

ルーセル:交響曲 第3番 ト短調 Op.42

 

ブルジョワ:トロンボーン協奏曲 Op.114

 

ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

 

ラヴェル:ラ・ヴァルス

 

 

トロンボーン:高井郁花

指揮:高関健

九州交響楽団

(コンサートマスター:西本幸弘)

 

     

 

先週行ったコンサートの話ですクローバー

福岡県はこの前日から緊急事態宣言が発令。

宣言発令直後の公演開催だったから仕方ないが、願わくば昨年のように1個とびのSD配置の座席にしてほしい。 たとえば私の座った列は1席以外全席埋まっていて、両隣がそれぞれ二人連れでずうっとべらべら喋っていた。しかも鼻マスク。いい気分はしないですパンチ!

 

今日は高関健氏を招いてのフランスもの。

私は高関さんはアルゲリッチ音楽祭で紀尾井シンフォニエッタ東京(現在は紀尾井ホール室内管弦楽団)を振ったのを聴いたことがあったのみで、今回2度目。

 

 

1曲目はドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」

この曲のバレエ初演について昨年記事にしたことがある。下差し

この記事を書いて以来、この曲を聴くとな~んかこのバレエのシーンが思い浮かんでしまってちょっとイヤ (え?)なんですよね~にやり

 

前回この曲を聴いたアルゲリッチ音楽祭では、水戸室内管のフルートソロなど、そのうまさに驚いたが、この日のフルート首席の大村さんから始まったソロ、そのうまさよりも温かい包み込むような音色がとてもよかった。大村さんは上手さを際立たせる吹き方というよりお人柄が表れるような素朴で温かい音色がいいなといつも思う。

そしてフルートソロに続いたオケ全体もとてもよかった。 水戸室内管はすごく幻想味あふれる雰囲気だったが、九響は大村さんと同じで川の流れのような優しく包み込むような感じだった。 前回のブルックナーと弦の音色も違って聴こえたのも驚きだった。 

うーん、今日も期待大だ音譜

 

 

2曲目はアルベール・ルーセルの「交響曲第3番」

ルーセルについても8月23日の彼の命日に記事を書いたことがある。下差し

 

そしてこの記事を書いたときにすごく印象に残ったのがこの写真下差し

 

(アルベール・ルーセル国際センター所蔵)

 

これはこの「蜘蛛の饗宴」という曲を作曲するために、実際の蜘蛛🕷を研究しているところだそうで、この虫眼鏡サーチのルーセルさんの姿が面白くて今回もとても楽しみにしていた。

 

この交響曲第3番は、ルーセル(1869-1937)が1930年にボストン響創立50周年を記念してクーセヴィツキーの依頼で作曲したもの。 月刊「九響」の曲解説によると、後のオネゲル (1892-1955)の交響曲に影響を与えたそうだが、逆にいうとたしかにオネゲルぽいw

ルーセル61歳の時の作品とは思えないくらい若々しくて第1楽章のしょっぱなからエネルギーがほとばしるよう。で、第2楽章は途中までなんとなくショスタコぽかったり、第4楽章はどっかで聴いたようなフレーズがあったり、それまでのフレーズが登場してそれが複雑に絡み合って重なるように展開していってめちゃ面白い音譜 

いやぁ~、ルーセルいいなぁラブラブ ルーセル・エディションCDやっぱり買おうかなチュー

実際の演奏もめちゃめちゃよかった!!!!  強奏しても各楽器群の音がダマにならずとてもクリアに聴こえた。 なにより高関さんの指揮がすごく的確で、指揮とオケが一体となってる気がした。

 

金管群も大活躍🎺

 
 

休憩後後半最初はデリク・ブルジョワの「トロンボーン協奏曲」

 

Derek Bourgeois (1941-2017)

(画像は HAFABRA Musicよりお借りしました)

 

ソリストは当初のペーター・シュタイナーさんから九響の首席奏者の高井郁花(あやか)さんへ変更となった。 ちなみに幻となったシュタイナーさん入りのフライヤーもせっかくなので載せときます。

 

      

 

高井郁花さんは札幌市出身で2016年から九響のトロンボーン首席奏者を務めておられる。

オケの中でいつも高らかな音色を聴かせてもらっているが、ソロとして聴くのは初めて。そしてこの曲を聴くのも初めて。 

この曲、予習で聴いてみて一度で好きになった音符 とっても親しみやすいフレーズが満載ですぐ口ずさめるような曲。 まさに当初予定だったペーター・シュタイナーさんの演奏(といってもリハみたいですが)がyou tubeにあったので載せておきます。

 

ブルジョワ:トロンボーン協奏曲 (20分21秒:第2楽章;9分8秒、第3楽章;15分5秒)

/ ペーター・シュタイナー (Tb), Lee Mills & ブラジル響 (2018年8月18日 リハーサル)
 

で、高井さんのトロンボーンだが、最初は緊張(?)しているのかなんだか硬い感じがした。

音もそんなに響いてこない。ただ第2楽章あたり?からは少し硬さがとれてきたのかなという感じ。私はトロンボーンに触ったこともない超ド素人で、どんなにこの曲の演奏が難しいか知らねーだろと怒られそうですがあせる、そんな私がド素人として聴いた率直な感想は、曲を十分に謳わせるまでには至ってなかったような・・・(まったくえらそーですみません) 音程が所々不安定、第3楽章の超高速のいかにも難しそうなとこ(ただほんとに超絶難しいんでしょうけど)は音のひとつひとつがいまひとつクリアには聴こえてこなかった(自席の関係もあるかもだが)。 一番最後のゆっくりとテーマを吹くところはとてもよくて、あぁこの音色を最初から出してほしかった、と思った。 

ただ、高井さんの実力ってほんとはもっとあるんじゃないかなと思う。今日は十分に出し切るとこまでいってない気がした。またぜひ彼女のトロンボーン聴かせていただきたい。

 

長身の高井さん、演奏姿も男前~ぶちゅー

 

あと感動したのが、演奏が終わったとたんに団員さんたちがみんな諸手を高く上げてめちゃめちゃ拍手拍手拍手し始めたこと。ある意味お客さんよりも盛大な拍手でブラボーの掛け声までかかってたようなw ダンダンと踏み鳴らす足音もすごかった。こういうとこ九響っていいなぁと心底思う照れ

 

笑顔がとっても愛らしい高井郁花さんラブラブ

(画像は九響のツイッターよりお借りしました)

 

お次はラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」

これは元々シューベルトの「34の感傷的な円舞曲」と「高貴な円舞曲」の影響を受けて作曲したピアノ曲集(1911年作曲)で、それをバレエ曲「アデライド、または花言葉」として管弦楽用に編曲(1912年に作曲:ラヴェル37歳の時)したものだそうだ。

 

この曲を作曲したころのラヴェル(1912年撮影)

(画像はwikipediaよりお借りしました)

 

7つのワルツとそれらの回想を含む8番目のワルツ(エピローグ)で構成されている。

私は実演で聴くのは初めて。それぞれのワルツの表情が違ってて面白かった。 最後は静かに終わるのだが、終わっても拍手が起こらず、高関さんが客席の方をちょっと向いて「もう拍手してもいいんですよ」てな具合ににっこりして拍手が起こったw

 

最後が同じくラヴェルの「ラ・ヴァルス」。 私はこの日はルーセルとこのラ・ヴァルスをすごく楽しみにしていて、結果的にどちらも大満足でしたラブ

「ラ・ヴァルス」、めちゃめちゃすごかった!!!!笑い泣き笑い泣き

 

ラヴェルが44歳のときの作品で、ラヴェルはその前に母親の死にショックを受け3年間ほどのブランクがあり、この作品で本格的に創作活動を再開した。19世紀末のウィンナ・ワルツへの礼賛として着想された。ラヴェルは総譜の冒頭に以下のような言葉を書いている。

 

『渦巻く雲の間からヴァルス(ワルツ)を踊る人々がちらりと見える。雲は次第に晴れてゆく。群衆にみちた旋回する広大なホールがはっきりと見えてくる。場面がだんだん明るくなる。天井から下がった燭台の光は燦然と輝く。1855年の宮廷である。』

 

前も書いたかもだけど、ラヴェルのこの言葉を読むと、ラヴェルはこのワルツの風景をまるで彼自身が天(空)から俯瞰しているかのようだなぁと思う。 ただこの言葉を知って聴くと、ほんとにそんな感じ。

 

曲の冒頭(導入部)の低弦が、私にはまるで心臓のドクンドクンという鼓動に聴こえる。

そしてファゴットのパラッパラ~♪を聴くと「あぁ~、くるぞくるぞ~」とワクワクする音譜

 

再度繰り返しになるけど、演奏はめちゃめちゃよかった!! !! ゲラゲラ

高関さんの指揮棒が時にはまぁるく、時には鋭角に三角形に、まさに縦横無尽に空を切る。

緻密な計算で曲を構築しておられるんだろうけど、その細かい指揮にぴったりついていってるオケ。 

盛り上がるところで高関さんがまるで、「いてまえ~~ビックリマーク」という風に拳を前にぐん!グーと突き出すとオケも一段と勢力を増す。 最後のあたりで高関さんが左手を横にザーッ!と左に振るとまるで弦の間に左方向にウェーブ波が、次いで右にザーッ!と振ると右方向に音のウェーブ波が起こったように見えた!!目 視覚的にも最高に興奮したラブ恋の矢

 

以前メータ&ウィーン・フィルでこの曲を聴いたことがあるが(その後もどこかのオケで聴いたがよく覚えてない・・)、その時のラ・ヴァルスとはまた全然違ってた。 メータはウィーン・フィルにゆだねて流れにまかせたような(いい意味で)緩くて美しいラ・ヴァルスだったが、今日の演奏はvividで生命力がみなぎる活き活きとした音楽だった。とても感動した笑い泣き

 

ラ・ヴァルスを熱演中~音符

 

高関さんは指揮してるときはすごくおっきく見えるが、普通にもどるといつものちょい小憎らしい(あくまで主観)人になるw 今日も時計を見る仕草をして帰っていった(この仕草いらんちゃけどね笑う アンコールをおねだりして拍手してるわけじゃなく、単に感動して拍手してるだけなんですけどね)。 ただ音楽づくり、指揮はやはり素晴らしいのでまた振りにきていただきたいですshokopon

当日の演奏より

 

次は「天神でクラシック」でパガニーニとストラヴィンスキーを聴く予定。こちらもめちゃ楽しみ音譜

 

*実際の演奏中の画像はすべて九響の公式facebookよりお借りしましたaya